成獣の試練、始まり
自転車を漕いでいると耳がもげそうになる季節がやって来ました。さんむい…
さて、今年で十歳になるわけだ。
え?また時間がとんでいる?気にするな。何時ものことだ。
話を戻そう。十歳になると成獣と認められる…らしい。
で、勿論何もないわけがなくて
『まあ、いまの実力がどんなものか見せてもらうよ?』
『『『え?』』』
朝起きたらこの言葉で始まった。…うん。きれいに揃ったよ。いや、仕方ないと思うんだ。前日に全く教えてくれなかったんだから。
『えっと、母?どういう…』
『そのままだよ。実力をみせてもらう。簡単だよ。魔物を一匹連れてくる。狩っちゃだめ。それだけだよルールは』
『いや、あの、なんで』
『ん?ああ、分からないみたいだね。こういうこと』
そういって母はおもむろに爪を目の前の地面に突き立てた。
『期限は明日。それまでに連れてこれなければこうなる。まあ、親離れの時期だからね。もうそろそろ、分かってたでしょ?』
ざっくりと抉られた地面。それの意味はよく、分かってしまった。
『さ、行ってらっしゃい。可愛い子達。私を安心させて。…さあ、さっさと行きなさい!』
母が吼える。それだけで大地が揺れる。心の底から恐ろしいと感じる。
怖い。こんな母みたことない。
脱兎のごとく皆逃げる。
『なんで、ははぁ。なんでぇ』
『泣くな弟。これは仕方のないことなんだ』
『そう、兄の言う通り。これは巣立ちの試練。成獣と認められる試練。母もしたくてしている訳じゃない』
逃げながら話す。
そう、仕方のないことなんだ。そう…