ぜろにんめ
以前、無料のチャットルームで「ネカマ演じます」のプロフを引っさげてログをとった会話をVRMMO仕立てにアレンジした小説です。
今回は導入です。
異性にもてるにはまず、女性のことを知ることだとじっちゃんがいってたきがする。
しかし、女心は秋の空。
移ろい速くて正直、知ったところでどうしようもないと言うのが私の感想だ。
昨今、いんたーねっとのゲームはめまぐるしい進化を遂げており、なんかフルダイブなりハーフダイブなりのVRゲー(何の略なんだろう?)が遂に登場したと話題になっていた。
わかりやすく言うとだ、みーんなやってんだぜ?みんな。
ここで、私の目的を簡単に語るのであれば、ずばり「モテたい」の四文字に収まる。
実に省スペース。
これでは読書感想文の原稿用紙すら埋まらない。
私はモテる為という崇高な目的のため、なろうでVRと検索ワードを打つように滑らかにネットショップの購入ボタンを叩いたのだ。
◇◆◇◆◇◆
「とりあえず…設定、しなきゃ?いけないんだよね?」
届いた箱と絶対に勝てないにらめっこしながら恐る恐る中身を取り出した。
どうやらVRのゲーム機はユーザー登録をしなきゃいけないらしい。盗まれても他の人が使えなくするもんなのかな?
私は機械のことなんかさっぱり分からないのでまず、同封されてた「5歳児でも分かるゆーざーとうろく!」を読むことにした。
まず、捲ると一ページ目に「VRを装着した状態ではこの冊子は読めないのではずしてください!」と書いてある。
本当にこの文章が必要なせっかちさんには伝わらないのではないか?とふと思ったが、気にせず最後まで読みきった。全3ページを。
改めて機械を装着した。
これは顔をすっぽり覆うヘルメット型で防弾、防水、対ショック製に優れた紛争地帯でもVRげーができるといったすごい商品らしい。
紛争地帯でゲームするというシチュエーションはまぢシュール・リアリズムだと思う。
そんなこんなで起動、認証、ついでにアバター登録。
私は「うるとら簡単せってい」なのでスキャンされた顔を少しアニメ調にした何通りかの選択肢を選ぶだけですんだ。
ここまでで、ちょくちょく思っていることがあるんだが、「5歳児でも分かる」とか「うるとら簡単せってい」とか言外に馬鹿にされているように感じるのは私の心が狭すぎるからなのか?
アバターの外見登録が終わったときに「さいごはなまえだよ!げんじつのせかいのなまえのことじゃないからね?」とすべて平仮名で表示されていたので、もう私は仕様だと割り切ることにした。
さて、どうしたものか…
ここで私は最初の目的を思い出した。
そう、このゲームを使ってだんすぃーの気持ちを理解して男にもてる様になるのだ!
そこで私は潜入調査をするために名前を 「ネット・カマー」とした。
これでインターネット上で異性を演じる、つまり「ネカマ」だと一目で分かるだろう!
私は自分の作戦に花丸をつけたい気持ちでいっぱいだった。はっはっはー!
…あれ?
と、言うわけで今回のヒロイン(?)は男性にモテたいために女性を演じる男性を演じて気持ちを理解しようとする現役女子高生の三須寺 光ちゃんです。
次回の更新は明日になります。