7.黄金
船内に物々しいアラームが鳴り響く。
「神様どうしたんだい? また怖い太陽が出た?」
「いや、燃料が残り少ないだけだ」
「大変じゃないか!」
「大丈夫だ。ギリギリいける」
旧式のエンジンと最新の魔動エンジンを併用すれば難しい話ではない。五十キロ先で黄金色に光る惑星へと全速力で向かう。
「わぁ、大きい!」
小人たちがはしゃぐのも無理はない。木星に匹敵する大きさの惑星と、それに見合った宇宙ステーションを保有しているからな。文明の発展度合いも地球と似ていて、こちらもやはり科学と魔法によって外宇宙へと進出している。
惑星を取り囲む網目状の宇宙ステーションへ着艦して個人用の通信回線を開いたところで、船内へ通じるドアが開いた。
「やぁ。二十秒遅刻だよ正樹」
ところどころ跳ねた赤いショートヘアにヤギに似た形状の角を備えた女性が手を振ってきた。出迎えた俺に赤い瞳を細めいたずらっ子のように微笑んでくる。
「よぉ。いつも通り早いな、ピラカンサ」
「まぁね。ところで曳航されてる船のリーダーは誰かな?」
テーブルの上で物珍しそうに彼女を見ていたリーベックスたちを紹介する。
「リーベックス、こちらピラカンサ魔導技師だ。魔法と機械と医術で博士号を持ってる」
「こんにちは。異邦人と宇宙船の憩いの星、エル・ドラドへようこそ。私のことはピラーちゃんと呼んでくれたまえ」
「お前今月で三十路――オウフッ」
小気味良い音とともに極彩色の光が洪水のように視界を覆う。魔力の塊でハリセンを作ったな、こいつ。しかし目にまで影響させ、ん、んんっ。視界が狭く。
足元がふらついたが、全身を柔らかいものに受け止められる。十中八九エゼットの髪の毛だな。
「正樹、また無茶をしたね? 瞳なんて魔力回路が焼き切れかけてるじゃないか」
「さっきまで見えてた」
「緊張の糸が切れたんだね。しばらく療養することをおすすめするよ」
額に冷たいものが触れると同時に眠りへと誘う呪文が聞こえた。




