その18:大広間にて
廊下を進んでいき、大広間に入った。
「次はお前かよ……」
大きな溜め息が出た。
目の前には紅いポニーテールのあの人が居た。
さっきの廊下での出来事より面倒臭くて、ダルくて、しんどいなぁ。オイ。
リファは気落ちしている俺に躊躇い無く斬りかかってきた。
「うぉいっ!!」
振り下ろされた刃をかわして間を開ける。
「我刀戦技・走火!」
突っ込んでくるリファに向けて本気で放つ。
だがリファは簡単に避けた。
でも走火が避けられることを分かっていた(だって直線にしかいかないし)俺は次の行動に移っていた。
「我刀戦技・弾風!」
リファの着地点を予測し、着地と同時に鳩尾に中るように風の弾を放った。
が、弾風がリファに中ることは無かった。リファは右手の剣を横に一薙ぎして風の弾を潰した。
「うっそー……」
イケると思ったのに……。つーかタイミング良すぎだろ。刀身の真ん中よりちょっと先のところで斬りやがって。…………ちくしょー……凹むッス。
リファは俺が凹んでいてもお構い無しに攻めてきた。
「おっ、ちょっ、まっ!」
切り下ろし、切り上げ、袈裟懸け、横薙ぎ等々。様々な角度から斬撃が襲い掛かってくる。
その斬撃の連撃を何とか防ぐ。いや、防ぎきれていないな。身体に裂傷が次々に刻まれていってるし。やっぱりリファは強いな。
はぁ、走火と弾風で済ませたかったのにな。リファが強いのは分かっていたけど、走火と弾風以上のヤツだとちょっと加減ってもんが出来なくなるし……。それに何より傷付けたくないのに……。でもこのままだと体の所々から出血してる俺はヤバイしな……。しょうがないって割り切らないと……
「ふっ!!」
力任せにリファの剣を押し返し距離をとり、前から突っ込んでくるリファを確りと見ながら脇構えに構える。
「我刀絶技……」
リファを見据えながら刀を半回転させ、斬撃を打撃に変える。本来は半回転なんてしないで斬撃のまま放つのだが、今の相手がリファで、傷付けたくないから打撃に変えた。
……打撃に変えるなんて今までやったこと無いからミスるかもしれないってことは内緒の方向でお願いします。
「百花繚乱!!」
渾身の力で逆袈裟に切り上げる。
次の瞬間、前方に無数の打撃が飛んでいき百もの花を咲き乱れさせた。
「キャァアァーーーーーッッッ!!!!」
リファは大きな悲鳴を上げながら壁まで吹き飛んでいった。
……よかったぁー、成功して。ミスってたら今頃血祭りに上げられてたって絶対。とか思っていたのも内緒の方向で。
震えている体に活を入れ、リファへと近づく。
気絶してるのか。え〜っと、怪我は…………………………無さそうだな。良かった。
「はぁ……」
リファもクーと同じ様に大広間の隅に寝転がした。
「ちょっとの間体が痛いと思うけど、我慢してくれ。痛みは引き取れないから。」
少し苦しそうな顔をしているリファに一瞥して、自分に言い聞かせるように呟いた。
そして更に先を目指して歩き出した。