表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/34

その13:リファが、コワイです……

「あ、いたいた」


 後ろからの声に振り向けばリファがこっちに向かって歩いてきていた。


「ん? 俺に何か用か?」


 特に用事もなく、ブラブラ歩いていただけなのでちょっと嬉しかったりする。


「ちょっと聞きたいことがあって…」


 そう言いながらちょいちょいと手招きしてきた。


「何? 他の人には聞かれたくないことなのか?」

「え? ……う〜ん、どうだろ? 分かんない」


 なんてことを言いながら、近くの使われていない部屋に俺を連れ込むリファ。


 部屋に入ると腕を引っ張られ、勢いに余ってコケた。顔面から。

 重く鈍い音と共に強烈な痛みが顔に走る。


「ぬぉぉおぉ………!」


 顔の痛みに悶えている間に、リファは部屋の扉を閉めた。


ガチャンッ


 へ?

 音源に顔を向けると、リファの顔が視界いっぱいに広がった。

 ……近ぇよ。鼻と鼻がごっつんこするぞ。


 あ、ごめん。マジでごめん。自分でも分かるわ。高校生にもなって『ごっつんこ』はないな。キモい。つーか死ね、数瞬前の俺!


「……どしたの?」


 自分でも何処を見ているのかさえ分からない俺がずっと黙っているのを見て、心配でもしたのか、リファが声を出す。


「いや、何でもない。大丈夫だ。それで話って何?」


 逸れかけた話の流れを戻す。


「え〜っと………あ、そうそう! この前来た五月蝿いハエについて、教えて?」


 ハエってゴミ野郎のことか? まぁ、それ以外当てはまる奴は居ないけどな。


「この前よりも前に来たことあるんだよね?」

「そうだな」

「その時はどうしたの?」

「数日間とある場所をさ迷ってもらって、死にかけてるトコロを簀巻きにして棄てた」


 あの時は“インフィニティダークネス”に時間制限あることを知らなかったんだよな、俺。


「ティアはその時に何かされたの?」

「何で?」

「いや、だって基本的にティアが案内したりするじゃん」

「そうだな」

「でもあの時は拒否った。それは前に何かあったから、でしょ?」

「まぁ、それくらい誰でも解るわな……」


 俺だってリファの立場なら疑問に思うだろうしな。


「で、ティアは何されたの?」

「………肩に手を置かれたんだって」

「ほほぉ〜う……」


 この時、俺は見逃さなかった。リファの目が妖しく、そして鋭くなったのを。


「……………あの時、切り刻めば良かったか……」

「ん?」


 リファは蚊が鳴くような声で何かを言ったが聞き取れなかった!

 ん? なんて言ったところでスルー又は何でもない、に類する返答がくることは予想できてるよ! ああ、できてるさ!!


「で、その後は?」


 一足先に戻ってきていたリファに問われた。


「何のだよ? ゴミ野郎なら棄てたって言っただろ?」

「違う、ティアのこと。棄てた後、何をしたの?」

「え……いや……まぁ、何と言うか……」

「さっさと言う!」


 リファが、怖いです。

 意を決して口を開く。


「逃げましたであるます! 隊長!」

「逃げた? どういうこと?」


 リファが、恐いです。


「………あのですね、考えてみてくださいよ。俺だってまだ16歳ッスよ? 性に興味津々なオトシゴロの思春期(はつじょうき)の健全な男子なんスよ? そんな半分(ケダモノ)みたいなヤツの前にティアみたいな美少女を置かれると困るんスよ。通常時でさえ長時間傍に居ると理性が次々と殺られていくのに、その美少女に涙目+上目遣いなんてされたら『きゅうしょにあった。こうかはばつぐんだ。』処の騒ぎじゃないッスよ。あの時はティアにそれをされて理性が残り62%位あったのに一瞬で0コンマ以下の領域まで持っていかれたんスから……逆に襲わなかったことを褒めて欲しいぐらいッスわ。あ、ティアを独りにはしてないッスよ? 光を喚んでから逃げましたから。ついでにその日の内に土下座したッスから」


 早口で一度も噛まずに言い切った。やば、ちょっとテンション揚がった。

 テンションが揚がったせいで(お陰で?)俺は言うつもりのなかった言葉を口にしていた。


「リファにされても逃げるけどな。絶対、無理。耐えられねぇ」


 ここからは口にはしないが―――襲うか逃げるかの二択になるが、襲った場合、いや、襲う前に斬られます。そりゃもう気持ち良いぐらいにバッサリと。だから逃げます。

 ティアも同じ理由です。襲う前にボコられます。そりゃもう気持ち良いぐらいにフルボッコです。多分顔がモザイクをかけないと見られない状態になります。


 本当にどうでもいいことだが、俺はMじゃない。

 な? どうでもいいことだろ?


「聞きたいことはもう無いんだな?」

「うん、ないよ」

「じゃあ、そろそろ見回りの続きをしないといけないから離れてくれ」

「ゴメン、無理」

「何でだよ?」

「いい匂いがするから」


 顔近い、顔近い。

 匂い嗅ぐのは離れても出来るだろ?

 だから離れてくれよ。今俺の理性が次々と殺られていってるから。

 つーか匂い嗅ぐな。


「それにいつも見回りなんてしてないでしょ。だからいいじゃない」


 ガッシリと肩を掴まれた。


 あ、またこのパターンですか。そうですか。助けを呼んでも意味が無いってパターンですよね。わかります。


 だって呼んだところでこの部屋、鍵閉まってるし。



 まぁ、でも一応決まってるので呼ぶだけ呼んでみましょうか(心の中で)。


 誰か助けて〜!!



 やっぱり誰も来なかった。

 まぁ、心の中で呼んだしな。それくらい分かってるんだ………あれ? 何だろ? 目から何かしらの汁が出てきたよ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ