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五寿司ソロッテ。  作者: 水菜月
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ピンクの秘密

挿絵(By みてみん)


私はピンク。本来なら紅一点のはずの、モモイロ吐息。


なんでかしらねー、気づかないかしらねー。

なんでメンバー全員、私が男で、女装がすきな「男の」って信じてるのよーーー。


そりゃぁ確かに最初に会った時に、そう自己申告したわよ。

でもさ、そこには理由を話せなかった苦しい胸の内があるとか

もう少し想像してもいいと思うのよ。


そう、私は正真正銘、おんな、なんですけどっ!


事の発端は、あれよ、宝塚歌劇団のミッションだったのよ。

演技力のテストで、どこまで女だとバレずに暮らしていけるか。


ええ、見事にトップ通過だったわよ。

だって、いまだに、誰も私を女だと思ってないんだもの。


しかも、地球の平和のためにがんばっていたりしたら

もうヒッコミもつかないじゃないの! 

仕方ないから、去年あきらめて歌劇団は退団したわよ。

ああ、トップであのきらびやかな階段を、羽つけて降りてきたかったわ。



私がここを離れられなくなった理由が、目の前にいるのよ。

ブルー。ああ、いぶし銀のブルー。

せつない横顔。渋い仕草。何もかもがクールですてき!


ってあこがれていたら、なんてことかしら。

あの人、足繁くグリーン村に通っているのよ。

もうね、グリーンのへなちょこなこたつ部屋の窓にへばりついて

うらやましそうに見つめてるの。ちょっ、よだれ!


なのに、そのギャップに、いつしかキュンとしちゃって。

っもう、私までグリーン村ばっかり来てしまってるわ。


さっき、川を何かが流れていったわ。

桃じゃなかったわ。優雅にどんぶらこって感じじゃなくて

高速回転のブーメランみたいな、緑の物体。


……、たぶん、きゅうりね。

上流の家から下流の家に受け渡されたのね。

家の格じゃなくて、川の上流から、下流っていう自然な流れのことね。


この村ではよくある光景よ。

「ちょっと醤油かしてー」って叫ぶと

川からぴゅーってお盆に乗って流れてくる。

ってことは、借りるのは一方的に上流家庭からなのね。

人生の縮図ね。後でお返ししてるのかしら。


ああ、それにしても世の中は不平等よね。

おーい、少しは振り向いたらどうなのよー。

なぜこの(美しい)私を見破れないの? ブルーめ。


どう見たって、お寿司ならガリじゃなく、輝くサーモンでしょ、私。

なにせ私の正体は、一本足打法の「フラミンゴ」なのよ!


いいわね、いくわよ!



<つづく>




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