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4話 学生寮

「ただいま~」


 学院から帰ってきた私は帰宅の挨拶をする。

 まあ、返事をしてくれる相手はいないんだけど。


 私の実家は首都から遠い。

 そのため、ウィズダム魔導学院青年科に入学するにあたって、下宿することにしたのだ。


 だから、一人暮らしというわけ!

 お母さんとお父さんがいないのは寂しいけど、首都での生活にも憧れてたからこんな経験一度はしてみたかったんだ。

 卒業すれば実家に帰ることになると思うし、全力で楽しもうと思ってる!


 私が下宿しているのはウィズダム魔導学院の学生寮。

 ウィズダム魔導学院は唯一の教育機関ということで、かなり多くの生徒が在学している。

 だから、学生寮も何棟もある。

 それも、一か所に集まっているわけじゃなくて学院を中心して首都中に散らばって建てられているらしい。

 これは街づくりしていく上で、学生を分散させることで商業施設などを分散させる狙いがあるのだろう。

 あとは、単純に人口密度が高まりすぎないようにしてるのかも。


 私が今後住んでいく学生寮は学院からちょっと離れたところにある。

 本音を言えばもっと近い寮が良かったんだけど、私には遠い寮しか紹介されなかった。


 学生寮の紹介はウィズダム魔導学院少年科を卒業する段階でされるんだけど、どうやら成績などで紹介される場所が変わるみたい。

 成績優秀者は学院からすごく近い、超高級ホテルみたいな学生寮に住めるとか。

 お手伝いさんが付くとか。

 ご飯も超一流シェフが作るとか。

 あくまでも噂だけど、羨ましい限りだ。


「この後なにしようかな~」


 部屋に備え付けのベッドに転がりながら独り言を呟いてしまう。

 話し相手がいなくなると、つい独り言が出てしまう。

 早くもホームシックになってるのかな。


 外はまだ日が照っている。

今日は入学式とクラス分けしかなかったから、帰ってくるのも早かった。

 明日からの授業に備えて早く休むというのも一つの手段だけど、なんだかもったいないような気もするし……。


「よし!」


 悩んでてもしょうがないよね。

 せっかく首都に来たんだし、街を見て回ってみよう。


 こっちに来てからはバタバタしてたから、まだあんまり見て回っていない。

 近所のお店とかも見ておけば友達ができたとき一緒に行けるかもしれないし。

 事前準備は大事だよね!


 いつか、カンナちゃんと遊びに行きたいな~。

 今日出会った隣の席の女の子が思い浮かぶ。


 カンナ・ハイドランジアちゃん。

 クールでカッコいい印象。

 そして、左腕の包帯が特徴的だった。

 やっぱり怪我なのかな?

 できることなら私の治癒魔法で治してあげたいけど、きっと無理だろうな。


 ううん、弱気になっちゃダメだ。

 学院で魔法のことをもっと学んで、きっと治してあげよう。

 私の魔法だって誰かの役に立つって証明してみせるんだから!


 そうと決まれば、まずは情報収集だ。

 カンナちゃんと友達になるためにも、話題をいっぱい見つけないと。


 パパッと着替えを済ませて、いざ首都探索へ!

 部屋を出て学生寮の出口に向かっていると、一人の女性に出会った。


「あら、マリーちゃん! どこかへお出かけ?」

「こんにちは、マトカさん! 今からここら辺の散策をしようと思って!」

「今日はお天気が良いものね~。晩御飯までには帰ってくるのよ?」

「はーい!」

「良い返事ね。いってらっしゃい」


 この優しい女性はマトカ・メゾンさん。

 私が住む学生寮の寮母さんをしていて、私にも優しく接してくれる素敵な方だ。

 一人暮らしのことなんて全然分からなかったけど、マトカさんからはいろいろと教えてもらったの。

 まだ出会ってからそこまで経ってないけど、大好きになっちゃった。


 それに、マトカさんのご飯はとっても美味しい!

 この寮は朝と晩にはご飯が出るんだけど、それが絶品なの。

 決して贅沢な食材ではないけど、温かさと優しさが溢れていて実家を思い出しちゃうような味。

 今日も晩御飯が楽しみだな~。


「いってきま~す!」


 見送ってくれたマトカさんに手を振りながら街へと向かう。

 まずはどこからいこうかな?

 まあ、行き当たりばったりっていうのも悪くないよね。

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