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世界最強の超能力の異世界譚  作者: 灰色 人生
第1章 アルカランス王国編
18/33

18話 港町ポート(3)

 



 特に待ち合わせ場所とかを決めて居なかったが、ケインが二人の位置を把握していたので無事に合流出来た。


「船は問題なく手配出来ましたよ。早朝出発する商船に乗船する事になります。なので今夜はこの町で一泊するので宿屋を探しましょうか」


 マーカスの提案に頷き、町の人から評判が良く飯の美味い宿屋を聞く。


 そして教えて貰った宿屋へと向かう。



「ここか」


 中に入ると「いらっしゃいませ」と声を掛けられて、女将が対応してくれる。


 部屋割りは二人部屋を四つ借りる事にした。


 内訳はエミリア・ローラとその両隣をジェシカ・ルーラとトバイアス卿・ジョンである。


 マーカスとケインが同じ部屋である。


 警備ならジェシカが一緒の方が?と思ったが世話をするなら侍女である私が、とローラが主張した。


 それに護身術なども使える様である。


 そうやって部屋割りが決まったあとは、各自自由時間である。



「それで、何か聞きたい事でも?」


 チラチラとマーカスがケインを見てきたのでそう質問する。


「いやはや、実はですな。商業ギルドでとある噂を聞きましてな。それをエミリア様達に伝えるかどうしようかと思いまして」


「ほう、その内容は?」


「はい、国王陛下が病に倒れたとか。もしこれが罠であればエミリア様達を誘い込むものでしょうね。何かしら生存を確認してその行方を探している可能性があります。

 そしてこれが罠ではなく事実の場合はすぐに王都に向かおうとするでしょう」



「なるほど、だが伝えといた方が良いだろう。どう判断しようと俺は護衛だ。守るだけだ」


「頼もしいですな。わかりました。伝えてまいります」


 そう言ってマーカスは部屋を出て行く。



 そうして30分ほどして部屋にマーカスが戻って来た。


「予定は変わらず港町ポートを目指すそうです。今は何よりも情報が少なく敵の狙いが読めないらしいですから」


「一つ聞いても良いか?」


「一つと言わずいくつでもどうぞ」


「何故、エミリア達に協力するのだ?確かに成り行き上仕方なくここまでは来てしまったが、どちらかと言えば、このアルカランス王国に入ったのでいつでも抜けられる立場だろ?今はエミリア陣営の方が圧倒的に不利な状況には変わりない」


「そうですね。元々私は行商人でした。父も行商人でその跡を継いだ形になります。父は優しい人でしたが、商才には乏しかった。

 私には商才がありその事を理解した父は早くに私には父の全ての人脈などを引き継いでくれました。私はその人脈などを利用して一代でアルカランス王国でも最大規模の商会の長にまで上り詰めました。

 成り上がり者と蔑む輩も居ますが、そんな者は気にしてませんよ。そして私の勘は良く当たります。その勘がエミリア様達に賭けろと囁くのです。それに私ももう50を過ぎましたし、一世一代の最期の賭けに乗ることにしたのです。

 これがどう転んだとしても、私は息子に家督を譲り隠居する予定ですよ」


 そう穏やかに微笑みながら告げる。


 その言葉には重みがある様に感じられた。


「そう言うケイン殿は何故ですか?」


「簡単だ。面白そうだからだ」


 それを聞いたマーカスはポカンとした表情になる。


「ふふふ、面白そうと。一国の命運を分けるかもしれない状況を。いや頼もしいですね」


「ふっ、そう言うマーカスさんも楽しそうじゃないか」


「ハハハ、確かに!楽しいですね!まるで20代の駆け出しの頃に戻った気分ですよ!あの時は無限大の可能性がありましたからね」



 その日の晩はマーカスと夜遅くまで、ワイン片手にそれぞれの体験などを語り明かした。


 翌朝、マーカスとケインは二日酔いになる事もなくスッキリと目覚めた。


「ケイン殿もお酒は強いのですな」


「まあ、酔った事はないな」


「それは凄い!私は付き合いもありますので、少しずつ飲める様になって行ったのですよ?」


「それでもあれだけ飲めれば大したものだ」


 楽しそうに笑い合う二人に、ルーラやエミリア達は昨夜二人の間に何があったのだろうか?と興味が引かれたが、詮索せずに旅支度を済ませる。


 宿を後にした後は、トバイアス卿の先導の元卿乗船する船まで向かう。


 乗る船はキャラック船でありその中でも最大級の60メートル級の船である。


「大きいですね。僕船に乗るの初めてなんですよ」とジョンがそう感想を言う。


「私も初めて乗ります」


 と言い、この中で船に乗った事があるのはルーラ、トバイアス、マーカス、ケインの4人である。


 まあ、ケインの場合は現代船なのでキャラック船に乗るのは初めてではあるが、大丈夫だろうと思っている。


「さて、船長に挨拶をして来ますので待っていて下さい」


 そう言ってマーカスは、如何にも海の男って言う感じの壮年の男性に話し掛けて居た。


 何やら会話して握手をしている。


 こちらに手を振っているので来いと言うことだろう。


「マーカスさんから話は聞いてるぞ。俺はこのヒーロコック号の船長のダイラスだ。ちゃんとポートまで送り届けてやるよ。さぁ早速乗ってくれ。今は甲板は荷物の積み上げに忙しいから、船室で大人しくしててくれ。まあ、客船じゃねえから船室も上等なもんじゃないが我慢してくれ。おい!」とダイラスが船員の一人を呼ぶ。


「客人だ。船室に案内して差し上げろ」


「了解キャプテン!さぁこっちです」


 船員の案内に従って船に乗る。

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