ダブルブッキング
「さてマスター、まず何から話しましょうか…」
「何からというか、最初からお願いします…」
「そうですね、じゃあ最初から———」
「———というわけです、一応最初から話しましたが、何か質問はありますか?」
「説前ありがとうとりあえず質問は追々…」
さて、整理するとアルマンダルの話では、魔導士とは魔導書を介して世界の理に干渉するもので、契約している魔導書によって、得手不得手があるようだ。そこで重要になってくるのが魔導書、その魔導書の中でも最も干渉力が強いのが、『グリモワールシリーズ』その中でも最も強い力を持つのが、アルマンダルらしい、これについては学園長も———
「しかし、お前さん偶然とはいえまさかアルマンダルの契約者とはね~しかもそいつ原本じゃないか、失われた伝説の魔導書、写本すら残ってない代物だぞ?」
———と言っていたし、アルマンダルがすごいのは間違いないらしい…そしてグリモワールシリーズといえば、学園長の魔導書もたしかグリモワールシリーズとか言ってたな…
「まあそう難しく考えなさんな!そういうことを学ぶのもココのさね」
「はあ…それで?入学するにはどうしたらいいんですか?」
「ああ普通はまず魔導書との契約の儀式をする、しかし魔導書は一人に一つだけ…しかしお前さんはすでに契約してるからな…しかし儀式をしないとお前さんが非正規魔導士だとバレるかもしれない」
「なるほど、じゃあアルマンダルは隠していないといけないということか…しかし魔導書は二つ持てないのならどうするんです?」
「どうせ二つ持てないんだ、儀式をやっても魔導書はお前さんを選ばない、だから儀式だけやって、隠しておいたアルマンダルを出せばいいさね」
「なるほど!マスターそれならお任せください!絶対に気づかれないように私頑張ります!」
「よし!決まりだな!じゃあさっそく儀式に向かおうか。儀式は学園の中心にある広場で行う、これが制服だ今すぐ着替えてきな」
「あっ、アルマンダルは適当に小さくして隠して来いよ~」
さて、着替えも終わったし、アルマンダルも今は指輪になってもらっている。しかし、どんな姿にでもなれるっていうのは、便利だな…
「すみません学園長お待たせしました」
「いや、構わんよ、そんなことよりお前さんその制服よく似合ってるじゃないか!」
『さすがマスター!どんな服でも似合いますね!』
「なんだアルマンダル、その姿でもしゃべれるのか?でも声なんて出したらほかの人に気づかれないか?」
『大丈夫です、今は念話ですので、私の声は学園長にも聞こえていません、私とマスターは常につながっているのでたとえ離れていても念話はできます。なのでマスターも念じるだけで結構ですよ』
「なるほど…便利だな…」
「お前さん声に出てるぞ?どうせ念話してるんだろ?声に出してどうするんだよ…さっきからすれ違う生徒たちに変な目で見られてるぞ…」
「えっ…」
たしかに周りの生徒たちが俺を白い目で見てくる…やめて!そんなかわいそうな人を見る目で見ないで!
「ついたぞ、ここが儀式の広場だ。お前さんはあの真ん中に立てばいい、そして魔導書に選ばれるとお前さんの前に魔導書が出てくる、まあお前さんの場合はあそこに立った瞬間にアルマンダルが飛び出してきたらいい。じゃあ行ってきな!」
『行くぞアルマンダル、ちゃんと合わせてくれよ?』
『お任せくださいマスター!』
そして俺は広場の真ん中に書いてある魔法陣の中に入った…その瞬間、目の前が急に光って、俺は思わず目を閉じた。
———光が収まり、ゆっくりと目を開けると、そこには打ち合わせ通りアルマンダルの姿があった…しかし、全てが打ち合わせ通りではなかった。
「なっ!ラジエル!あなたどうしてここに!?」
「…」
全て打ち合わせ通りのアルマンダルの横には…打ち合わせにはなかった、床まで届きそうな長い白い髪をした少女が眠そうな目をこすっていた———