第Ⅰ話 「prologue」
俺は千年続く魔王を倒した勇者の伝説、そんな勇者一行の賢者の家系で千年に一度の逸材と千年に一度の無能のレッテルを貼られてしまった。俺には今までにいたどの末裔、否、伝説の賢者すら越えると言われる程の魔力があるらしい。
しかし、俺には何故か一族の秘術が使えなかった。そんなことは千年間に一度として無かったイレギュラー。俺は無能の恥さらしとして5歳にして一族の里を追い出され、「外」の世界に送られてしまった。「外」は強いのが当たり前の世界だった。産まれたばかりの赤ん坊が頭蓋骨を粉砕し、5歳の頃には全ての武道をマスターさせられる。
喧嘩など吹っ掛けられたら即死ものだろう。
そんな世界に送られた。とどのつまり、俺にとっての死刑宣告だ。勿論、言われるがままに死のうとは思わない。少なくともあの見捨てた家族を見返すまでは…!
死ねない理由がある俺はまず「外」の人間に身体能力を追いつかせる…とまでは言わずともスピードは追い抜くつもりで、と死ぬ気で訓練をした。
その結果、10歳にしてこの世界では「力は下の下だけど速さは上の上」位にはなった。
攻撃の予測は出来る。身体がついてくれば問題無い。
戸籍と家は用意されていた。金も最低限貰っている。
きっと無能のレッテルを貼ったとはいえ才能が万が一開花した場合に何食わぬ顔で引き戻す為だろう。だから文句の無い環境を作ったこと位直ぐに判った。
自分のやった事に絶対の自信が無い奴らだ。侮蔑の念しか浮かばない。しかし今の俺じゃそいつら以下だ…
俺は勉強が好きだった。食事は自分で作って食費を浮かせ、本ばかり買っていた。
そんなこともあって俺は名門である円卓高校に入学出来た。
学生になれば同学年と会話だってする。一年たった頃、俺達は四人のグループとなっていた。その日々はとても平和で楽しいものだった。
しかし、何の編綴も無かったはずの日々は終わりを迎えた。
それは二年生の夏、まだ蝉が鳴き出す前の頃…
いつも通り屋上で談笑している俺達。
?「はぁ…空からエクスカリバーでも落ちてこないかな〜」
こんな有り得ないことを言っているのがリュウ、四人組のリーダー的な存在。頭は少し弱いがかなり強く、正義感を持っている。
?2「はぁ?そんなの落ちてくる訳無いじゃない。ゲームでだって有り得ないわね。」
冷静な突っ込みををいれたのがパトだ。
何時もはこのグループの突っ込みポジションなのだが…実は無類のゲーム好き。俺も人並みにやっているので話をしたんだが…
発売して半日しか経っていないゲームでエンディング後のバグまで見つけてる始末。速いとかそういうレベルでは無かった。
?3「でも今日は何か振る気がするお~」
この独特の喋りはミカリンだ。リンの部分も名前だからな。ミカリンは未来予知ができる。しかし、それなりの犠牲(飯)が必要らしく、とてつもない量を一人で食べる。
ミカリン「クラフとんにね〜」
リュウ「エクスカリバーはクラフを選んだのか…」
リュウが目に見えて凹んでいる。
クラフ「おいおい、まだエクスカリバーと決まった訳無いだろ?」
パト「全く…そのファンタジー能をどうにかしなさいよ!」
皆「「「お前が言うな!!」」」
そんなことを言いながら俺達の1日は過ぎていった…