戦闘
三匹が一斉に咆哮し、散開する。
一番物理的に固く、強い弟が地竜の前に躍り出る。私と兄は横に跳びはね左右に別れる。
――――グルゥアアアア!
弟が再び吼え地竜に飛びかかり、噛みつく。その隙に兄が魔法を練る……はずが
―――――キャイン!
弟の悲鳴に意識がむく。その鋭く尖り、地竜の鱗を噛み砕かんとした牙は無惨にも折れ、破片が飛び散っている。さらに、地竜の突進をモロに喰らったのだろう腹の辺りが抉れ、血が滲んで……
――――――ガァァァァァアァアア!
ブチッとナニカが切れる音がした。パンッと体から魔力が溢れだす。
額から角が生えてくる感覚がする。
そしてその溢れる魔力を纏め鈍器のような氷塊を造りだし、ぶつける。
――――!
すこし、よろめいたか。その隙に弟のところへ駆けていく。
『弟!大丈夫か!おいっ』
『ねぇ、ちゃ……大丈夫。イケる。任せて。ちょっと、してみたいことがある。傷口は氷で塞いだからなんとかなるよ』
『しかし……いや、分かった。何をすれば良い? 』
『あの地竜、上に仰け反らせて。多分、お腹なら柔らかい』
弟の目は光に満ちていて、説得は無理だろう。それに、私も少し冷静になれた。あとは、上に仰け反らせることを兄に伝えなければ。
ってそうだ!兄一匹に任せてしまっている!
『兄!大丈夫……そう、だな』
『よくも、弟に傷をつけたな……ユルサナイ』
周りは氷漬けで、地竜は踏ん張れないみたいだ。そこに徹底的に氷の礫……いや、氷柱をぶつけている。一匹でも押さえ込めているみたいだ。
『兄、話を聞いてくれ!たのむから』
『ああ、妹。弟は?どうだった? 』
『問題ない。兄、私が撹乱させる。その隙にでかいの一発叩き込める? 』
『その程度、余裕よ』
『良かった。弟の作戦なんだが、あいつを仰け反らせてそこを叩く』
『任せろ』
今度は私が前に出て目に礫をぶつける。
――――ッガァ!
流石に痛かったのかこちらを向く。兄の方を警戒しているのかまだ完全にはこちらに注意は向いていない。なら
――――グルルルルル……
唸り声を走って近づき鼻先を引っ掻きそのまま後ろの方へ跳ぶ。
ギャリっといやな音ををたてる。が、まぁ、傷はつかんだろうな。無駄に固い。爪が持っていかれるかと思った。
っと、流石にこっちに注意が来たらしい。あとは、避けるだけだ。
右左左左右右右上下下前前後右右左左上下上上……
次々繰り出される魔法、腕、噛みつき、尾。それすべてが致命傷を与える程の攻撃。すべてを捌ききらなければならない。足下は私たちに有利だ。氷が張り動きにくそうだが、こちらはさらに敏捷になれる。だから、捌ききれているといってもいい。
ちらり、と兄をみる。どうやら、完成したようだ。
『あっちを向けデカブツが! 』
作り上げたただのでかい氷の柱を少し下から上に跳ね上げるようにしながら兄の方へ向ける。
ガンッ
と恐ろしい音をあげながらそちらへ向く。と、兄の魔法である氷柱が
『ッラァ!あがれ! 』
少し地面との間が空いた顎をめがけて魔法がとび、思いっきり地竜が仰け反る。
そこに休んでいた弟が再び飛びかかり腹に思いっきり噛みつき、食らう。
私と兄は魔法乱舞を喰らわせる。弟には当てるわけが無いだろう?
腹の肉が裂け、血が飛び散る。しかし、相手は竜。やられっぱなしにはしてくれなかった。仰け反った体を魔法での衝撃があるにも関わらず元に戻し、弟を振り払い、体をくねらせ尾で兄と私を打ち据える。
ガツンと衝撃が走りなすすべもなく吹き飛ばされる。
かひゅ……
と肺から息が抜ける。視界が朦朧とする。体が動かない。
弟と、兄がちらりと見えた。両方、ぐったりとしている。生きてはいる。が、これじゃだめだ。いつか殺される。
……なにが、色違いだ。なにが脅威固体だっ。兄弟すら、私は守れないのか?なにが、なにが、なにが!色違いだっ。力が欲しい。守れる、護れる力がっ。色違い!こんなときくらい力を出せよ!色違いとしての力、いま出てこなくてどうする!力を……よこせ!




