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【完結】からふるわーるど  作者: 仮面大将G
小学生編

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58/101

58.とあるゆきのひ

「うぅ......寒っ!!」



 凍てつくような寒さに目を覚ます。時刻は朝の5時。冬休みなのに寒すぎて早く起きちゃったな。

 この国の冬はかなり雪が積もる厳冬だが、今年は特に寒いな。


 外を見ると一面の雪景色。40〜50cmぐらいは積もっているだろうか。子どもらしく雪だるまでも作りに行こうかな。

 呑気なことを考えながらとりあえず風魔法で温風を吹かせ、部屋に循環させてセルフ暖房を施す。



「るるるるーしゃす様〜、起きていらっしゃいますか〜?」



 ガクガクと震えながらミーナちゃんが部屋に入ってくる。



「はあ〜あったかい〜!生き返ります〜」



「ミーナちゃん、こんな早い時間にどうしたの?」



 俺の問いかけにハッとした顔をするミーナちゃん。表情がコロコロ変わってちょっと面白い。



「それがルーシャス様大変なんです〜!お家の屋根に雪が積もってしまって〜、ギシギシ音が鳴ってます〜!」



「えっそれマズくない?家潰れちゃう寸前てこと?」



「そうなんです〜!ご主人様に頼むのは気が引けるのですが〜、魔法で雪かきをしてもらえませんか〜?」



「おおやろうすぐやろう」



 我が家の一大事だ。ここで一肌脱がねば男ではあるまい。


 ていうかミーナちゃんも温水出して雪を溶かせばいいじゃん、と思ったが雪かきに温水を使うのは危険らしい。

 なんでも、これぐらい雪が積もる地域だと温水で雪を溶かすとすぐに凍ってしまって逆に危ないんだそうだ。

 それに、地面に直接雪が積もっているのではなく先に凍った上に雪が積もっているので、むしろ氷を分厚くしてしまいかねないらしい。雪国は大変だ。


 ということで、俺が風を吹かせて雪を吹き飛ばすのが最適なのだそうだ。

 母さんの火魔法で手伝ってもらうことも考えたが、結局雪を溶かしたらまた凍ってしまうので断念。

 というかこの寒さであの母さんなら手元が狂って火事でも起こしてしまいそうなのでそもそもNGだ。息子からの信用がないのは可哀想だが、それは普段の自分を呪うしかない。


 知らないところでディスられている母さんを可哀想に思いながら(どの口が言うか)、玄関扉を開けて外に出る。

 予めコートの中に温風を吹かせて寒さ対策はバッチリだ。


「わわわわ私にもそそそその魔法かけててててくださいいいい〜」



「あ、ごめんミーナちゃん。すぐかけるね」



 ガチガチと歯を震わせながら着いてきたミーナちゃんにも温風の魔法をかける。

 別にわざわざ着いて来なくてもいいのにと思ったが、万が一俺が雪に潰されたりしないように見守るのだそうだ。変なところで責任感の強い子だ。



「それじゃ、始めますか!」



 下方向に強風を吹かせて屋根の高さまで浮き上がる。ありゃーこれは確かに家潰されそうなぐらい積もってるわ。早いとこ退かさないと。


 俺は屋根に沿うように手をかざし、強風を吹かせて雪を退けていく。

 周りに他の家とかもないから安心して一気に雪かきが出来る。今日初めて我が家が少し他の家から離れていて良かったと思ったわ。

 これもみんながみんな騒がしいうちの家族のおかげだな。なんだか悲しくなってきたよ。


 複雑な気持ちになりながら屋根の雪を吹き飛ばし終える。

 俺を浮かせていた風を少しずつ弱めて地面に戻ると、雪まみれで半泣きのミーナちゃんが待っていた。


 あ、あれか。俺が上に行く時吹かせた強風で雪がかかりにかかったのか。え、それはまじごめん。



「ルーシャス様、酷いです〜」



 涙目で睨みつけてくるミーナちゃんにお詫びの温風を吹かせながら、俺たちは温かい家の中に戻るのだった。



「ルーシャス様、雪かきありがとうございます!大丈夫でしたか?今温かいコーヒーを淹れますね!」



「ありがとうイーナさん。あとミーナちゃんにもココアをお願い。俺より全然冷えてるから」



「ルーシャス様のせいじゃないですか〜!!」



「あ、あははー」



 ミーナちゃんの恨み節を笑って誤魔化しつつ、俺たちは椅子に座る。


 思えば、こんなにのんびりと家で過ごすのも久しぶりだ。

 3年生になってからは通常の授業で会わなくなったジェームズやメイヴィスと訓練をしたり、勉強を教えてくれと泣きついてくるヒーズマン姉弟の相手をしたり、長期休みになると家まで訪ねて来るエリック先輩の実験に付き合ったりで全然家での時間がなかった。


 家を離れている時間が長かったから、ミーナちゃんもイーナさんもちょっと大人に見えるなあ。

 なんてことを考えていたらイーナさんがコーヒーとココアを持って戻ってきた。


 ふーふーとココアを冷ましてちょびっとずつ飲むミーナちゃん。猫なのは耳だけではなく舌もみたいだ。

 そんな姿を見てるとミーナちゃんが大人っぽく見えてたのは見間違いだったかなー。



「む〜?ルーシャス様、今失礼なこと考えてませんでした〜?」



「そそそそんなことないわよ!?」



「ほんとですか〜?焦り方がわざとらしいですよ〜?」



「はは、さあさあイーナさんがせっかく温かい飲み物を用意してくれたんだし冷めないうちに飲まないとね!」



「また誤魔化した〜!ルーシャス様が嘘ついてる時は私分かるんですからね〜?」



 赤ん坊の頃から傍にいるこのメイドさんには、やはりまだまだ敵わないようだ。


 グチグチと涙目で恨み節をぶつけて来るミーナちゃんを適当にあしらいながらイーナさんと目を合わせて笑う。


 我が家は、今日も平和だ。


ルーシャス「今回は平和な話だったな」


アリス「メイドさんが出てくるの結構久しぶりですわよね?」


ルーシャス「確かに......とりあえず登場人物を増やしときゃいいと思ってんのかなこの作者」


アリス「その時のボケに使いたいから出てきたキャラが割といますわね」


ルーシャス「もうこれ以上闇雲にキャラを増やすのはやめて欲しいな。俺がツッコミ切れなくなる」


はい、頑張ります......

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