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【完結】からふるわーるど  作者: 仮面大将G
騎士団編

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96.まじゅうのおもわく

 焦る俺を嘲笑うかのように、いつもの平和な日々が過ぎていった。

 そしてまた2年ほど経ち、俺は18歳になっていた。

 18歳……前世の年齢に追いついたな。これで俺の精神は36年生きていることになる。おっさんだなあ。


 しかし人間の魔獣、一体何を考えているのだろうか。

 そんなに短いスパンでは現れず、偶に俺と親しい誰かのところに現れてはボケた後に俺の悪い噂を流して帰っていく。

 何がしたいのか全く読めないな……。もうボケることの方が本命なんじゃないだろうか。


 あ、そういえば俺は正式に騎士団の総司令官になった。理由としては、45歳になったダスティンさんの痔が酷くなったのと、45歳になったダスティンさんの腰が悪くなったからだ。要するにダスティンさんの体が悪くなったのが理由だ。もう一線を退きたくて仕方ないって駄々をこねるもんだから、仕方なく18歳にして総司令官になってしまった。


 そうは言っても俺もかなり実戦経験を積んで的確な指示を出せるようになってるし、そもそもの俺の戦闘力はジェルダーリ王国でも随一だ。


 そんな俺のパートナーであるアリスも訓練を重ね、今では弓術1級を取得。副司令官として立派に働いてくれている。

 42歳になったクレアさんから弓術隊の隊長を代わってくれと言われているらしいが、アリスはアリスで俺と一緒にいたいので絶賛親子喧嘩中だ。

 まあこんな喧嘩が起きるくらいだからどれだけ今が平和かは伝わっていることだろう。


 そんな平和な生活が続く中、俺は今日剣術隊の訓練を視察しに来ている。やはり自分の適正と同じ部隊は見ていて楽しいもんだな。



「ルーシャス、何をぼーっとしているんだ?まるで睡眠中のナマケモノのようだぞ」



「ジェームズお前ほんとその例えなんとかならないのか?ていうか大体睡眠中はどの動物もぼーっとしてるだろうよ」



 相変わらずボケをかましてくるジェームズは、今では剣術隊の隊長になっている。

 これまた42歳になった父さんと41歳になったイアンさんの熱烈な推薦を受け、渋々隊長を引き受けたそうだ。

 ジェームズが隊長になったことで父さんとイアンさんは騎士団を勇退。同じく勇退したダスティンさんと一緒に母さんのお茶会に参加している。呑気なもんだな。


 しかしこの世界では体の成長が少し早いのと、体を使う騎士という仕事柄引退が早いようだ。引退した騎士には騎士団から年金が出るらしいが、場合によっては臨時で駆り出されることもあるみたいだ。特に隊長、副隊長、総司令官という役職を持っていた父さん、イアンさん、ダスティンさんは結構な頻度でカーロス国王の寝室警備に駆り出されている。

 まだ俺たちの世代がそこを任されるまで信頼を得ていないということなのか、と想像してちょっと悔しい。まあ俺自身とアリスは前から任されてるんだけど。



「そういえばルーシャス、今度俺も国王の寝室警備を任されることになったぞ」



「おお本当かジェームズ!それは光栄なことだな」



 なんてタイムリーな話題だ。ジェームズも隊長になったもんなあ。信頼されてきたようで良いことだ。



「警備を任されたのは俺だけじゃないぞ。メイヴィスもだ」



「そうなのか!メイヴィスも出世したなあ」



 メイヴィスは実は魔術隊の隊長になっている。ということでうちの母さんはメイヴィスの部下だ。あれ、なんか情けない気持ちになってきたぞ。


 結構俺の周りは出世している人が多く、特に体術隊は隊長がジュリアお姉ちゃん、副隊長がハンナと俺と親しい人が役職を持っている。

 騎士団の中では俺たちの世代は天才世代なんて呼ばれているようで、気恥ずかしい限りだ。



「それにしても、どうだルーシャス?うちの部隊の訓練は」



「優秀なんじゃないか?魔獣を倒すペースも早いし、連携も取れてるし」



「そうだな。だがユーモアが足りないとは思わないか?」



「お前ほんとボケることしか考えてないのな!もう超大型魔獣にハチミツあげようとかやめろよ?」



 ジェームズは昔から変わらない。それが良いのか悪いのかは置いといて、気心知れた俺にとにかくボケまくってくれるのは少し嬉しかったりする。



『随分呑気にしているではないか』



「っ!!この声は!!」



「ルーシャス、俺にも聞こえたぞ。初体験だな、やまびこは」



「やまびこじゃねえよ!!人間の魔獣!!とりあえず一回黙ってくれ!」



 なんでこいつはこんなにマイペースでいられるんだ……。ジェームズが取り乱したり大きく感情を表現したところを見たことが無い。ポーカーフェイスってやつだな。



『余裕ではないか、ルーシャス・グレードアップ』



「そんな名前じゃねえわ!!ホテルの部屋が空いてた時のやつだろそれ!!」



『いや、ライブの席が良くなった時だ』



「どっちだっていいわ!!ちゃんと名前覚えろよそろそろ!」



 ツッコミながら状況を分析する。今回人間の魔獣は俺とジェームズ両方の脳内に直接話しかけている。ホログラムのような姿は見えず、声だけだ。

 なら今俺たちができることは、奴の本名を聞き出すこと。

 とりあえずストレートに聞くのは悪手だ。なんとか聞き出す方法を考えないと……。



「おい魔獣、ルーシャスの名前を気軽に呼んでいるようだがお前は名乗ったのか?人に話をする時はまず名を名乗れ。魔獣だろうがそこのマナーは守って欲しいところだな」



 おいジェームズそれはマズいだろ!!ストレート過ぎるって!!



『おお確かに名乗ってはいなかったな。では名乗ってやろう。我が名は田中太郎だ』



「嘘つけお前!!市役所とかで見本に書いてある名前じゃねえか!!」



「ルーシャス、市役所とは何だ?」



 しまった!ジェームズに疑問を持たれた!こいつ、ジェームズに俺が転生者だとバラすのが狙いか!?



『いやそんなことはないぞ。お前が勝手に例えツッコミをしたのだろう』



「うるさい!卑怯な奴め!いいから本名を名乗れ!」



『無茶苦茶だなお前は……だがまだ我の本名を名乗る時ではない。その時が来れば、お前にも我の本名が分かるだろう。びっくりして鼻を詰まらせるなよ』



「そういう時は大体目が飛び出るんだよ!!鼻詰まりはただの体調不良だろ!!」



『やはりいいツッコミだ……ではさらばだ……』



 またツッコミ褒めてどっか行ったよ。ツッコミ過ぎて例の魔法陣使えなかったし。



「お前、俺に隠してることがあるのか……?」



 ジェームズが俺に問いかける。逃げられないか……。しかし、俺が転生者だというのはまだエリック先輩しか知らない事実。いくら親友とはいえ、ジェームズに話してしまってもいいんだろうか?



「ルーシャス、少なくとも俺はお前のことを親友だと思っている。アリスには言えないことも俺に言えたりすることがあるだろう。今回はそういうことなんじゃないのか?」



 確かに、ジェームズなら俺の秘密を知っても受け入れてくれるかもしれない。だがやはり怖い。エリック先輩と違って幼少期から一緒に過ごしてきたジェームズに、実は精神年齢が36歳ですなんて言いづらい。……いや、それだけだとただ精神がおっさんなだけだな。大丈夫なのか?



「ルーシャス、話してくれ。お前がもし脚フェチだったとしても受け入れてやる」



「うんむしろ脚フェチぐらいは受け入れてくれ?なんでその癖だけ受け入れない?」



 相変わらずマイペースなジェームズの様子を見て、俺は彼に真実を話すことに決めた。

ルーシャス「時間がどんどん経っていくぞ。ちゃんと完結させるつもりみたいだな」


アリス「でもずっとふざけてますわよ?最後ぐらいまともにやらなくて良いんですの?」


ルーシャス「まあまだ最終回じゃないから……。最後はちゃんと真面目にやるよね?ね?」


あまり期待はしないでください……。

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