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いつだって奇跡は片隅から起こるんだ  作者: 友理 潤
最終章 片隅から奇跡を起こす二人
34/43

土砂降りの雨は言い訳にならない

◇◇


 私が日本を去ってからちょうど一年。

 3月20日 午前8時――。


――おはよう、加奈。


 いつものメッセージが今日はまだ届いていない。


「どうして……? 雄太くん……」


 シアトルは朝から土砂降りの雨が降っている。

 視界は悪く、先を見通すことができない。

 でもそんなことは言い訳にならなかった。


「加奈! どこへ行くの!!」


 傘もささず、スマホ片手に家を飛び出す。


「お姉ちゃん!!」


 すぐに玲於奈に追いつかれると、後ろから羽交い締めにされた。


「いやあああ! 離して!!」

「ダメ! 今お姉ちゃんがどこに行っても無駄だから!」

「だって雄太くんが……。雄太くんが!! うわああああ!!」


 行き場のない怒りが爆発し、泥だらけの土を叩く力に変わる。

 滝のような雨の轟音は、土を叩く音をかき消したのに、リビングでつけっぱなしのテレビの音声だけは残したままだ。


「繰り返しお伝えします。シアトル・タコマ国際空港を午前7時35分に発車したリンウッド行きのバスが、対向車線を大きくはみ出してきたトラックと正面衝突しました。乗客および乗員に多数のけが人が出ている模様です。繰り返します……」


 そして地面に落ちたスマホの画面に映っているのは、雄太くんから届いた最後のメッセージだった。


『シアトルの空港を7時35分に出るバスに乗るから! ごめん! スマホの電池が切れるからまた明日な!』



ついに完結まで書き終えました。

どうぞ最後の最後まで、よろしくお願いいたします。

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