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Ep:2「私の名前は愛紗です。…わあ!可愛い子に会った!けど…なんで見えるの?」

落ちこぼれの愛天使=愛紗視点。

私の名前は『愛紗・ユースティア・インヴィディア』。

【天界】と呼ばれる所に住んでいる『愛』を司る天使なのです。……と言っても、私にはちょっとした【奇跡】が使えるだけの落ちこぼれ天使なのですが。

その日、私はチョットした事から下界に降り立った。

そのチョットした事に今では感謝したいと思う。

だって、私はその日に、大好きになるあの人と出逢う事が出来たからだ。


======


私は、【天界】から下界に降りると町を歩いていた。この町は確か『乙木町(おとぎちょう)』と言う名前だったかな。

「ら、ら、ら~♪」と鼻歌交じりに気分よく歩いていた。

私は嫌な事があった時はこうして気分転換に下界に降りては歩いて散歩するのが好きだった。


そして今日も嫌な事なんて忘れ楽しく散歩をする。

笑みを浮かべつつ歩きながら周囲に視線を向けるが、私を気にする人間は1人もいない。

自分で言うのもアレだけど、私の容姿を見て視線を向けない人はいないと思う。多分驚かれるのが普通だと思う。

何故なら、周囲の人の殆どは黒髪、もしくは茶髪であり、瞳も黒が殆どだ。

そして私の着ている衣装も周囲の人と大きく異なっている。周囲の人は、男性は長袖のシャツにズボン。女性はお洒落な上着に人に寄るがズボンだったりスカートを穿いている人だったりする。

それに比べて私は白の肩が大きく出て短めのスカートタイプのドレスを纏っている。

ドレスを街中で平然と着ていれば視線を集めるのは必然だ。しかも私の髪は自分の自慢である銀色である。そして瞳も兎の様な赤である。

なのに誰にも気付かれる事はない。

だって私は人と異なる存在、天使なのだから。…落ちこぼれといえどもである。


私は鼻歌交じりに歩いていると十字の道に出た。他の人は赤信号?と言う物があるので足を止めていたが、私は気にせず歩いて行く。

向うから車と言う物が私に向かって迫るが、天使である私には人間界の物は干渉されないのである。だからだろう。相手の車も私に気にせず勢いをそのままに走ってくる。私を認識できていないのだから当然である。おそらく私を素通りして走り去るはずである。

どうせ私には当たるはずがないのだからと気にせず歩いていく。

歩道の中央くらいまで差し掛かったそんな時だった。

1人の人間が、私に向かって慌てた様な声と共に必死に走ってくるのに気付いた。

私はその声の方に振り向く。

振り向いた先には可愛い自分と同い年くらいの少女(・・)だった。


(!?…えっ、あの子、私が視えてるの?何で?)


明らかに私に視界を入れている人間に私は驚いた。

人間には私達、天使を視認する事が出来ない。天使を視認する事で出来るのは主に“死”の目前となった者くらいなのだ。

けど私に向かって走ってくる少女には“死”の兆候はなかった。だからこそ驚く。

そんな風に驚いている私に、迫ってきた人間の子は私を突き飛ばした。

突き飛ばされた後、車の大きなブレーキ音とその人間の少女がぶつかった衝撃音が私の耳に入る。

周りから悲鳴が聞こえて来た。


私は、私の代わりに引かれた天使を視認できる不思議な人間の少女に近づいた。

その子も視線を私に向けていた。

きっと、この子には私の姿が、天使としての姿がはっきり見えているのだろう。

それくらい、この子はもうダメと私にはわかった。

虫の息の状態。そんなこの子を見て、私は躊躇なく『天使の奇跡』を行使した。


本来は天使が勝手に人間に対して『奇跡』を使うのは規則違反なのだ。

けど、今回は大丈夫だろうと、規則なんてどうでも良いわ!どうせ私は落ちこぼれの天使。

と、私は躊躇うことなく『奇跡』を使った。

自分の身代わりに死んだりしたなんて後味が悪すぎる。

あとなんでだろう、私はこの時どうしてもこの子を助けたいと思った。

眩い光が私の手と翼から溢れ出るとその子を包み込んだ。まるで光の繭のようである。


私が使った『奇跡』はどうやら無事に成功した様だった。

私が使った『奇跡』は天使なら誰でも使える“救い”と“改修”である。

“救い“の効果によってこの少女の命を救うため外傷を含めて全てを()の状態に戻す。そして”改修”によって事故が起きたという出来事を"なかった“事に書き換えた。

ただ、この時の”救い“はこの子にとっては手違いだったと後で知ることになるのだけど、一先ず私は『奇跡』に成功しこの子の命を助ける事が出来た。

そして事故なんてなかったと書き換えると、私は、平常の呼吸をしているこの子を抱きかかえると人気のなさそうな場所に移動した。


暫くしてその子は眼を覚ました。

何だか、茫然としていたが暫くして慌てる様に体を起こした。


(いやぁ~可愛いなあ、この子。…お持ち帰りしたいなあ~)


そんな風にかなり危ないセリフを思い浮かべていると、その子も私に気付いたのか、私に視線を釘づけにする。

何が起きたのか理解できず戸惑っている様子のその子に、私は親しみの篭った声を掛けた。


「こんにちは、可愛いお嬢さん。私は愛の天使、愛紗よ」


それが私と、榊原(七緒)との出会いであり、楽しい日々が始まるのだった。


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