兄視点
竜の尾をまともに喰らい地に体が叩きつけられる。
『ガッ』
苦痛に濡れた声が勝手に出てくる。く……そ、痛いな。
ちらり、と自らの手をみる。そこには弱っているからだろうか、妹や、弟、母の手にもない模様が浮かんでいる。いつもは隠してある模様。
なあ、おい。俺は強いんだろう?強くなれるんだろう?だから、こんな模様があるんだろう?王となる資格があるからこれがあるんだろう?!なのに、体は動かない。
妹が見える。顔をあげて必死に起き上がろうとしている。
弟も見えた。かなり、あぶない。それを知っているのだろう。竜ごそちらに行こうとしている。道連れに、とでも思っているのかもな。竜も勿論無傷じゃない。あんだけ弱点に食らったんだ。その下には血溜まりができていて氷を溶かしている。
だが、それは許容できない。死ぬなら一匹で死ね。
だが、もう魔力も限界だ。練っても小さなつぶてしか創れない。
ふ、と竜が妹をみた。いつのまに立っていたのだろうか。ふらふらとしている。
『――――』
小さくてなんと言ったかわからなかった。だが、そんなことはすぐに分かることとなった。
妹の額にもう一本少し小振りな角が生えた。そして、竜のかえり血で赤く染まった毛皮に紫の雷、紫電をまとった。
とても、美しい獣だった。ふと手に違和感を覚えみる。模様が光っている……?そして、力がはいる。なるほどな。
そこから立ち上がる。
『妹。固有魔法が開花したんだね。嬉しいよ』
聞こえてない……のかな?まあ、良いや。魔力は……周りのを使うかな。出来ないことはないし。
『いもう……』
ブオンと低い風切り音が聞こえた。そして
――――ガァァァァァァァァァ!
竜の苦しそうな咆哮。まさか、もうあそこまで移動したのか?!速いな。流石雷。おそろしい。にしても、何が苦しかったんだ?確かに傷つきはしてるし、そこに雷も纏わりついているが……妹はいま竜の血溜りにいるだけだし。ん、ああ、電気か。
『消えろ』
それを見た妹が躊躇いもなく血溜りに雷を流す。
―――――っ
声にならない悲鳴をあげて竜がついに倒れた。妹にとられたなー。別に良いけど。……ん?まって、こっち見てない?
『妹?!おちつけ、兄、』
――――オォォォォォン……
聞いてないなぁ!全く!仕方ない、よね。
おそろしいスピードで近づいてきた妹の鼻に小石を投げる。それ、すこーし鉄が入ってるんだヨネー。
驚いたようだね。うん。いくら顔を振ってもとれないよ?固有魔法解かない限り。ああ、弟も大丈夫そうだね。
暫く眺めていると
『……なに、しているんだい?この子は』
『あ、母。いや、魔法を解けないみたいで』
『ああ、開花したのか。良いことなんだけど……これは、ね』
『母ならわかるでしょ? 』
『ま、分かるけども。これは自力で解かないと』
と喋っていたら弟が起きた。
『りゅう……は? 』
『倒したよ』
『ねえちゃん、なに、してるの? 』
『魔法とくのに苦労してる』
『……はい? 』
『全く、しまらないよね』
本当に可愛いなぁ。この妹は。
あ、因みにその後だけど魔力が極端に減ったからか魔法は勝手に消えたよ。かなり消耗してたけどね。
『だるい……』
『ちゃんと操れるようにならないとね』
『うー……でも、もう巣立ちじゃん……』
『そこは自力で頑張りなさい。娘』
『はぁーい』




