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世界最強の超能力の異世界譚  作者: 灰色 人生
第1章 アルカランス王国編
23/33

23話 港町ポート(8)

 


 何処かの暗い洞窟の中


「どうやら例のシーサーペントが何者かに討伐されたようです」


「何?あの辺りに倒せるような奴はいたか?」


「いえ、どうやら逸れた個体だけです。まあ、それも群れから逃げ出した弱い個体ですがね」


「なら問題ないだろう」


「いえ、調査隊を送られる可能性があります。一応ほかの魔物を引き寄せるスキルの覚醒には成功しており、かなりの数の魔物があの海域に集結したようです」


「仕方ない。ならあの海域からは手を引け。十分なデータは既に得られた。今はまだ表に出る時ではない」


「はっ!畏まりました」


 ローブ姿の男はそう言って深く頭を下げた後、影に溶ける様に消えた。



 残された男もその後姿を消した。






 ■


 マーカスに案内されてついて行った場所は、大通りでありそこは町の人で賑わっていた。


 更に他国からも時折商船がやって来るので、南方都市には負けるがそれでもアルカランス王国でも指折りの港町であろう。


 異国情緒あふれる町並みを見ながら、先頭を歩くマーカスに付いて行くとこの大通りにある建物の中でも、一際大きく目立つ存在感のある店へと普通に向かって行く。


「マーカスさん。あそこですか?」


「ええ、そうです」


 笑顔で答えるマーカスに付いて店に行く。


 店先の従業員と思われる青年にマーカスが「すまないが、支店長にマーカスが来たと伝えてくれ。それだけでわかるはずだ」


 言われた青年はピンと来ていないが「畏まりました。少々お待ちください」と言って店の奥へと向かって行く。


 急がずかと言って客を待たせない速度で歩く店員にマーカスは「うむ、良く教育が行き届いているな」と満足そうにしていた。


 普段は陽気なおじさんだが、何故か今はとても凄みを感じる。



 暫くするとベテランの従業員がやって来て中へと通される。


 5階建ての建物の最上階に支店長の部屋があるらしいが、今回通されたのは4階にある応接室である。


 中に通されて、席に座るとそれぞれの前に紅茶が置かれる。


 この世界には茶菓子などはない様だ。


 暫く待っていると、扉がノックされて白髪の紳士が現れた。


「大変お待たせ致しました」


「いや、急に来て悪いね」


「いえ、それにしてもマーカス会頭が無事で良かったです。手紙で無事は伝えられてましたが、やはりこの目で見ないことには心配でした」


「それはすまない事をした。それと紹介しておこう。こちらは私の命の恩人のルーラ殿とケイン殿だ。報酬を約束していてね。すまないが都合してくれないだろうか?」



「勿論です。因みに二人のランクをお伺いしても?」


「ルーラ殿はミスリルでケイン殿はシルバーだ。だが、ケイン殿の実力はそれ以上はあるだろう。何せ一人でシーサーペントを討伐したのだから、それにここに来るまでに無数の魔物を倒して来たのをこの目にしている」


「なるほど、それほどの実力者ですか。それで他の方々は?」


「彼らは、私と共に魔物の巣に捕まっていた方達だ。すまないが、色々と事情があるのであまり詮索しないでくれると助かる」


「畏まりました。すぐに報酬を用意します」


 一礼して支店長が下がる。


 出された紅茶を飲んで待っていると、袋を二つ手にした支店長が戻って来る。


「こちらが御二方の報酬です」



 渡された袋はズッシリとした重さがある。


 かなりの大金の様である。


「確かに」


 受け取った袋を収納する。



「さてと、それで私が居ない間に問題は?」


「いえ、特に大きな問題が起きたとは聞いていません。この機会に勢力拡大を図った商会は、悉く御子息が対処なさいました」


「そうか、私は本店に戻れば家督を息子に譲るつもりだ」


「何と!?」


 支店長が初めて驚いた表情をする。


「本当だ。今回の件で流石に行商の真似事は限界だと感じた。それにそろそろゆっくりとしようかとな」


「わかりました。この事は他の者達には?」


「まだ伝えてないな」


「わかりました」


 その後細々と確認作業を終えた後、いよいよ本題に入る。


「さて、今の国内情勢はどうだ?」


「はい、最近は第三王女殿下がしきりに動いています。教会に姫巫女の地位を要求しており、ガラの悪い連中が増えましたね」


「なるほど」


「そして、第三王女殿下の周りには悪い噂の絶えない貴族が集まりだしており、一大勢力を築いています」


 どうやらこの数ヶ月の間に、かなり勢力を拡大したようである。



「南方伯様については?」


「かの方は未だに第四王女殿下であらせられるエミリア様の支持を表明しております。その為に第三王女派閥から圧力や嫌がらせが、度々あると聞いて居ますが、南方伯様は交易で膨大な富を築いており、人脈も広い為に今のところ問題は無さそうです」



 その話を聞いてエミリアは嬉しそうな、心配そうな表情を見せる。


 未だに自身を擁護してくれて嬉しい反面、それで不利益などを被っていると思うと辛いのだろう。



「目星しい情報はこれぐらいですかね」


「なるほど、すまないがもう少し情報を仕入れて欲しい」


「わかりました。他の支部にも?」


「伝えてくれ。それと今日泊まる宿を紹介して欲しい」


「畏まりました。少々お待ち下さい」


 少しすると一枚の紹介状と地図を持って来た。


「こちらがおススメの宿です」


「すまない。助かるよ」


「いえ、いつも助けられておりましたから」


 その後支店長と別れた一行は宿に向かう。


 マーカスは支店に泊まれたが、付いて来てくれた。


 王都までは一応護衛は継続である。



 因みに港町ポートまでは、正式に他の街で冒険者ギルドでマーカスの指名依頼と言った形で請け負っている。


 これはケインの実績作りの為である。



 それほど紹介された宿は離れて居らず、すぐに到着した。



2、3日に一回のペースで投稿します。

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