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双子美少女姉妹の妹の方にTS転生してしまったわ  作者: はるお


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同好の士

イソギンチャクに身を寄せ、モフモフと戯れるカクレクマノミたち。その横で、岩陰にひっそりと潜むニシキヤッコを眺めながら、私はペットショップでの出来事を思い返していた。


あの男は咲夜の兄であり、アキラ兄さんの同級生だ。

どう見ても大学生にしか見えないが、ジャイアント海原という女子は高校生ほどの年頃に見える。発育の良いのだろう。


その後、警備員に別室へと連れて行かれ、簡単な事情聴取を受けた。

工藤さんが何度も電話をかけた末、結局は子供の喧嘩ということで片づけられた。

私が腕を掴まれただけだったこと、相手が咲夜の兄であり、アキラ兄さんの友人でもあったことも理由だろう。

それにしても、良家のお坊ちゃまのはずなのに、あの性格は一体どういうことなのか。

店員さんも私が優先だと認めていたのに諦めが悪すぎる。


でも、真っ青になって座っている咲夜兄を見ると、ちょっとやりすぎたかもしれない、と強く反省している。


その後、パパとママが迎えに来てくれたので、私はすぐに帰宅した。

咲夜の兄に向けられたパパの視線は氷のように冷たく、思わず背筋が凍りついた。


「舞、パパとママが呼んでる」

姉さんに呼ばれて、リビングに一緒に降りると、パパ、ママ、雅孝お爺さんにキララお婆さん、アキラ兄さんと全員揃っていた。


「舞。痛いところはないか?」

「心配かけてごめんなさい。腕を掴まれただけだから、大丈夫。」

雅孝お爺さんは心配そうに私を見つめていた。

階段から転落したときも、周囲に迷惑をかけてしまった。

そのことを思い出すと、胸の奥に申し訳なさが広がった。


「瑠璃さんが忠雅くんを連れて謝罪に来るそうよ。

舞はどうしますか?」

キララお婆さんがお茶を卓に置き、ゆっくりと私の方へ顔を向けた。


「そんなの追い返せや!」

「同感」

「あなた達は黙って!」

雅孝お爺さんとパパは相当怒っているようだ。


「会う。」

 でも、あの真っ青になってシュンと落ち込んだ姿が頭から離れない。

やりすぎたという反省からくる罪悪感。

さっさとと謝罪を受け取り、そして私もやりすぎたと謝ろう。


「そう。

 実はもう母屋に来られているわ。

 こちらにお呼びしましょう。」

「チッ」

パパは明らかに不機嫌そうだ。

雅孝お爺さんとパパが物凄く怖いから、ここに来てもらうのはやめてあげた方がいいと思った。


チラッと兄さんを見ると、複雑そうな顔。

友達らしいから、なるべく、友達付き合いの妨げにならないようにしたい。


「いえ。

 母屋に行って二人で会う。」

「二人で?」

「私にも少し悪いところがあった。

 子供の喧嘩に親がでるのは良くない。」

友人が目の前で自分の親に怒鳴られでもしたら、今後の付き合いに深刻な影響がでる。

いや、もう十分深刻な影響がでるだろうな。


私はキララお婆さんに手を引かれ、母屋へと向かった。

そこで、二人きりで話をすることになった。


「すまなかった。」

瑠璃お婆さんも席を外して貰って二人になると、まずお手本のような角度で腰を曲げた綺麗な謝罪だった。


「こちらもニワカなどと失礼なことを言いました。

 ごめんなさい。」

「お、おう。」

私が頭を下げると、咲夜兄は相当驚いたようで、一歩後ろに下がった。

「どうしたのですか?」

「い、いや、咲夜から怒らせると中々許してくれないニャ。

多分一生会ってももらえないニャ

って言われてたから。

まさか謝罪があるとは思っても見なかった」

「今回は私にも悪い所があった。」

「そ、そうか。」

では、さっさととお引き取り願おうか。


「ところで、あのニシキはどうだ?」

なんだ、ニシキヤッコが気になるのか。


「水合わせをして、水槽に入れたところ。

 気になるの?」

「ああ、初めて見た時、とても気に入った。

 一目惚れというやつだな。

 だから、どうしても欲しかったんだ。」

「そう、私も同じ気持ちだった。

 だから取られたくなかったと思う。」

分かる。

あの鮮やか色に綺麗にな体型。

私も取られるのが嫌だからきつい言い方になったのだろうな。

扉の向こう側がなにやらガヤガヤとうるさいな。

何を騒いでいるのかな

・・・

・・・

くどく?

パパがかなり怒っているいみたい。

一体何?


ん?

こいつ、なんで顔が赤いのだ?

ま、まさか、私の見た目に惑わされて好意を持ったとかじゃないだろうな。


「と、ところで舞さんは、いつから海水魚を?」

ギ、ギク。

前世の年数を入れると20年以上になるのだが、それがないと飼育経験は3時間ほどだ。


ニワカと咲夜兄を馬鹿にしたが、本物のニワカは私の方という事になる。


「そ、そちらこそ、どれくらいのご経験が?」

「ん、俺のことは忠雅でいい。

 そうだなサンゴ水槽が1年だけだ。

 フレームを入れてみたが、食害が始まったからあらかじめ用意していた120の水槽に移動させた。

だからヤッコの飼育歴は3週間。

舞さんの言う通りニワカだよな。

ははははは‥‥」

忠雅さんはじっと私を見つめる。

今度はお前が答える番だといいたいみたいだ。


仕方ないけど、言いたくないな。


「え、えと‥‥さん‥‥‥」


「さ?

 3年かぁ、じゃあ小学1年からか?

 すげぇなぁ。」

・・・

・・・

・・・

「じか‥‥‥ん

 です。」


「え?」

・・・

・・・

・・・

嫌な沈黙だ。


「おいおいおいおい!

 お前の方がニワカいや、それ以下のド素人じゃねぇか!

大丈夫なのか?」

ド、ド、ド素人だと?

クッ!

全く納得はできない。

だが前世の経験と知識とも言えない。

悔しぃぃ!


「も、問題ない。

 リース水槽のメンテナンス業者の人に手伝って貰う。

言っておくが丸投げではない。

ちゃんと私が主体となってやる。

それに知識は完璧。」


「ほー

 じゃあ、餌は何をやるつもりだ?」


「ショップで食べていたオリジナルの粒餌は購入済み。

粒餌は植物系だから、クリルも買ったし活ブラインも準備する。」


「まぁ、問題は無さそうだな。

 じゃあ白点が‥

 いや業者がくるなら、余計な事はせずにそいつに任せた方が安心だな」

「・・・」

「ところで、舞は海水魚好きなんだろ?」

「あたりまえ、サンゴも守備範囲」

・・・

・・・

・・・


何?

この沈黙。


「サンゴや海水魚の話が出来る奴が全くいなくてな。

よかったら、たまに情報交換しないか?」


確かに、犬や猫と比べて海水水槽やってる人なんて、マイノリティの極み。

気持ちは痛いほど分かる。


「須藤という子の家はクィーンを飼ってる。」

「お、いいねぇ!

 その子も入れて3人で情報交換だ!」

ふむ。

どうやら、本当にアクアリストの仲間を探しているみたいだな。


「わかった。」


バンと扉が開くと、パパが入ってきた。

「さぁ、もう十分だろ。

 もう遅いし帰ってもらえるかな?」


続いて、後ろから姉さんが人でも殺しそうな位、怖い目つきで忠雅さんを睨見ながら近づいてきた。


「舞。

 口説かるとか変な事されなかった?

 いや、されたよね?」

はい?


「何?

 口説く?」

ジーっと私の目を凝視した後、「大丈夫みたいね」と言って、また忠雅さんを睨みつける。


「舞!

 咲夜からメッセージのアドレス教えてもらって連絡するからな。」

「分かった。」

ママ以外の全員が忠雅さんを睨みつけている。

海水魚の情報交換だけなのに、何か誤解をしているようだ。




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