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その11:まさかの二度目

「魔王はどこじゃーーーっ!!」


 をいをい………

 またかよ……


 マジで萎えるわ……

 なんなん? 何でまた来たん?


「………あ、リファ。下の五月蝿いゴミ野郎を玉座まで連れてきてくれないか?」


 偶々目の前を歩いていたリファに頼む。


「ティアは? そーゆーのはティアの方がいいんじゃないの?」


 至極真っ当な意見を返してくる。


「ダメだ。ティアは前に野郎に泣かされたからな。頼む、リファ」

「しょうがないな〜。後で何かしてもらうよ?」

「わかった。俺にできることならな」


 リファが踵を返してゴミ野郎の処へ向かう。

 俺はその背中に向かって言葉を投げかけた。


「何かされそうになったらヤっちゃっていいぞ〜」


 ……何も反応ないけど聞こえてるよな?


「そういやティア。前何されたんだ?」


 ティアに顔を向ける。


「その、あの、えと………………た。」

「へ?」

「……………ました。」

「すまん。もう一回言ってくれ」

「肩に手を置かれました!」


 顔を真っ赤にして叫ぶ。

 その勢いに押され、たじろぐ俺。


「ご、ごめん。ティアにとっては嫌なことだったもんな。マジでごめん」


 まぁ、心の中ではそれだけ!? って驚いてるけどな。


「よしっ、決めた」


 ティアの頭に手を置く。


「次は確りと滅殺してくるよ」


 笑顔で告げる。まぁ頭に黒いってつくような笑顔だけどな。


「さて、行きますか」


 玉座に向けて歩き出す。



「……う〜ん、やっぱり座り心地良くないよな。あんまり」


 見栄えを良くする為の無駄な装飾が邪魔だよな〜。


 なんて思っている間に扉が開いた。


「魔おぶふぁっ!!」


 魔力の塊を顔面に投げつける。


「リファ」


 名を呼ぶ。リファは一つ頷くとその場から離れる。


「一瞬で楽にしてやる」


 右手の指先に魔力を集め、手を動かし始める。


「ふむ、そうだな。実験してみるか」


 左手の指先(・・・・・)に魔力を集め、手を動かし始める。


「『燃え盛るは炎、降り注ぐは雨』」


「『灼熱の業火は総てを呑み込み燃え猛る』」


「『紅蓮の焔は舞い落ちる水滴をも燃やす』」


「『降り注ぐ雨は全てを焼き払う炎の雨に成り変わらん』」


「『“フレアレイン”』!」


 詠唱を終え、名称を詠んでも発動しない。

 それを見て、自称勇者のゴミ野郎が嘲笑う。


「はっ、ミスってやがる! これでお前の命も終わりだ!!」


 やれやれ、気が早いな。俺の両手に気付いて無いのか?


 右手の魔法は雷と豪雨と暴風の魔法、“テンペスト”。

 左手の魔法は絶対零度と(ひょう)混じりの猛吹雪の魔法、“ブリザード”。


 さて、ここで問題です。

 “フレアレイン”、“テンペスト”、“ブリザード”。この三つの魔法が合わさるとどうなるでしょう?

 “テンペスト”をベースに考えると解りますね。


 答えは簡単、“テンペスト”の豪雨が“フレアレイン”に、暴風が“ブリザード”に変わります。


 ですが、このままだと全てが発動しません。なので、新しく詠唱をしなくてはなりません。三つを纏める為に。


「『降り注ぐは炎の雨、吹き荒れるは猛吹雪、乱れ落ちるは迅雷』」


「『三つの災害が起こる時、合わさり混ざりて更なる大災害へと昇華する』」


「『“トライディザスター”』!!」


 部屋の中が大惨事になった。

 吹き荒れる絶対零度の旋風に降り注ぐ炎、所狭しと駆け回る雷。それらは着々と部屋に傷を残していった。

 ひょっとしなくてもやりすぎ……だよな。ヤバいな、ティアに怒られる。そしてボコられる。その後に光に襲われる。


 いや、でも、もう遅いしな……後で土下座するしかないな。


「あらら〜……」


 自称勇者サマはボロ雑巾の様になり、倒れ伏していた。


「さて、二度と俺の前に現れないようするか」


 指先に魔力を集める。


(中略)


「『“ヘルズゲート”』」


 ボロ雑巾を見送り、部屋を後にした。

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