実力
母が一旦人化を解く。そして、目を開いた。
周りの温度が少し下がる。足元には氷がはっている。足元だけ?いや、いまもこの瞬間も足元の氷は増え続けている。もちろん、変化はそれだけじゃない。母の見ためも少し変わっている。
母の額に美しい角が生えている。…?心なしか、少し黒い?
『見てなさい。一回しかできないの。ここを氷漬けにするわけにもいかないからね』
『何があったの!?急に足元まで氷がきたん…だけ…ど…?』
『あら、弟、来ちゃったの?まあ良いわ。あなたも見ていてね?』
弟が呆然としている。それはそうだろう。母の額に角が生えているのだから。
いままで、一度も見たことのない角だ。
そして、母は何もなかったかのように角を消し始めた。
慌てて魔力の流れを視るのだが…見にくい。なんか、分からない。動きが複雑すぎる。分からないうちに終わってしまった。
『わかった?』
「全然分からない」
「何となく?」
『?分かんない!』
兄は何となく分かったようだ。凄い。そして、弟よ。…まあ、平常運転か。
『あー。かなり氷で覆っちゃったな。どうしよう…』
「なーにしてんのよ。馬鹿?私を事前に呼んどきなよ」
『流石に悪いかと思ってね。てか、あんたの息子達は良いの?』
「あー。だからさ。そっちは分かりにくいの。人語で喋りなさい」
「ごめんごめん」
「さっ。ちゃっちゃと直しますか」
そのあと業火が吹き荒れた