12話 アルカランス王国へ(2)
一方のケインこと上条圭は、この出来事を面倒だとは思っておらずイベント来たぁぁぁ!と内心では歓喜していた。
もしかしたら前の世界で妄想したが実在しなかった闇の組織(犯罪組織はあったが、期待とは違ったのである)も実在する可能性も出て来た。
だが、内心を悟られない様に仏頂面は維持したままである。
ラノベ的展開だと、この一行について行った方が絶対に面白い!とラノベの神が囁いているのでこのビッグウェーブには乗るつもりである。
寧ろ逃がす気はない。
「アレ?ラノベ的展開と言えばステータスがあるはずだよな?何故試さなかったんだ!」と一人ケインは後悔していた。
「ふぅ、良し試すか」
「ん?何を試すんだい?」
注意散漫になっており、ルーラの接近に気付かなかったので吃驚したが、そんな事はおくびにも出さずに「いや、なんでもない」と告げた。
「それで、魔物はいたのか?」
「まあね。少しだけいたから全て狩って来たよ」
「そうか」
「じゃあね」と言ってルーラが去って行ったのを確認してからケインはコソコソと場所を移動する。
周りに人が居ないことを確認したから「ステータスオープン」と唱える。
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ステータス
名前:上条圭
職業:error
種族:人族
『スキル』
超能力
偽装(Lv:Max)
鑑定(Lv:3)
『称号』
異世界人・超能力者・大虐殺者・世界最強
勇者
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中々物騒な称号が付いているな。
この世界ではそこまで暴れてないので、前の世界のが反映されているのだろうか?
それに職業部分はerror表示だな。
それにしても偽装か。前の世界では日常生活が送れなくなると面倒だから、最初の頃は変装に力を入れてたからな。
特殊メイクの技術も独学で会得したな。
まあ、最後の方は面倒だから変装しなくなったけど、問題は無かったな。
さてと、このままだと目立つから偽装するか。
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ステータス(偽装)
名前:ケイン
職業:魔術士
種族:人族
『スキル』
重力魔法(Lv:6)
風魔法(Lv:5)
火魔法(Lv:5)
『称号』
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こんな感じか?確かレベルは10(Max)が最高だったよな?
近接は別にいいか。重力魔法は珍しいが、念力を使うなら必須だからな。
他の人たちのも見てみるか。
村人を見ると職業は村人となり、スキルも生活魔法が使えるのが数人いるくらいで、スキルや称号を持っていない人も珍しくなかった。
それにしても今まで鑑定持ちに会わずに済んで良かった。
鑑定持ちは希少らしく、国が保護するスキル持ちの一つである。
鑑定石と言う魔道具も確かに存在するが、そちらは手で触れなくてはならず、更に一般的に普及している鑑定石は鑑定レベルは1であり、スキルと称号は見る事が出来ない。
大きな都市に行くと鑑定石レベル2以上の物も用意はされているらしいが、希少な為滅多に使われない。
一応王城には鑑定石レベル5があったらしいが、ケインはその事は知らずに破壊してしまった。
町や村には判別石と呼ばれる犯罪者かどうかを判別する魔道具がある。
因みにステータスオープンは自分にしか見えず、それで見れるのは鑑定レベル3程度までである。
さて、そろそろ他の三人も起きてる頃だろう。
ケインは宿に戻る。
宿に戻るとルーラが宿の入口に居て話しかけて来た。
「戻ったか。どうやら他の三人も起きたようでな、今トバイアス卿が三人に事情を説明しているよ」
「そうか」
そう言ってケインはルーラと共に3人の元へと向かう。
その最中にルーラにも鑑定を掛けて見る。
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ステータス
名前:ルーラ・イストバーグ
職業:魔法剣士
種族:人族
『スキル』
剣術(Lv:7)
水魔法(Lv:5)
氷結魔法(Lv:2)
『称号』
魔剣姫・イストバーグ家の才女・元深窓の令嬢
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するとルーラが後ろを振り返って来たので鑑定をやめる。
「どうした?」
「いや、う〜ん?気のせいかな?何でもない」
どうやら違和感を与えたようだ。
これから強そうな奴にやる時は注意が必要だろう。
もっと鑑定のレベルが上がれば違和感を抱かせないかも知れない。
それ以上追求はされなかったので良かった。
その後階段を上り三人が居る部屋へと向かう。
扉の前にはジョンが立っていた。
「あ!ケインさん、ルーラさん!」
「目覚めたと聞いたが?」
「はい!少々お待ちくださいまい」
そう言い扉をノックして「ケインさんとルーラさんが来ましたが開けてもよろしいでしょうか?」と確認を取る。
すると中から「入ってもらえ」とトバイアス卿の声が聞こえた。
「どうぞ」と言いジョンが扉を開いたので、ケインとルーラは部屋の中へと入る。