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跡継ぎが産めなければ私は用なし!? でしたらあなたの前から消えて差し上げます。どうぞ愛妾とお幸せに。  作者: Kouei


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第6話 子供を作りますか? それとも愛妾を持ちますか?

「はーっ おいしかった!」


 朝食が終わり、部屋に戻ってきた私はソファの上に座って人心地ついていた。


 嫁いでから、毎日三食食べられるし、入浴もできる。ふかふかな寝具で毎晩寝られて、好きな事もできる。


「本当なら生まれた時から当然のように与えられていたはずの生活なのに、家を出てから得られるなんて皮肉ね…」

 誰に言うともなく呟いた。


 ただひとつ問題なのは…『跡継ぎ』


 結婚して5日過ぎたのに、未だに何もない…。


 私も一応、それなりに知識はある。お母様が生前教えてくれたから。

 「結婚したら必ず跡継ぎを生まなければならないわ。そうでなければ…幸せになれないのよ」

 そう仰っていたわね。

 その時は、結婚できるとも思っていなかったけど…


 お母様は私しか産めなかったから幸せになれなかったのかしら?

 男子を産んでいたら、もう少しましな生活ができたのかしら? 


「ふー…」

 私は溜息をつきながら目を閉じ、結婚式があった日の事を思い出していた。


 初めてモートン様とお会いした時、ブルーグレーの髪に映えるアメジストの瞳がとても印象的で目が離せなかった。


 二人並んで教会に入り、慈愛に満ちたマリア様の前で司祭様の言葉に耳を傾けた


『暗闇の中、悲しみに暮れる時は共に苦しみを分かち合い、光の中、幸せに満ちる時は共に喜びを分け合う事を誓いますか?』


『『誓います』』



「誓います…か」

 目を開くと、教会で見たマリア様の姿は消え、両親の姿が浮かんだ。


 式を挙げている時点で父にはもう愛妾がいた。ならば神様の前で立てた誓いって何だったのだろう?

 そんな誓いに何の意味があるのかしら…?


 その時私はある事を思い出した。


「指輪…っ」

 そうっ 誓いの後、指輪の交換があった。


 指輪を交換する時にモートン様が一瞬手を止めたのよね。


 「あれって何だったのかしら?」

 私は軽く握った右手を口元にあて、考え込んだ。


 そこに彼が私に何もしない理由があるのかしら?


 結婚式を済ませ初夜を迎えるはずの夜、彼は私を求めなかった。


「今日は疲れただろう。ゆっくり休むがいい。あと、何か困ったことがあれば遠慮なく相談してくれ」

 そういうと彼は私に背を向け、すぐに寝てしまったわ。


 その日から寝室は同じだけれど、未だに何もない…。


 …そういえば、貴族で私を気遣ってくれた人は初めてだわ。それに今朝の食事の時も…。  


 私に優しくしてくれたのは、お母様と街の人々だったから。

 何だろう…変な気持ち。


 ハッと気づいて頭を振る。

「ううん、それより考える事は跡継ぎの事よ」


もし産めなければ、彼は父のように愛妾を持つのかしら? 

愛妾を持ったら、父のように私を追い出すかしら?



…今夜、きちんとモートン様とお話するべきよね。



 「モートン様。あなたは私と子供を作る気はありますか? もしなければ愛妾を持つおつもりですか?」

 その晩、私はモートン様に問いかけた。


 モートン様の目がまんまると見開かれ、きれいなアメジストの瞳がよく見えた。

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