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世界最強の超能力の異世界譚  作者: 灰色 人生
第1章 アルカランス王国編
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17話 港町ポート(2)

 


 笑い合う2人をどうしたものかとエミリアが悩んでいると「リア様。そろそろ私達も昼食を食べに行きませんか?」とローラが声を掛けて来る。



「そうね、でもマーカスさんやトーバ(トバイアス卿の偽名)を置いて行っても良いのでしょうか?」


「大丈夫でしょう。あのお二人も何処かで適当に食べて来るでしょうから」


「そう?そうね、わかったわ」


 ローラに説得されたエミリアは頷く。



 そしてジョンは完全に空気となっていた。


(マーカスさん達に付いて行けば良かったかも)と心の中でジョンは思っていたそうな。





 ■



 久し振りに刺身を食べられて御満悦になったケインは、他にも何か無いかと町を散策する。


 歩いていると路地裏から争う音が聞こえて来た。


 何時もなら無視するが今は気分が良いので様子を見に行く。


「さて、だいたい目星は付くがもしかしたら面白い可能性もあるな」


 刺激に飢えているケインはそう呟いて鼻歌を歌いながら路地裏へと入る。


 途中絡んで来たチンピラは気分が良かったので、両足の骨を折る程度で済ませたケインは、漸く騒ぎの中心を発見する。


 そこには如何にも人攫いと言った風貌の男達十数人に取り囲まれている女がいた。


「お、エルフか。珍しいな」



 この世界へ来てからは殆どが人族であり、他の種族はあまり見ていない。


 というのも、この辺りの周辺国は亜人排斥国である人族至上主義者が多かった為である。


 なのでこの近辺にはあまり流れて来ないのである。


「さあて、大人しくしろや」


「ふざけるんじゃないわよ!この人攫い共が!」



 女は腰の細剣を抜き放ち戦う様だ。


「チィ!大人しくしてれば良いのに。いいか!顔には傷を付けるなよ!商品価値が下がっちまうからあまり傷は付けたくないが仕方ねえ」


 男達も得物を抜き放つ。


 緊迫した様子の中ケインはポケットから煙草を取り出して一服する。


「ふぅ、さて行きますかね」





 ■


 何てついていないのだろう?と私エルフのミカーニャはそう内心で愚痴る。


 彼女はエルフ族の戦士で、此処には攫わられた同胞の情報を求めてやって来て、情報を仕入れたので故郷に戻る途中であった。


 情報を仕入れるのに結構な魔力を消費しており、疲弊した所にこの人攫いの集団と遭遇したのである。


 魔力はあまりないが、剣の腕前には自信があるのでこの程度の数なら問題はない。




 ミカーニャが動き出そうとしたその時、コツコツと足音が聞こえて来たので、そちらを見ると人攫いも足音の方向を見る。


 すると此方に歩いて来る黒尽くめの見慣れない服を着た男が此方へ歩いて来ていた。


「おい、なんだお前?大人しく回れ右して失せれば怪我をしないで済むぞ」と一番近くにいた男が近付いてそう男に告げると「臭いな。やはり害虫は駆除するに限る」と告げた瞬間、男の近くにいた男が弾け飛んだ。


「な、なんなのアレは?見たことがない魔法ね」


 ミカーニャはエルフ族の戦士の中でも魔法に精通した一人であるが、今のは何をどうしたのかわからなかった。


「や、やろう!やっちまえ!」


 ボスの合図で人攫い達は私と男の方へ剣で斬りかかって来た。



 取り敢えず黒尽くめの男の事は一旦置いておいて、今は目の前の敵を切る!


 エルフ流細剣術で、素早く敵の急所を突く。


 喉、心臓と続け様に二撃を入れる。


 流れる様な動きで人攫いを3人突き殺した所で、人攫い達は距離を取ったのでチラリと黒尽くめの男がどうなったか見ると、その足元には既に8人が手足を奇妙な方向に折り曲げられて転がっていた。


「おい、不味いぞ。ここは一旦逃げた方が」と人攫い達も動揺している。


「チィ!一旦引くぞ!」


 残った5人が逃げ出したが、5人はいきなり胴が真っ二つに切り裂かれた。



 何が起こったのかミカーニャは分からなかった。


 精霊が動いた気配もない。


 まるで異質な存在に恐怖する。



 そして黒尽くめの男はそのまま立ち去ろうとしたので、ミカーニャは思わず声を掛ける。


「待ってちょうだい!」



 アレ?声を掛けたけどどうする?


「あ、あの。私はミカーニャ。助けてくれてありがとう」


「………ケインだ」



「あの、それでお礼をしたいのだけど今私は急いでて必ずこのお礼はするから、その連絡先などを教えてくれないかしら?」


 ミカーニャは手に入れた情報を一刻も早く里に報せに行かなければならなかった。


「別に御礼が目的ではない。気にするな」


 そう言って黒尽くめの男であるケインは去って行った。


 その後を暫く見つめていたミカーニャだが、はっと我に返って急いでその場を後にする。






 ■



「ふぅ、人助けをすると肩が凝るな。慣れない事はするもんじゃないな」


 そう呟き咥えていた煙草を捨てる。


 地面に落ちた煙草は一気に燃えて灰になる。


「さてと、そろそろルーラ達と合流するか。………あっちだな」


 ルーラ達を見つけるとそちらの方へと歩いて向かう。



 暫く歩くとルーラ達がちょうど飲食店を出たところであった。


「あ!ケイン」とルーラが此方を見つけて声を掛けてくる。


 それにしてもジョンが少しやつれた様に見えるのは気のせいだろうか?


 近付くとジョンが「ケインさん!何処に行ってたんですか!一人にしないで下さいよ!」


「いや、一人って。ルーラ達も居るだろう?」


「そうですけど、そうじゃないです」


 つまり男一人だったのが嫌だったらしい。


 何となく気まずくて変に疲れたのだとか。


「それは、すまなかったな」


 素直に謝っておく。



 そうやったいるうちにトバイアス卿とマーカスが戻って来た。

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