母視点
竜は無視し後ろにいるドヤ顔を決めている宰相に向かって走る。
「ま、私を狙いますよね。しかし」
「黙れ」
爪が届く寸前に足場代わりに氷の板を造り横に避ける。
――ブォン!
重い重低音を鳴らしながら竜の爪がとんでくる。ああ、鬱陶しい。
落ちる力を殺さずに竜へと爪を突き刺す。が、防御では竜一を誇る地竜。いかに下位竜とはいえ地竜なだけあって硬い。引っ掻き傷がつくだけに終わる。
しかし、そんな地竜にも弱点がある。こいつらは腹が柔らかい。そこに鋭く尖った氷の花を咲かせればほら
――グガァァァァア!
簡単に無力化できる。殺すわけにはいかないからね、子供たちの試練の相手になってもらわないと。
「さすがは元筆頭弱点は把握ずみ、ですか」
そのまま踏み台にして空にいる羽虫に向かい爪を振るう。が、まあ避けられるから対策はしてあるさ
「っ!危ないですね。殺られるかと思いましたよ」
「チッ避ける技術は上がったか? 」
わざわざ宰相に近づき後ろに氷の刃を数十個出したというのに残念だ。そして、本当に残念だよ。
「あっ……」
氷が足元から生え宰相と私を囲む檻になる。氷の檻からさらに氷の縄を生やし縛り上げる。おもむろに近づき人形になり足で踏みつける。
「おい、本体に伝えろ。私を捕らえるとこは無理だと。そして、こどもたちに手を出すことは魔王城の崩壊の元となること。そして」
本気の殺気をむけ、一言
「我が主の意志をこれ以上無視すると言うのなら貴様の一族を滅ぼす、と」
所詮は分身。見せしめに腕と足を一本づつ引きちぎり噛み砕く。
分身の口角が上がる
「騙せませんでしたか。かなり精巧に創れたと思ったのですが」
「はっ。私も初めは分からなかったさ。だが、抜かったなお前には無いものがついていたぞ?まだ、未練があるのか」
分身に通して睨み付けているのだろう。本当に愉快。まさか、まだ自らの眼に執着していたとは。
「この眼は違和感がない。大方そこら辺の死体をいじくり回したのだろう?本物のお前の顔にある眼は偽物だからなあ?これ以上死体を、仲間を壊されたくないだろう?手を引け」
「黙れっあの眼はおまえがえぐったのだろうが!……わかりましたこれからは手を引きましょう」
「それが決別の証だからな。もう、お前の指図は受けないと言うね、しかしものわかりがよくなったな」
そのまま分身を解放してやる。恐らく本体のところに帰るだろう。
流石にもうそろそろ子供たちくるかな?この地竜を解放するかぁ。




