リア充のアキラ君
自動運転のミニバンに乗ってショッピングモールの中にある携帯ショップまで連れて行ってもらった。
スマホは澪が希望通り、林檎スマホの最新機種にしてもらった。
機種変更手続きには色々と時間がかかるだろうと思っていたけど、10分程度の移行作業を行った後に受け取るだけで、あっさり終わった。
澪のスマホと修理した舞さんのS社スマホの下取り手続きが始まったとき、俺は気付いてしまった。
「両方使う。」
2台持ちである。
徹君は驚いたようだが、回線契約なしならということで了解を貰った。
メインは林檎スマホにして、サブとして撮影用に修理したS社スマホを使うことにする。
お小遣いは子供用のお財布アプリに入っているらしいので確認すると、残高にはきっかり5万円と表示された。
子供用のお財布アプリは、保護者が子供のお金の使い道をしっかり管理するためのものらしい。 おそらく、この5万円は保護者が設定したお小遣いの上限額なのだろう。
「パパ。
お小遣いお願い!」
「ははは、しょうがないなぁ。」
澪がお小遣いをねだったら、徹君は笑いながら、残高がかなり減っていたお財布アプリに、満額の5万円まで補充してくれた。
金持ちだよなぁ。
続いて鞄の専門店に移動。
澪に引っ張られて高級感満載の店に入ると、どうやら取り置きされていたようで、カタログで見せてもらっていたリュックが出てきた。
チラッと値札を見ると小さく20万円と書いてあった。
ここに来て一気にセレブ全開モードだ。
二つで40万円!
正直、こんなリュック怖くて使えないが、買って使わないと言うのはもったいないので、大切に使うことにする。
続いて服屋さんに移動。
子供向けの商品が多いが、シャツが1枚980円と意外にリーズナブルなお店で、普段使いの服や下着を買うようだ。
俺もこの価格なら遠慮せずに、澪が選んだのと同じものを買ってもらった。
買い物がひと段落したところで、フードコートでアイスを買ってもらったので、ありがたくごちる。
「舞はお魚を飼いたいって言ってたが、これから見に行くか?
澪も小鳥がほしかったんだろ。」
まさかの提案である。
もちろん大きく何度も頷く。
やはり舞さんはアクアリウムをやろうとしていたんだな。
アクアリウムは俺の趣味だから、舞さんのお小遣いで始めるのは気が引けていたけれど、安心した。
「パパ、小鳥さん飼っていいのかな?」
「来月から高学年だ。
少し早いと思ってはいたが、まぁいいだろう。
ちゃんと世話をするんだぞ。」
おおお、徹君男前すぎるだろ。
俄然テンション上がってきたぁ!
「ふふ、舞、ものすごく嬉しそう。」
さもありなん。
俺は徹君の隣の席に移動する。
「パパ!
嬉しい!」
徹君にサービスだ。
さぁ受け取るが良い。我が抱擁を!
「徹さん。
遅くなってごめんなさい。」
徹君にサービスしてると、明日香さんが兄アキラ君と縦ロールの女の子を連れてやってきた。
「お初にお目にかかります。
私、花形麻美と申します。
今日はアキラさんと、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
今後ともぜひよろしくお願いしますわ。」
上品な淡いピンクのワンピースに身を包み、よく知られた高級ブランドのトートバッグを手にしている。 背筋をピンと伸ばした、美しい姿勢。
どこか良家のお嬢様だとひと目でわかる。
アキラ君、今朝からいないと思ってたけど、どうやらデートだったみたいだ。
チラッと徹君を見ると、さっきまでのふにゃふにゃした感じはなくなり、キリッとしている。
「はじめまして。 花形さん。
アキラと仲良くしていただいているようで安心した。
澪と舞だ。
この子達とも仲良くしてあげてくれ。」
「澪さん、舞さん。
よろしくお願いしますわ」
アキラ君ってイケメンだし、家もお金持ちで、しかも彼女までいるのかぁ。
前世の俺とは大違いだ、なんか羨ましいのぅ。
「徹さん。
花形さんのお迎えが渋滞で遅れているらしいから、今夜は外食にしてご一緒していただきましょうか。」
徹君は明日香さんの提案をすぐに了承した。
「いえ、流石に家族団欒の中にお邪魔するのは申し訳ないですわ。」
「花形さん、良かったら気にせず一緒に食べよう。
普通のファミレスだから、君の口に合うかわからないけど、僕は普段の景山の家を知ってもらった方がいいと思うんだ。」
ふむ、ファミレスで食事ですか。
アキラ君、なんかトゲのある言い方だな。
「まぁ、ファミレスですか!
私、前々から一度行ってみたいと思ってましたわ!」
花形さんの反応にアキラ君は少し驚いたようだけど、すぐに口元に笑みを浮かべた。
「そう?
それなら、ちょうどいい機会だね。」
というか、ファミレスが初めてだと!?
これはもう完全に本物の箱入り娘ってやつじゃないか。
しかし、これからファミレスかぁ。
スマホの時計を見ると18時30分を少しぎたところ。
ペットショップは20時で閉店。
くっ、間に合わないじゃないか!
「舞、顔。
みるみる不機嫌そうになってるよ。」
澪が小声で教えてくれた。
いかんいかん、不満が顔にでていたか。
笑顔、笑顔っと。
結局、この後、ペットショップに行くことできなかった。
まぁ、でも慌てなくてもいいかな。
水槽を立ち上げてすぐに生体を投入なんてできないし、じっくり調査しておくことにする。
現在の物価でいこうと思います




