プロローグ ブルーメン・シュトラウス
シリーズ作品の新作になります!
「グロリオサ、そっちに行ったわよ!」
「任せて、リリィ!」
「ユウブさん、あっちから魔物が」
「了解だ、マリー!」
平原で魔物と戦闘を行っている若者たちがいる。
編成は四人組。
三人の女性と一人の男性だ。
この四人に共通することは制服を着ているということ。
胸元についている学章はウィズダム魔導学院のものである。
ウィズダム魔導学院は魔導国家メイガスにおける最高教育機関だ。
メイガス出身の者は、その全てがこの学院で過ごすこととなる。
学院に課せられた使命は最高の魔導士を育て上げること。
魔導国家メイガスはその名の通り、世界で最も魔法が進んだ国である。
その地位に上り詰めた所以がこのウィズダム魔導学院なのだ。
入学者は幼年科、少年科、青年科とエスカレータ方式で卒業までの十数年間を学業に費やす。
入学は義務であり、卒業は誰しもができるシステムとなっている。
しかし、卒業後の進路は成績が全てを握っていると行っても過言ではない。
成績最上位者は国の最高機関へ名を連ねることとなり、そこから順当に優良な職場に就いていく。
人生全てがかかっているのだ。
そして、そんな魔導学院には完全なカースト制度が出来上がっている。
それが、クラス分けである。
S~Eの六段階で分けられるクラスは、実力による選別だ。
授業内容も違えば環境も違う。
SクラスとEクラスではまるで違う人生を歩むことになってしまうのである。
また学院は、生徒の慢心を許さぬよう、半期に一度成績によるクラス振り分けを行うのだ。
これはしっかりと実力を身につければ上のクラスへと上がれるというサクセスストーリーもあるのだが、下のクラスへ落ちることも当然のことながらある。
そのため、生徒は必死になって学業を行うのだ。
一つでも上のクラスへと入るために。
平原で戦う四人の学院生に動きがあるようだ。
『―― イラプション ――』
大規模な爆発魔法により、魔物が平原から姿を消した。
「核」と呼ばれる器官だけを地面に残して。
「ようやく終わったな!」
空気を振動させる爆発音も消え、静かな平原に立っているのは四人組の学院生だけになった。
かなり腕の立つパーティーのようだ。
「お怪我をしている方はいませんか? 私が治療します!」
先ほどの戦闘で唯一戦いに加わっていなかった少女が声をかける。
どうやらこの少女は治癒魔法専門のようだ。
「ちょっと擦りむいちゃったんだけどいいかな、マリー?」
「すぐ治しますね、グロリオサさん! 『―― ヒール ――』」
温かな魔力がグロリオサの患部を包むと、みるみるうちに傷が塞がっていく。
「いつ見てもすごいものね、マリーの治癒魔法は」
「そんなことないですよ、リリィさん。私はこれしかできませんから」
少し頬を赤くしながら返答するマリー。
「グロリオサの傷も治ったことだし、そろそろ学院に帰るか」
唯一の男性であるユウブが先頭を切って歩き出した。
それに続くように女性三人が学院に向けて歩き始めるのだった。
この四人はウィズダム魔導学院青年科に在学している学生だ。
学院には学業の他に、「クエスト」と呼ばれる依頼をこなすことで、功績が貯まるシステムがある。
学業と総功績ポイントを足したものが成績というわけだ。
この功績ポイントは食堂や購買などで通貨代わりに使うこともできるという生徒からすれば嬉しいお小遣いのような使い方もできるのだ。
クエストというのは魔物退治が多い。
現在世界には魔物が溢れており、少しでも被害を抑えるために学院生の手を借りようというわけである。
このクエストを受ける際に学院生は生徒同士でパーティーを組むことが許されている。
もちろん単独で動いても問題ない。
功績ポイントは常に掲示、更新されており、この四人は学院内でもトップ20に食い込むほどの実力者である。
パーティー名は「ブルーメン・シュトラウス」。
リーダーはリリィ・テネリタスである。
リリィ・テネリタスは美しい女性だ。
綺麗な金髪が一際目を引き、美しい容姿からは清楚で可憐といった印象を受ける。
スタイルはナイスバディというやつで、街ですれ違えば振り返って見てしまう、そんな素敵な女性である。
Sクラスに在籍しており、魔法全般に長けるオールラウンダーだ。
ユウブ・インヴェルノ。
パーティー内で唯一の男性だ。
黒髪、黒目で高身長に引き締まった体。
容姿は甘いマスクであり女性生徒からの人気も高い。
Sクラスに在籍しており、魔法で武器を生成し、戦闘することを得意としている。
グロリオサ・ズィーク。
褐色肌に、白髪のショートカット。
筋肉質な体型でとても健康的な女性だ。
とても表情豊かで、素直な性格をしている。
Sクラスに在籍しており、魔法による身体能力強化での近接戦闘が彼女の戦闘スタイルだ。
最後の一人はマリー・ジラソーレ。
彼女は四人の中で最も特徴的な容姿をしているといえる。
右目が赤色で、左目が黄緑色というオッドアイなのだ。
赤みがかった茶髪で、容姿は少し幼いような可愛らしい顔をしている。
性格とスタイルは控えめだ。
Eクラスに在籍しており、治癒魔法以外使えない。
この物語は四人の学院生の話。
まずは、彼らの出会いから語っていこう。
お読みいただきありがとうございました!
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