チートとニートは似て非なる者
誤字だと思いました?
いいえ、ケ○ィアです。
チートハーレムではありません。ニートハーレムです。
異世界転生なのか異世界転移なのかは微妙なラインですな。
なるべくコメディ要素を多く盛り込みたいと思っております。
遅筆ですが、書き始めたからには書き上げたいと思います。よろしくお願い致します。
一ノ宮鳴子21才。
名前の最後に〝子〟が付いているが、僕は紛れも無く男だ。
僭越ながら自分語りをさせてもらえるのであれば、現在僕は無職である。高卒で無職であるのだから、かれこれ三年ほど無職を続けていることになる。高校側も無職のままよく手放したものだ。まぁ、当人に就職する意思が無いのであれば仕方が無い事であるが。いや、うん、まぁ、僕の事だけど。
どうして僕が無職を続けている&続けられているのかといえば、とてもとても長い話になる。かいつまんで説明するならば、そうだな、
僕が高校三年に上がったばかりの頃、両親が死んだ。
これは本当にびっくりした。ライトノベルなどではありふれた設定ではあるが、まさか自分がその境遇に晒されるとは思いもよらなかった。まぁソレは良い。良くは無いが良い。ロクな両親ではなかった。なにしろ両親が二人とも無職だったのだから。今の自分が無職なのもなんら不思議ではない。むしろ両親が二人とも無職である状況こそが不思議である。
話しを戻そう。
僕の両親はユーチューバーだった。もうこの時点でツッコミどころが満載なのだが、父親の神がかったリアクション芸がヒットしたことで広告費などで収入を得ていた。そんなある日、父と母が「とびっきりのネタを思いついた!」と言いだし朝からハイテンションで家を出て行った。夕方、学校から帰ると近所の人達が家に押しかけ大騒ぎになっていた。父と母が何かしたのかと思った。家の中から爆発音がするなどは日常茶飯事だったからだ。
しかし、家の前で立ちすくむ僕に気付いたお隣の奥さんが憔悴しきった顔で近づいて来ては両肩をがっしりと掴んだ。
「落ち着いて聞いて、お父さんとお母さん、死んじゃったって……」
「 」
セリフの最後が濁って消えた。
僕のこれからの心情や境遇を思い浮かべ、哀れになったのかもしれない。
いや、違う。僕の耳が、おかしくなったのだ。
父と母が死んだ?
そんな事って本当にあるのか?
それも、動物園のライオンの檻に入ってだって?
どんな状況だよ。父と母がなにをしようとしていたかなんて知りたくもない。どうせくだらない事を大がかりにやる動画でも撮ろうとしたのだろう。その結果がライオンの餌だ。笑えない。死んだ両親よりもこれから自分がどうしようという気持ちが強かったと思う。動物園も不運だったな……。
ん。
かいつまむと言っておきながら、かなり具体的な話しになってしまった。
鳴子、ちょっぴり反省。
つまりは両親が死んでこれからどうしようと思っていたところで両親が知らないところで溜め込んでいた財産の問題だとか、親戚関係の問題だとかで、僕の心はどうしようもなく荒み、いっそ自分も死ねば楽になるのかとも思い始めていた。そんな精神状態ではまともな学生生活や就職活動などできるわけも無く、グダグダと両親の遺産を食いつぶす日々を送っているのだ。
それが、今までの自分。
では今は?