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【完結】からふるわーるど  作者: 仮面大将G
騎士団編

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88.つめたいしせん

 エリック先輩との一件があってからも、いつも通りの日常は続いた。

 先輩は特に周りに俺が転生者だと言うつもりもないようで、誰かから問い詰められるようなことは無かった。

 先輩自身も今までと変わらない態度で俺に接してくれた。強いて言えば少し前より仲が良くなった気がするが。


 そんな変わらない日常を過ごし、また一年が経った。

 俺とアリスはもう実質司令官になっており、ダスティンさんはほぼ隠居状態だ。

 うちの父さんを始めとする親世代も年齢を重ねており、そろそろ隊長職から退く意向をチラつかせている。

 特にそれはうちの父さんが顕著だ。年齢もあるが、その理由として最も大きいのはジェームズが騎士団に入って来たこと。


 ジェームズたちの世代(まあ世代で言えば俺とアリスも一緒なんだけど)は無事高校を卒業し、今年から騎士団に配属されている。

 その中でも特にジェームズとメイヴィスは目覚しい成長を遂げていて、彼らはそれぞれ剣術1級、魔術1級を取得したとのことだ。

 そんな有望株が入ってきたとあれば、歳を重ねた自分が隊長である意味も無くなってくるだろうと父さんは考えている。イアンさんも同じだ。

 しかし俺と手合わせしていた頃は剣術4級だったジェームズが1級......。感慨深いものがあるな。


 かく言う俺も級は上がっていて、剣術・魔術共に0級となっている。いやむしろなんで今まで上げなかったんだってぐらい楽勝で超大型魔獣を倒し続けてたんだけどさ。単に俺が級認定試験の存在を忘れてただけだ。


 ちなみに0級は超大型魔獣を30分以内に3体倒すと認定される。俺はそこを約5分で3体倒し切り、あっさりと0級認定を受けた。

 例によってマクロフリン家で認定試験を受けたんだけど、俺が短時間で超大型魔獣を3体倒したことへの驚きは全く無かった。むしろ何故今まで認定試験を受けなかったのかと責められたぐらいだ。そんな理不尽な。


 そして今日俺は魔術隊の訓練の視察に来ている。メイヴィスが入団した魔術隊を好奇心半分で見に来たのだ。



「ん、ルーシャス。久しぶり」



「久しぶりメイヴィス!調子はどう?」



「まあまあ。悪くは、ない」



 そう言いながらもメイヴィスは調子が良さそうだ。なんてったって俺と会話しながら擬似魔獣を倒してるからな。相変わらずとんでもねえな。



「ルーシャス、ちょっと、相談」



「ん?なんだ?気になる男でも出来たか?」



「違う。もしそうなら、アリスに言う」



 昔と同じく不思議ちゃんっぽい口調で正論を言ってくるメイヴィス。俺のセクハラまがいのジョークをあっさりと否定する。



「実は私、副隊長にならないかって、言われてる」



「え!?早くね!?」



「そう。私、まだ、騎士団に入ったばかり。いきなり副隊長は、荷が重い」



 話しながら擬似超大型魔獣をつららのような氷の槍で貫くメイヴィス。いや、実力だけ見れば隊長でも問題無いぐらい強いと思うけど......。



「まあでも役職を持つのも良いことだよ。俺も総司令官補佐になって普通の騎士なら経験できないことも経験できてるし」



「それは、そう。ルーシャス、むしろ、普通の騎士のこと、知らない」



「うっ......。いやそんなことはないぞ!?それなりに訓練にも顔出してるし!」



 失礼なやっちゃで......。まあでも俺の時も心配していたが、いきなり役職を持つと周りからの嫉みや僻みがあるかもしれない。

 メイヴィスは真面目だからそういう声にまともに向き合ってしまうだろう。そうなるとしんどいかもな。



「まあメイヴィスがプレッシャーに感じるならまだやめといても良いかもね。どうせそのうちすぐ役職付きになるだろうけど」



「ん、なんか、無責任。真面目に、聞いて」



 真面目に聞いてるんだけどな......。この子は優秀なのだが、少し固すぎる節がある。昔はもっと奔放に魔術をぶっ放していたと思うのだが、小学校や高校で首席を取ることでより真面目になってしまったのかもしれないな。



「それよりルーシャス、アリスとは、いつ結婚するの?」



「ふぁ!?なんだよいきなり!?」



「みんな、結婚式、待ってる。まだ?」



 いやまだだよ!俺たちまだ12歳よ!?成人すらしてないのに結婚は早いでしょうよ!?

 とは言え、この国では14歳から結婚できる。12歳で普通は騎士として仕事してるからね。

 だとしてもまだ気が早いとは思うけど。



「成人してから、結婚するの?アリス、ずっと待ってる。プロポーズぐらいは、してもいい」



「それは分かってるけどさあ。プロポーズとか何にも考えてなかったよ。改めてした方がいいのかな?」



「当たり前。アリス、可哀想。ルーシャス、無責任」



 はい頂きました本日2回目の「無責任」。

 そうかあ、そろそろ俺もアリスとのことを考えなきゃいけない時期になってきたのかあ。


 ジト目で見てくるメイヴィスから視線を逸らしつつ、俺は少し本気で考え始めるのだった。

アリス「あら、メイヴィスも良いことを言いますわね」


ルーシャス「俺が考えるの遅いのかなあ。まだ早いと思ってたよ」


アリス「私はいつでも大丈夫ですわよ?あとは作者のさじ加減ですの」


うん、期待しといてね!

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