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015


雨足が強くなってきた。


その時に、貼り付けていた虫からアラームが来る。

実は内田君の関連で気になる事があった。


「昌、伝えておかないといけない事がある」

「何々?」

「昌のソフト部の先輩さん、昨日の夜から様子が・・・いや、夏休みに入ってから様子が変なんだ」

「どういうこと?原田先輩が?」

「うん、昌から話を聞いてから、問題になりそうな人物を監視させるリストに加えておいたんだけど、どうやら原田さんは彼氏に・・・内田君に振られたらしい」

「え?そうなんだ?」

「新しい彼女が出来たから、追い出されたっていうのが正しいのかな・・・」

「どういうこと?」


内田君が3人のセックスフレンドと、1人の本命を抱えている事、その3人の枠に、夏休みに入る直前に新しい高校生が入って、原田さんが追い出されたらしい事を伝える。

正直に言うと、一番見た目が劣っていたしな。

「それで、ずっと塞ぎ込んでいたけど、昨日の夜からいつもと違う行動ばかりで、アラームが何度も上がって来ている」

「どんな風に違うの?」

「寝ないで徹夜してる。何度も外に出て、ウロウロして帰るっていう行動もしている。深夜にね」

「どういう事だろう・・・」


「今も出かけたからアラームが来た。今日は日曜だから内田君は本命の彼女と、隣町のショッピングモールでデートしているんだけど、その場所に向かっているように見えるんだ」

「リアルタイムで追ってるの?」

「いや、僕の能力は極端に豪雨や台風に弱い。今日みたいな日は追跡が無理だから、飛び飛びで見つけるしかないんだ」

「そっか、そうだよね。ぶちょーも弱点あるのか」

「あはは、そうだね。夏休みに入ってからも、他の子は内田君から呼び出されているのに、原田さんは呼ばれ無くなってね。気になって調べたら、原田さんの当番の日に、新しい子が呼び出されていたんだ。原田さんは最後の夏なのに部活にも出ないで、部屋に籠り切っていてね。少し危険だと思って、アラームのレベルを上げていたんだ」


「そっか・・・それってヤバいよね」

「うん・・・原田さんが、本命の彼女の事を知っているのか分からないけど、1週間以上籠っていたのに、急に出かけて、その行先が隣町方面っていうのが不自然だし、その先に内田君がいるのも不自然だ」

「今、原田先輩はどこに居るの?」

「駅のホームで電車を待っている。もしかしたら違う場所に行くのかもしれないけど・・・」

「う・・・うん、あたし何が出来るか分からないけど、とにかく向かってみる。ぶちょー、情報ありがとう」

「「一緒に行くよ!!」

僕と美琴の声がハモる。


一瞬だけ悩んだ昌の顔が歪む。

「うん、お願い!一緒に来て!」

3人でポンチョを着て、余計な荷物は道具入れのロッカーに仕舞い、大雨の中を駅に向かって自転車で爆走する。

「昌、原田さんが隣の駅で降りた」

「分かった!」

3人で電車で追いかける。

日曜の午後のこの時間帯は、20分に1本しか来ない。

20分の遅れがどう出るか。


ショッピングモールは商店街を抜けて5分。

3人で商店街を走り抜ける。

「昌、原田さんが内田君を見つけた。今は少し離れた場所で様子を見ている」

「分かった」

「2人とも、着いたら息を整えるぞ。僕たちは怪しすぎる」

「「うん」」

到着して息を整えながら、僕が持ってきたリュックに、全員のポンチョを入れる。


昌は先行して、内田君が本命と話しているカフェに向かっている。

僕と美琴が追いかけて、店が見えるあたりで前方から悲鳴が聞こえる。

「きゃあああああああ」

ダッシュで向かうと、昌が原田さんを床に押さえつけている。

内田君が、本命さんの左腕を両手で覆っている。

床には血と放り出されたナイフ。


最悪の事態か。

「昌!」

昌に協力して、暴れる原田さんを抑える。

美琴が内田君の方に向かってる。


「何すんだ!てめぇ!」

内田君が騒いでいる。

「部長!刺されたのは彼女さんです。肘の所を切られていますけど、大きなケガじゃないです」

美琴が冷静に報告しながら、持っていたハンカチかなんかで腕を縛っている。

「誰か!救急車を呼んで!」

大声で集まった見物人にお願いしている。

もの凄い冷静だな。美琴は小さいのに頼りになる。


「原田先輩、何てことを・・・」

「奏多!てめえ、許さねえ!あたしのバージン返せよ!!」

原田さんは押さえつけられながらも、呪いの言葉を吐いている。

「え?奏多くん?どういうこと・・・」

「はぁ?いい加減にしろよ!てめぇ約束しただろうが!」

「約束?あれだけ好き放題やられて、一方的に捨てられて約束?あたしだけが約束守るのか?ああ?」

「・・・・・・」

本命さんの顔が真っ青だ。


「おい、そこの女、てめえの奏多くんは、あたしみたいにセックスするだけの女3人抱えて、毎日日替わりで楽しんでるんだよ!それなのにてめえだけ特別扱いしてやがる。てめえが刺されてもしょうがねえって分かるよな!!」

「・・・・・・」

「クソッ!このみ、あいつはおかしいんだ。話聞くな」

「おかしいのはてめえだよ、あたしらがてめえに惚れたからって好き放題しやがって・・・てめえがやった事全部バラシてやるよ!小便まで飲ませて、嫌がったのに変態みてーなタトゥーまで入れやがってよ!もうあたしの身体、元に戻らねーんだぞ!この後どうせ警察に捕まるんだ、てめえのしたことは全部話すからな!」

「クソッ!クソッ!こんな女入れるんじゃなかった・・・」


「ぶちょー、ここお願い」

昌がつぶやいて原田さんから離れた。

「とりゃあああああ!」

昌が一瞬で飛び出して、内田君の顎に下からジャンプハイキックを入れる。

惚れ惚れするようなカッコよさだ。

天に向かって蹴り上げたかのような、綺麗な姿勢にみんなが見とれる。

内田君がガクッと崩れ落ちる。


「あーあ・・・」

一件落着かなぁ・・・

ビックリして動かなくなった原田さんから離れる。

遠くからサイレンが聞こえた。





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