4年生
4年生からは単位制となる。
履修科目一覧を確認したところ、すべて必修科目である。
早く履修を終えれば、5年生用の科目を受講することができ、進度の早い学生はどんどん先へ進んでいく。
一方で、4年生用の単位をすべて修得できなければ留年扱いとなるらしい。ただしこれは稀なケースであり、少し努力すれば容易に挽回できるとのことだ。
授業はAIと動画によって行われるため、自宅でも受講できると思われる。
しかし、人との交流やセキュリティ、不正防止の観点から、登校して学校内の設備を利用しなければならないらしい。
「ほら、あそこ2台並んで空いてる」
姉さんと二人で早速授業を受ける。
小学校に入学してから3年間はずっと別々のクラスだったらしいが、これからは並んで授業を受けることになる。
ゲームセンターにあるレース用ゲーム機のような椅子に腰掛けると、カクレクマノミのアバターが目の前に現れた。
『おはよう。舞。
まずは国語から始めますね。』
「わかった。」
どうやら受ける授業もAIが決定するみたいだ。
30分ほどの動画を視聴した後、理解度を測るテストが実施された。
結果は驚きの95点。
当然100点だと思っていたが、漢字の書き順の誤りによる減点と、文章朗読の際に聞き取りにくい箇所や区切り位置の不適切さが指摘されたらしい。
聞き取りにくかった部分は録画から再生され、指摘を受けた後に修正して再度朗読した。
100点を取って、ようやく解放された。
ふと姉の方を見ると、かなり苦戦している様子だった。
「二゛ヤアアアアアアア
きーーーーーーー
ふざけるんじゃないニャ
猫語は全宇宙の共通語ニャああああ!」
荒ぶる咲夜の叫び声が響き渡る。
職員さんがゾロゾロと咲夜がいる場所に駆け寄っていく。
「伊集院さん落ち着いて!
あーーーーーーー!」
咲夜が職員さんの手に噛みついてる現場を目撃。
「このAIはバカなのニャ
語尾にニャが付いてるって0点にしやがったにゃ!」
ああ、多分朗読だな。
聞き取りにくいだけで減点され、やり直しになるから・・・
『バンバンバン』
今度は机を叩く音が教室に響く。
「スタッフゥ!
誰か早くスタッフを読んでください!」
今度は小華さんが大声で職員を呼んでいるので、職員さんが向かう。
「この方、私の朗読を減点なさったのですの!
「ごきげんよう」は一般の方は使わない、などと本当にいろいろ文句ばかり。
壊れているようですから、速やかに修理をお願いいたしますわ。」
ああ、ここはお嬢様が多いから、セレブ風の話し方をする子が結構いる。
だから、普通の話し方に直すいい機会かもしれない。
『ピーピーピー!
ケイコク
システム二
シンニュウシャ
』
今度は電子音が鳴り響くと、藤林さんがすごい勢いで逃げ出そうと走り出すが、直ぐに警備員に確保されている。
侵入者?
「春奈ったら、またハッキングでもしていたのかな。」
姉さんがズルズルと連行される藤林さんを呆れ顔で見送りながら呟いた。
みんなすごくキャラが立ってる。
「終わった!」
どうやら姉さんの授業が終わったみたいだ。
「結構手間取った?」
「うーん。
漢字の書き取りで結構時間がかかったかな。」
姉さんも漢字の書き取りで躓いたみたい
「メッセージが届いた。」
「あ、私も。」
休憩に行こうとしたところでメッセージが届いた。スマホを取り出して内容を確認すると、どうやらパパとママ、それに兄さんは今日は花形さんの家で食事らしい。
「今日の夕食どうしよっか」
「帰りにショッピングモールのペットショップによってもらうから、そこで何か買って帰る」
この前のボランティア活動の帰りに連れて行って貰ったアクアリウムショップではマンジュウイシモチを一匹だけ購入して水槽に入れている。
今回は本命のイソギンチャクとカクレクマノミを狙う。
「兄さんはあっという間だったね。」
むぅ。
あえて考えないようにしていたが、兄さんと麻美さんは中学の同級生。
金持ちでイケメン、文武両道の優等生に加えて、美人同級生の許嫁持ち。
前世の記憶からどうしても滲み出てくる感情は爆死しろ!
「まだ中学生なのに早すぎる!」
「本当にその通りですわ!」
声のした方へ目を向けると、小華さんが眉間に皺を寄せて頷いていた。
「姉さまのアキラ様との惚気話ばかり、毎日毎日毎日毎日、家族全員が聞かされているのです!
徹底的に反対するつもりだったのに!
本当に腸が煮えくり返りますわ。」
相当頭にきているようだ。
私も姉さんから男子との惚気話を聞かされたらかなり苛つくと思う。
「「分かる」」
思わず姉さんと声が重なってしまった。
「え!
ひょっとしてお二方もアキラ様から毎日惚気話を聞かされているのですか?」
「「兄さんのことはどうでもいい」かな」
「そうですの?
しかし、息がピッタリですね。」
まぁ、双子だから。
「姉さんの惚気話は聞きたくない」
「私も舞の惚気話なんて聞いたら何をするか自分でも分からないかな。」
姉さんは私を抱き寄せていつもの笑顔…
いや、ちょっと怖い感じ笑顔を向けてきたので、コクコクと頷く。
チラッと小華さんを見るとちょっと引いてる感じだ。
「あら、舞さんには意中の男性がいるって言う噂ですが?」
小華さんの一言で、
抱き寄せから、ちょっと苦しくなる位ぐっと強く抱きしめられる。
流石に恥ずかしいし、苦しいので姉さんの肩をタップする。
「もし、舞が好きな男性を見つけたら、直ぐに教えてほしいかな。」
「え、ええ。
直ぐにお伝えしますわ。」




