25話 傭兵ギルドポート支部
前の世界でも何個か国は潰したが、その後の顛末には興味が無かったが、この世界では初めてなので前の世界と世界情勢も違うので興味があったのである。
港町ポートの傭兵ギルドは、冒険者ギルドから100メートル離れた場所に建っていた。
冒険者ギルドと比べるとだいぶ小さく、古い感じがする。
「ここが傭兵ギルドか。冒険者ギルドよりも古臭いな」
そう呟きながら中へと入る。
中には昼間から酒を飲んでいる呑んだくれが数人、潰れて寝ていた。
それらを無視してケインはズンズンと受付へと進む。
「ようこそ、傭兵ギルドポート支部へ」
やる気のカケラもない受付の男性がそう言う。
「情報が欲しい。ここより二つほど隣国の状況だ」
「あ〜、少し待って下さい。それより傭兵ギルドのギルドカードの提示を」
「いや、持ってないぞ」
「でしたらお話出来ません。ギルド会員のみですね」
「冒険者ギルドの方は駄目か?」
そう言うとガタッと音がした。
振り返らずとも併設された酒場にいた傭兵が席を立った音だろう。
「おいおい、見ねえ顔だと思ったら、冒険者の野郎かよ」
席を立った人数から相手は5人。
それにしても気配を消したりとかは出来ないのか?
それともこちらを格下と侮っているのだろうか。
こういう奴等に限って見た目だけで実力は大した事がないのが多い。
相手にするのも面倒なのでもう用はないのでさっさと出て行く事にした。
「はい、申し訳ありませんが使えませんね」
と言うが受付は全然申し訳無さそうではなく、サッサッと何処かへ行けと言外にケインに伝えて来る。
「邪魔したな」
そう言って振り返り、待ち構える5人の傭兵を無視して外へ出ようとするが「おいおい、何処へ行くつもりだ?」と目の前に立ちはだかり邪魔をしてくる。
鬱陶しいので軽く脳をプチっとしてやると、目の前の男は白目を剥いて倒れる。
口からは泡を吹き出している。
「お、おい!大丈夫か!」
「テメェ何をしやがった!」
「見ての通り何もしていないだろう?貴様の目は節穴か?」
敢えて挑発する様に言う。
だが、実際に周りの男達はこの目の前の男が倒れた男に、手を触れてさえいない事に気付く。
「チィ酒の飲み過ぎか」
実際に傭兵の男達は、急性アルコール中毒と言う言葉は知らずとも、その原因と結果は知っている。
時折酒を飲み過ぎて倒れる者があり、運が悪ければそのまま死んでしまう者もいる事も、なので急いで酔っていない傭兵が倒れた男を担いで治癒院へと向かって行く。
そして今回は急に動いた事で酒が一気に回って倒れたのだと、傭兵達は思っていた。
そしてその原因がケインだと勝手に決め付け、逆恨みして更に激情する。
まあ、実際に倒れたのはケインが原因なので、当たらずとも遠からずと言ったところか。
だが、いちいち相手にするのも面倒だ。
どうするか対処法を考えていると、ドスドスと重たい音が入口の方から聞こえてくる。
見れば大剣を背負った2メートル程の禿頭の巨漢がいた。
「テメェら何してるんだ?また絡んでんのか?ただでさえこの町で、俺たち傭兵の立場は低いのによ?」
港町ポートは、基本的に傭兵よりも冒険者が重視される。
それは海に面しているからである。
水棲の魔物の被害があるからである。
陸側には重厚な壁があり、例え包囲されたとしても海側が大丈夫であれば補給や増援は用意である。
何せ一大交易都市であり、防衛都市の側面も持つ南方都市とほど近い位置に存在するからである。
アルカランス王国海軍の本拠地も南方都市を挟んだ反対側にあるので、ここら辺の海域には海賊や私掠船などは近付かない安全な航路である。
定期的に間引いているが魔物はやって来る。
閑話休題。
その為に傭兵よりも冒険者に重きを置いている。
そしてその事に不貞腐れた輩が、いつまでも動き出そうとせずに取り残されたのが港町ポートの傭兵ギルド支部の者達である。
やる気がある者達は仕事を求めて、大国よりも小競り合いが多い小国へ集まる傾向にある。
勿論大国にも一定数の依頼はあるので、残る者もいるがその者達はちゃんと考えた末に残ったり、目的があるから残った者が大半であり昼間から酒を飲んでいるこの者達は当てはまらない。
巨漢の男にそう言われて、頭を垂れる男達。
「チィ………ふぅ、コイツらがすまなかったな」
「いや、問題ない」
「そうか?またコイツらに絡まれたら言ってくれ。俺はガドーだ」
「ああ、わかった」
手間が省けたので傭兵ギルドを後にする。
■
「ガドーさん。すまなかった」
ケインに絡んでいた傭兵の一人がガドーに謝る。
「それにしても、お前ら命拾いしたな」
ガドーの言葉に傭兵達は訳がわからない。と言った顔をする。
「なんだ?気付いてなかったのか?あの男、恐ろしく強いぞ」
「なっ!?まさか?」
「本当だ。立ち振る舞いに隙が無かった」
「なら、高位の冒険者ですか?でもそれなら冒険者ギルドと傭兵ギルドの確執なども知っているかと」
「そうとは限らない。だが、それにしてはあの風貌の冒険者は見たことも聞いたこともないな」
ケインの服装はこの世界では珍しいスーツ姿である。
「まあ、いい。兎に角、誰にでも噛み付くな。いいな?」
「「「「わかりました」」」」
こうしてこの話は終わった。
因みに倒れた男が死んだことを聞いて彼らは気落ちしたが、ケインのせいにする者は居なかった。




