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世界最強の超能力の異世界譚  作者: 灰色 人生
第1章 アルカランス王国編
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28話 南方伯との対面(1)

 



 無為に一週間過ごした訳ではなく、この一週間マーカスは伝手を利用して、ケインとルーラは冒険者として活動しながら、トバイアス卿は知り合いの情報屋からと、それぞれが情報収集に勤しんだ。


 そして遂に南方伯との対面の日がやって来た。


 届いた正装に着替える。


 この日の為に拵えただけあり、見事なものである。


 元々ケインの場合は、ちゃんとしたスーツを着て居たが、念の為にケインも着替える事にした。



「皆さん。見違えるようですな」と朗らかにマーカスが告げる。


 社交辞令ではなく、本当に驚いた口調であった。



 それにしても、女性陣は化粧もしているので、更に美しくなっている。



 馬車は既にマーカスの商会が手配してくれており、後はその馬車に乗り込むだけである。



 最終確認を済ませて、8人は馬車に乗り込む。


 ジョン、ルーラ、ケインの3人は、当初は行く気は無かったが、エミリアが今後協力体制を取るならば、顔合わせはしておくべきだと言われたので、渋々の参加である。


 ジョンなど、今にも吐きそうな程に顔色が悪い。


 極度の緊張の為であろう。


 馬車は大通りを南方伯の屋敷へ向かう。


 屋敷とは言うが、見た目はちょっとした城である。


 高さ5メートルの塀に囲まれており、庭などは30分おきに巡回の兵士が周っている程である。



 南方伯は、交易で儲けているので兵士の練度と装備はどちらも高い水準を誇っている。


 大通りを巡回する衛兵の動きも、キビキビとしており街の人々は、安心して買い物を楽しんでいる。


「笑顔に溢れた素敵な街ですね」


「はい、活気もあり民達が活き活きとしています」


 エミリアの呟きに、ローラが応える。


 確かに二人の言う通り、皆楽しそうである。



 馬車はやがて、一般的な通りを過ぎて行き、ちょっとした高さ2メートル程の壁に覆われたエリアにやって来た。


 此処から先は貴族区で、中には貴族や大商人などの邸宅があるらしい。


 マーカスさんも持っているのか聞いたところ、王都にはあるが南方都市には、商会の支店のみを置いているらしい。


 一応貴族区に屋敷に持つのは可能らしいが、それほど頻繁に訪れる訳ではないので不要との事だ。


 無駄に維持費と人件費が嵩むだけらしい。


 マーカスさんは変に、見栄を張ったりはしないタイプの商人である。



 門番に用向きを伝えると、既に連絡が行っていたのか軽く検査されるだけで、貴族区の中へと入れた。



 貴族区では、貴族の私兵や冒険者や傭兵がパトロールしていた。


 傭兵には港町ポートでの、悪い印象しか今のところはない。


「貴族区の中を巡回する冒険者や傭兵の方は、基本的にランクと信用度の高い人達ですから、滅多なことでは諍いは起きませんから大丈夫ですよ」


 どうやら表情に出ていたようだ。


 マーカスさんに感謝を伝える。


「いえ、お気になさらずに」


 そうマーカスは言う。


 そして貴族区も終わり、南方伯の屋敷へと到着した。


 貴族区と商業区などを区別する壁よりも、高い5メートル程の壁に守られた、屋敷と言うよりは砦や城に近い南方伯の屋敷へと、いよいよ足を踏み入れる。


 門の前には数人の門番が待機しており、御者が用向きを伝えると、「少し待て」と言われて、門番の一人が屋敷の方へと歩いて行く。


 そして伝令係と思われる使用人に扉の前で、用件を伝えている。


 用件を伝えられた使用人は、屋敷の中へと入って行き、門番は戻って来る。


「かなり厳重な警備の様ですね」


 ローラがそう呟くと「はい。普段よりも厳重に見えます。何かあったのでしょうか?」とマーカスが返す。


「多分だが、此処最近のマーリア王女殿下の事を警戒してだと思われる。過激な者が派閥内にいるとも聞いたのでな」


 トバイアス卿が自身の予想を伝える。


 それだけにしては、厳重な気もする。


 この警戒に対して、密偵達の記憶を覗いたが、特に理由らしきものは把握していなかった。



 暫く待つと、先ほどの使用人が戻って来て、何やら門番に言っている。



「確認が取れました。どうぞ中へ」


 門が開き、馬車をロータリーとなっている場所まで進める。



 馬車が止まると、御者がヒラリと席から降りて、扉の前に台座を素早く用意する。


 そして扉を開けてくれる。


 先にマーカスが降りて、その次にジョンが緊張した面持ちで降りる。

 その後をケインとトバイアス卿が降り、女性陣をサポートする。


 一人一人に手を貸して行く。


 そして全員が降りた事を確認した御者が、扉を閉めて台座を片付ける。


 そして馬車を規定の場所へと運んで行く。


「こちらで御座います」


 屋敷いや、城の前で待ち構えていた執事に案内されて、城の中へと入って行く。


 案内されたのは、二階の応接室である。


「旦那様は、もう直ぐ来られますので、それまでこちらの部屋でお寛ぎ下さいませ」


 執事の声に合わせた様に、四隅に控えていたメイド達が手早くテーブルに、紅茶と軽い軽食を用意する。



 時刻はもうすぐ昼と言うこともあり、確かにお腹が空いて来る時間帯である。


 正確な時計があれば、短い針は11を指していただろう。


 用意が終わると、再びメイド達は壁際に下がり、調度品の様に微動だにしなくなった。


 暫く待つと、「旦那様が参りました」とメイドが告げる。


 その声に合わせてケイン達は立ち上がる。


 扉が開かれて一人の偉丈夫が入って来る。


誤字脱字などがありましたら、報告してくれるとありがたいです。

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