77.おとなのかいだん
「ルーシャス様、おかえりなさいですの!ああ私がどれだけ心配したか!無事戻ってきたからにはしっかり私に付き合ってもらいますわよ!」
心配してたのか脅してんのか分からないセリフを宣うアリス。現代に戻ってきた俺は、着いて来られなかったアリスから熱烈な出迎えを受けていた。
前にもさらっと言ったが、俺は1人でタイムトラベルをして人間の魔獣と戦う代わりに、戻ってきたらアリスと3日連続でデートの約束をしていた。
つまり、今日から3日間はアリスとどこかへお出かけするということだ。まあ俺も嬉しいし夏休みだから問題はないのだが。
「3日間ルーシャス様とデート......楽しみで胸が高鳴りますわ!どこに行きましょう?」
「そうだなあ、せっかくだから3日間違うところとかじゃなくて馬車で遠出するのもいいかもね」
「確かに、高校の周りならいつでも行けますものね!いい考えですわ!」
何の気なしにした提案が、俺にまさかの選択を迫ることになるとはこの時はまだ知らなかった。
「さあ、着きましたわよルーシャス様!」
「もう着いたのか、あっという間だったな」
俺たちが降り立ったのは、高校から馬車で1日ほどの港町。
森の近くに住んでいた俺は、この世界に来てから海というものを見たことがなかった。それで試しに海に行きたいと言ってみると、アリスも大賛成。彼女も海には縁が無かったようで、せっかくだからクルージングでもしようという話になった。
「ルーシャス様、海ですわ海!キラキラしてますの!」
「本当だなあ。透き通ってて真っ青だ」
この世界では魔法が発達していて化学エネルギーを使わないので、海がとても綺麗だ。
太陽の光を反射して輝く波間に、時折魚が跳ねるのが見える。
アリスの言う通り、キラキラしてるな。既に来てよかったと思えてしまう。
「アリス、あっちに船があるらしいよ。早速行こうか」
「はいですのっ!楽しみですわ!」
ルンルンのアリスの手を取り、俺たちは仲良く船の方へ歩き出した。
海辺に着くと、俺たちがチャーターする予定の船が姿を見せる。
そう、さっきさらっと言ったけどチャーターするんだよ。今日1日は俺たち専用の予定だ。
もちろん大勢乗れる豪華客船みたいなのもあるんだけど、それよりも何回りか小さい2人で貸し切れるものを選んだ。
お金はどうするのかって心配していたが、アリスが1等貴族の娘だからってことでまさかの無料だ。
マクロフリン家の一人娘が乗ったってだけで宣伝になるから代金は要らないって言われちゃったよ。
豪華客船よりも何回りか小さいとは言え、子ども2人が乗るには大きい船に乗り込む。船員は船長と副船長の2人。個室、レストラン完備のちゃんとした客船だ。
「アリス様、ルーシャス様、お待ちしておりました。本日船長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします」
丁寧な挨拶をしてくれるポニーテールの女性。勝手に恰幅の良いおじさんを想像していたから、若い女性が出てきて少し面食らってしまった。
ちなみに、後ろで微笑んでいるボブの女性が副船長だ。2人とも若いのに凄いなあ。
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
「船長、副船長、今日は頼みましたわよ?」
「はい!お任せください!」
「では、お部屋にご案内しますね」
副船長の後を追って、俺たちは船室に向かった。
ドアを開けると、大きめの窓が付いた小さな部屋があった。部屋の中には小さな丸テーブルと椅子が向かい合って2つ。シングルベッドが1つ置いてあった。......シングルベッド1つ!?え、まじか!そんなつもりでは来てなかったんだけど......。
アリスと泊まるのは初めてではない。高校に入学する時に一緒に馬車で3日過ごしたが、その時の宿はちゃんと宿屋で、部屋も別に取っていたしついでにジェームズとコーディもいた。同じ部屋に2人きりで泊まるのは初めてだ......ということはそういうことなのか!?前世でも経験ないからどうすりゃいいかわかんないぞ!?
「ルーシャス様見てください!とっても綺麗ですわよ!」
「え?あ、ああ、そうだね」
はしゃぐアリスを見て気を取り直す俺。そうだ、アリスは純粋に楽しみに来てるんだしまだ誕生日が来てないから8歳だ。邪なことを考える歳じゃない。
「では、間もなく船が出航します。ごゆっくりおくつろぎくださいね!」
パタン、とドアを閉めて副船長が出ていく。部屋には俺とアリス2人だけだ。
「今日は楽しみましょうね、ルーシャス様!」
「もちろん!アリスと2人で過ごせるのが嬉しいよ」
なんとか甘い言葉を捻り出すが内心バクバクの俺は、明日まで耐えられるか不安に思いながらアリスの向かいに座った。
その後、2人で景色を楽しんだりレストランでディナーを食べたりして時間は夜。
デッキで少し風に当たってから、俺たちは部屋に戻ってきた。
「ずっと景色が綺麗で素敵ですわ!ルーシャス様、こんな素敵なクルージングに連れてきていただいてありがとうですの!」
「いえいえ、俺の方こそ一緒に来てくれてありがとう。楽しんでもらえて嬉しいよ」
はしゃいでいたアリスだが、不意にベッドに寝転んだ。
......うん、疲れてるだけだよな。眠いんだよきっと。
「夜、ですわね。」
「う、うん。そうだね」
「ルーシャス様、私今日はちゃんと覚悟して来ましたの。だから、いいですわよ?」
......え!?え、まじで!?これってそういうことだよね?え、早くない!?もっと大人になってからそういうことするもんだとばかり思ってたよおいらは!?
「ルーシャス様......?」
ああ、ダメだ。
アリスのとろけるような目に理性を失った俺は、アリスをベッドに押し倒す。
「脱がすよ......?」
こくりと頷くアリス。白い肌が徐々に露わになっていく。
その夜、俺はアリスとひとつになった。
ルーシャス「いやこの展開のあと喋りづらいわ!」
アリス「やっと......やっとこの時が来ましたわ!待ち焦がれてましたの!」
ルーシャス「......まあ正直それは俺もだけどな。この世界ではこの年齢で卒業するのが普通なのかな?」
アリス「まあちょっと早いですけれど、いずれするのですから関係ありませんわ!今回は作者に感謝ですの!」
喜んでもらえて良かったです!




