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【完結】からふるわーるど  作者: 仮面大将G
小学生編

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56.でんせつをまなぼう

 季節は秋。俺とアリスが飛び級で3年生になってから半年とちょっとが過ぎた。

 早くも卒業が見えてきた中、俺はすっかりやらなければならないことを失念していた。

 それは......受験だ。


 そう、この世界の高校にも入学試験というものがあるのだ。なんてこった。小学校からそのまま入るから受験があるって感覚がなかったよ。まじなんも対策してねえ。


 この世界ではあって当たり前のものという常識が染み付いてるので特に学校からのお知らせもなく、受験というものの存在をすっかり忘れてしまっていたのである。


 俺が受験のことを思い出したのはつい最近。夏休みが終わって2学期が始まり、アリスと帰っている道中のことだ。



「もう後半年で私たちも卒業ですわね!」



「ああ。2年しか通わないってなるとなんだか損した気分だよ。まあ高校もあるからしばらく学生ではいられるんだけど」



「高校といえばルーシャス様、受験対策はされていますの?ルーシャス様のことですからもう完璧なんでしょうけど」



「受験......だと......!?」



「えっ?私何か変なこと言いましたの?」



「えちょっと待って、高校に入るのって受験要るの?」



「もちろん要りますわよ。高等学校ですから。入りたくても入れない人もいるんですのよ?」



「Oh my god......」



「まさかルーシャス様、高校入試があること知らなかったんですの!?」



「知らないよ......えだって学校でも特になんも言われてないよね?」



「それはまあ受験があるのは常識ですから......それに、受験対策は自分でするものと昔から決まっていますもの」



「嘘だろおい......俺何もしてないよどうしよう」



「ええ!?......まあでも小学校の範囲からしか問題は出ませんし、戦闘試験もルーシャス様なら楽々合格できると思いますわよ?」



「え!?戦闘試験もあるんでゲスか!?」



「ゲス!?......ええ、ありますわよもちろん。高校は魔獣と戦う為に全員に武術も教えますから」



「なんでそんな大事なこと誰も言ってくれないんでゲスか......」



「喋り方どうしたんですの!?」



 その後アリスから高校入試の詳細を教えてもらった。

 科目は3つで、国語、算数、戦闘だそうだ。

 国語と算数に関しては小学校の全範囲から出題。戦闘は実際に高校に設備としてある訓練場で魔獣と戦うらしい。

 日程は9月10日。今は6月17日。もうすぐじゃねえかおい。


 もちろん戦闘や算数に関しては大丈夫なのだが、問題は国語だ。

 ここまで描写はなかったが、当然この世界の国語は日本の文学は扱わず、この世界の文学を扱う。

 よって全然知らない物語の作者や出版された年代なんかを覚えなければならないのだ。俺は算数はできるのでこの国語だけは頑張ってテスト勉強したり授業も真面目に受けていた。描写はないけど。


 真面目に勉強してきたとは言え、前世でも決して出来が良いとは言えなかった俺の頭脳だ。

 前世での知識が通用しない科目に関してはしっかりと対策をしておきたい。

 ということで俺はこれから小学校で扱った物語を全て読み返すことにした。


 この世界の文学は物語と言っても歴史的な事実を基に書かれているものが多く、歴史や地理の勉強にもなる。

 高校からは歴史と地理の授業が追加されるそうだから今のうちにやれる範囲をやってしまうのも重要なことだ。


 ということでいそいそと本棚から引っ張り出して来たのは『英雄列伝』と書かれた本。この世界で最もポピュラーな童話だ。

 あらすじとしては、平和だったある日地下から襲来した魔獣の群れが現れて人々を混沌の渦に巻き込んだ。

 しかし人間の中から武術を使う戦士達が現れ、魔獣を駆逐していく。

 やがて戦士達は魔獣を全滅させ、世の中に再び平和をもたらした。

 最後の魔獣討伐の瞬間太陽が登り、新たな時代の幕開けとなったことからリーダーだった剣士は「暁の剣士」と呼ばれるようになった。

 その後暁の剣士が中心となって「ジェルダーリ王国」を建国し王となった、というありそうな伝説だ。


 あまりに古い伝説の為作者は不明。実際にあった出来事とも言われている。

 ていうかさらっと出てきたけど「ジェルダーリ王国」は俺たちが今住んでいる王国の名前だ。今まで何で出てこなかったんだよまじで。


 この国の書物にしてはかなりまともな本だと思うだろうが、実はこの本挿絵がかなり入っていて、その挿絵の絵柄が何故か劇画調なのだ。

 気分的にはファンタジーな北〇の拳を読んでいる気分だ。実は暁の剣士が一子相伝の拳法の使い手でしたとか言い出すなよ。


 そしてこの本を改めて読んである発見があった。挿絵が多いことで魔獣の姿も多く描かれているのだが、なんとその中には人間のような姿をした魔獣も描かれていたのだ!

 と言ってもすっごいモヒカンで肩パットとか付けた「ヒャッハー!」とか言いそうな魔獣なんだけど。世紀末感が凄い。


 どこが入試に出るのか分からないので何度か読み返しつつ、読む度に見つかるツッコミどころに的確なツッコミを入れていく俺なのだった。

ルーシャス「まともな本が1冊も出てこねえな!?」


アリス「ジェルダーリ王国では普通のことですのよ?」


ルーシャス「いやその国名も出てくるの遅くない!?もうこれ56話よ!?」


アリス「作者が見切り発車で書き始めるからですわね......気まぐれもほどほどにして欲しいですわ」


善処します......。

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