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世界最強の超能力の異世界譚  作者: 灰色 人生
第1章 アルカランス王国編
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11話 アルカランス王国へ(1)

 


 翌日漸く残りの五人のうち1人が目覚めた。


 目覚めたのは兵士の少年である。


「此処は……確かいつも通りに仕事をしてた筈だが、此処はどこだ?」


 横を見ると騎士が寝ていた。


「確か、トバイアス卿」


 トバイアス卿は第四王女殿下であるエミリア様付きの騎士だった筈だ。


 年齢も40代でエミリア様の護衛の騎士達の纏め役だった筈だけど?なんでそんな大物が僕の隣で寝ているんだ?


 兵士ージョンーは混乱する。


 今年成人である15歳を迎えたばかりの新人兵士であるジョンは、どうすれば良いのか悩んだ末にトバイアス卿を起こして見る事にした。



 怒られないかとビクビクしながら「トバイアス卿、起きてください」と言いながら揺する。


 するとトバイアス卿が眼を覚ます。


「う、うむ?此処は?お主は」


「はっ!僕いえ、私はアルカランス王国軍所属の兵士ジョンです!」


「そうか、ジョンよ。此処は何処なのだ?」


「はっ!それが皆目検討もつきません」


「ふむ、そう言えば………そうだ!姫様は!」


 トバイアス卿は何かを思い出したかの様に飛び起きる。


 その時ギィと扉が開いてそこには長身の黒い服を着た鋭利な目をした男性が立っていた。


「起きたか」


「お主は?」


「俺か?俺は冒険者だ。依頼で魔物を倒しに行ったらその巣にお前達が捕らわれていたんだ。姫様って言ってたがそれはちっこい子供の事か?」


「ああ、そうだ」


「なら隣の部屋で女騎士と侍女と一緒に寝ているぞ」


「そうか、助けて頂き有り難く」


 慌ててジョンも頭を下げる。


「気にするな。もうすぐ隣の部屋の三人も起きるだろう」


「忝い。それで他にも生き残りは?」


「あとは商人の男だけだ。他に8名いたが、全員亡くなっていたので埋葬してある」


「それは……そうか。いや有り難く」


「あとで下に来ると良い。腹が空いているだろう?此処は宿屋だ」


 そう言って男は部屋を後にしようとするが、トバイアス卿が声をかける。


「待ってほしい。儂はランドバル・フォン・トバイアスと申す。貴殿の名を伺っても?」


「ケインだ」


「そうか、ケイン殿改めて礼を言う。助かったありがとう」


「あ、ありがとうございます!僕は兵士のジョンです!」


 慌てて礼を言う。


「ゆっくり休むと良い」と言って今度こそケインと言う男は部屋を後にした。


「さて、これからどうするか……確かジョンと言ったな」


 チラリとトバイアス卿が此方を見る。


「はい!」


「お主には先ず謝らなければならない事がある」


「あの?何がでしょうか?」


 全く身に覚えがないので困惑する。


「多分お主は我々に巻き込まれて一緒に転移させられたのだろう」


「えっ!?そうなのですか!?」


 かなり衝撃の事実を突きつけられた。


 まあ、そうじゃないと此処にいる説明がつかないだろう。


「うむ、お主はあの場所に誰かの指示で向かったのか?」


「いえ、あの場所へは偶々です。普段は城内に入る事はありませんが、あの日は偶々先輩の兵士が病欠の為に休んでいましたので、僕がその日上司へと報告に向かう途中でして、その……恥ずかしい話ですが、迷ってしまいあの場所に出くわした形です」


「なるほど……何はともあれすまなかったな」


「いえ!迷い込んだ僕にも責任はありますので!」


 慌ててトバイアス卿の頭を上げさせる。


 まさか軽くだがそれでも平民の僕に貴族であるトバイアス卿が頭を下げるとは思わなかった。


「そうか、わかった。この件はこれで終わりだ。それでこれからに付いてだが、お主は儂らの事情に巻き込んでしまった。お主は儂らの仲間と奴等が見るかもしれん」


「あの奴等とは?」


「そうだな。お主には話しておいた方が良さそうだな。ふむ………あのケインと言う冒険者は信用に値すると思うか?」


「わかりません。トバイアス様の格好を見て謝礼を期待して助けた可能性もありますので」


「そうだな。………ふぅ、儂が姫様ーーエミリア様の側仕えだとは知っているか?」


 悩んだ素振りを見せた後にトバイアス卿は話し始める。


「はい」


「なら第二王女殿下との仲の悪さも?」


「はい。その、有名ですので」


「まあの、一応市井の者達には知られぬ様にしていようが、王城勤めの者達には隠して居てもわかるだろうな。言っておくが一方的に第二王女殿下が、エミリア様を嫌っておるだけでエミリア様に含むところはない」


 そこまで話した後、トバイアス卿はサイドテーブルに置いてある水差しを手に取り、コップに水を注いで一気に飲み干す。


「ふぅ、それで今回の事件の発端だが第二王女殿下の側仕えに近頃新たな者が加わっての。その者が側仕えになった日から段々と第二王女殿下の様子が前よりも一層に過激になられた。

 それ以来今まで陰口などは昔からされていたが、直接的な暴力は振るった事はなかったがエミリア様を見かける度に、貶しそして引っ叩く事も度々あったのだ。

 勿論儂らは何回かそれを陛下に報告しその度に、第二王女殿下は叱責されて数日は大人しくなるがすぐに元の態度に戻っての。出来る限り出会わない様に工夫したものだ」



 予想以上の話に本当に聞いていて良いのかジョンは冷や汗を流し始めた。


 だが、直感がもう引き返せないと告げていた。



 それから事のあらましをトバイアス卿は丁寧に小一時間ほど教えてくれた。


 感想としてはとんでもない事に巻き込まれてしまったと思ったが、逆に考えればこの窮地を乗り切れば取り立てられて騎士になるのも夢ではないかもしれない。


 田舎町から出て来たジョンは騎士を目指して王都に来たが、騎士になるには様々な条件が必要であった。


 騎士は半貴族の地位であり、貴族でも平民でもないその中間に位置する職業であり、身分問わずに実力があれば成れる。と聞いて田舎町から出て来たが、なんの伝手もなく来た為に門前払いを食らったが、何とか軍に入る事が出来て偶々補充要員が必要であったので、運良く勤務地が王都になりその後、上の人が引退したので勤務態度も真面目だった事から王城の城外ではあるが、そこが勤務地になりそして今はこの騒動に巻き込まれてしまったのである。


 既に平凡な少年であるジョンには荷が重く、逃げ出したいが、此処で踏ん張れば昇進出来ると思いジョンは頑張る事にした。


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