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世界最強の超能力の異世界譚  作者: 灰色 人生
第1章 アルカランス王国編
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15話 アルカランス王国へ(5)

 


 エミリア自身は自分よりも優秀な姉達が選ばれなかった事に疑問であったが、第一王女は既に結婚が決まっており勇者召喚よりも先に、式を挙げて他国へと嫁ぐ事になっていた。



 姫巫女の役目は神からの神託を授かる事であり、勇者召喚の補助を行う重要な役目である。


 その為に王女とは言えど、姫巫女になると政治からは切り離され教会預かりになるのが通例である。


 ただし今までは15歳以上の王女が姫巫女に選ばれていたので、それまでは王城での生活が許されたのである。


 ケインが思うに第三王女はエミリアに激しい嫉妬を抱いているのでは?と思っている。


 そして何故エミリア達が魔物の巣に居たのかと言うと、王城の通路で偶然に第三王女と出会いらいつもの様に侮辱して来るのかと思うと微笑むだけで、何も言わずに通り過ぎて行ったらしく、疑問に思ったが角を曲がった瞬間第三王女の元にいる怪しい魔術士が待ち構えており、いきなり状態異常の魔法をかけて来た。


 そして動けなくなった隙に足元に転移の魔法陣が浮かび上がったのである。


 因みにジョンはこの時に偶然巻き込まれたのである。


 そして転移で飛ばされた先が、ビックスパイダーの巣であり状態異常の影響で身体が麻痺して動けない隙に糸でグルグル巻きにされたのである。



「これが私達がああなった経緯です。それでも付いて来て下さいますか?」


「勿論だよ。ちゃんと送り届けてあげるから安心して」


「ああ、面白そうだしな」


「ありがとうございます」


 嬉しそうな子供らしい笑顔を初めてエミリアが見せた。



 この街である程度情報を仕入れた後、いよいよアルカランス王国への関所へと向かう。


「この国とアルカランス王国の関係はどうなんだ?」


 ケインの質問にトバイアス卿が答える。


「そうだな。よくも悪くもない感じだな。アルカランス王国はこの大陸でも有数の大国だから、下手に手を出さないのもあるが、特に貧しくもなくこの国の王も保守的な考えで、領土欲などはそれほど無いので無理してまで他国に攻め込む気はない感じだな」


「なるほど」


「それにアルカランス王国の隣国である東方には、敵対国家である神聖王国があるからな。あの国は人族至上主義を唱え、更には光の神を唯一神とする光信教が盛んであるからな。

 アルカランス王国は多民族国家であり、多神教だからな。その為に度々争いが起こるが、代々の東方伯は戦上手なお人であるから、今のところアルカランス王国の東の要衝であるメリバリ要塞を越えて来た事は一度もないからな。

 逆に何度かお灸を据える感じで、神聖王国の西方にある都市をいくつかに攻め込んで破壊して、此方への補給点を潰したりして再び攻め込んで来るのに数年間掛かる様にしたりしてるな」


「何故破壊するんだい?手に入れたらいいのに?」


「それは神聖王国人の気質の問題だな。人族至上主義の為にそれ以外の人種を見下しているからな。アルカランス王国軍の中には人族以外も多くいるから諍いが絶えないんだよ。まあ、向こうから絡んで来るのが多くての。当初は占領政策だったが、反発が酷くて割に合わないと見て何代か前の国王様は殲滅を宣言して、神聖王国の西部を蹂躙して行ったが国内外からの批判が思ったよりも多くてな。その時は神聖王国と敵対してたのはアルカランス王国のみであったから、他の国から理解を得られなかったのだ。まあ、今では近隣諸国も神聖王国の拡大に伴いその危険性を理解したので、殲滅王と呼ばれた何代か前の国王様は正しかったと理解されたらしい」


 苦々しい感じで神聖王国について語るトバイアス卿にケインとルーラは度々相槌を打つ。


「なるほど」



「おっと、話がずれたな。つまりこの国は特に問題ないって事だな」


 そうやって話している間にいよいよケイン達の番が回って来た。


「止まれ!お前達の目的と荷物はなんだ?」


 関所の兵士に対してはマーカスに一任している。


「これはどうも。いえ、商いの帰りで御座います」


「ほう、この国の商人か。商業ギルドのカードを提示して貰う。他の者達もギルドカードを持っていれば提示してくれ」


「わかりました」


 因みにエミリア達はギルドカードを持っていなかったので、ここに来るまでに作っておいた。


「うむ、問題ないな。一応犯罪者でないか確認する為に判別石に一人ずつ手を触れて来れ」


 言われた通りに触っていくが問題は起こらなかった。


「よし、大丈夫だな。ようこそアルカランス王国へ」と決まり文句を行って通してくれる。


 暫く進み関所から離れると「ふぅ」とエミリア達が安堵の息を吐く。


「緊張しましたね」


「はい、そうですね。流石に関所の兵士達には我々の顔は知られて居なくて助かりました」


「そうで御座いますね。ですが、この先もそうとは限りません。幸いエミリア様は社交界などに出たのは両手で数える程度ですので、そこまで顔を知られている可能性は低いですが、可能性はゼロではありませんからね」


 史上最年少の姫巫女として名前は広く知られてはいるが、そこまでエミリアは珍しい名前ではないのでバレはしないが此処からは念のためにリアと呼ぶ事にする。


「その通りです。ですのでリアと呼んで下さい」


「畏まりました」


「その態度もやめて普通の町娘に接する感じでお願いします」


「ですが!」とジェシカが言うがもう一度エミリアが言うと了承した。


 そして一行は港町ポートを目指す。




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