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【完結】からふるわーるど  作者: 仮面大将G
小学生編

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55/101

55.なんどめかのしょうじき

 青空が広がる下、やや強めの風が吹くこの魔術訓練場。コンディションは良好、今日はどんな戦いを見せてくれるのでしょうか!

 実況は私ルーシャス・グレイステネス。解説も私ルーシャス・グレイステネスでお送りいたします。


 訓練場の中心に立つのはやや緊張の面持ちのエリック・ハリソン選手。相手が現れるのを今か今かと待っている様子です!

 さあ魔術師協会の職員が魔道具に魔力を流しました!今、戦いの火蓋は切って落とされます!



 ......俺がどうしてこんなふざけた実況をしているのか。時は先日の魔法陣実験の後に遡る。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「魔術の級認定試験に着いてきて欲しい......?」



「そうなのだよルーシャスくん。恥ずかしながら私はまだ魔術の5級も持っていない。だがこの魔法陣があれば私でも魔術で戦える!......とは言え、やはり今まで何度も試験に落ちてきた身。不安なので一緒に来てはくれないか?」



「はあ......別にいいですけど......」



 なんでこの天才的な発明をするエリック先輩がまだ魔術5級も持っていないのか不思議で仕方ない。

 魔道具や魔法陣を開発する方に才能が行ってるのか?

 いくら色薄とは言え、適正が魔術ならある程度は使えると思ってたよ。

 実際うちのイーナさんは槍術の色薄だけど槍だけじゃなく色んな武術が使え、いざと言う時に家を守れるぐらいには強い。

 しかしこのエリック先輩は自分自身の魔術では小型魔獣すら倒せないという。色薄にも色々あるんだなあ。



「では来週末、魔術師協会で会おうではないか!さらばだ!」



 胸を張って去っていく博士ことエリック先輩。

 なんでそんな自信満々に去って行けるんだよ。

 道行く女子達に「エリックのここ、空いてますよ」とか言い出しそうな歩き方だ。

 そのうちエアロビとか大学受験に挑戦するのではなかろうか。後者はエリック先輩なら充分有り得るが。


 大股で歩いていくエリック先輩の背中を見ながら、俺はどうでもいいことを考えるのだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ということで時はその次の週末。不安そうなエリック先輩の付き添いで気楽な俺は、場外から先輩の試験を見守っている。


 この日の為にエリック先輩は魔法陣を大量に用意し、1冊の本にまとめあげた。

 そして実験の際俺用に書かれた魔法陣とは違い、今回先輩がまとめた魔法陣は少ない魔力でも扱えるものになっているらしい。

 それは良いのだが、攻撃魔法を書けるなら最初からそういうの用意しといて欲しかったな。なんで俺用の魔法陣は「光魔法ハゲ頭」なんだよ。古典的なギャグの為に魔力使わされた俺の気持ちよ。


 やるせない気持ちを抑え、先輩のいる訓練場へ目線を戻す。

 開いた本を手に持ち杖を掲げる姿は絵に書いたような魔法使いだが、完全に腰が引けてしまい見事なくの字になっている。いや、杖が濁点の位置にあるからどちらかと言えばぐの字だな。

 魔法を使う時特段杖を使う必要は無いのだが、魔力の効率を最大限高める魔道具として稀に使われる。魔力の絶対量が少ない人が使うらしい。

 先輩、よっぽど自分の魔力量に自信ないんだな......。普段の態度は自信満々なのに。


 魔術師協会の職員が魔力を流すと小型の擬似魔獣が現れた。

 5級に認定されるには、この擬似小型魔獣を5体討伐する必要がある。

 今までは自力の魔術で3体までしか倒せなかったそうだが......果たして今回はどうだろうか?


 ぐの字になってしまっているエリック先輩は、本のページを開いて魔獣の方へ向け、魔力を流した。

 すると本に書かれた魔法陣が光り出し、魔獣の目の前に前回とは違うカッパのようなハゲ頭が出現した。

 困惑する魔獣と俺。あ、明らかに間違えたってリアクションしてるわ。もういいんだよ光魔法ハゲ頭は。


 気を取り直して別のページを開き、また魔力を流す先輩。

 すると今度は魔法陣から火柱が上がり、前方にいた魔獣2体を黒焦げにした。

 おお!かっこいいじゃんか!やっぱ手から魔法出すより本とか杖とか使って出した方が画になるよね。


 先輩は様々な属性魔法を使い瞬く間に小型魔獣を5体討伐してしまった。

 職員さんと俺は先輩に拍手を送る。先輩も照れくさそうに俺に手を振った。


 ていうかあれだな、今気づいたけどあの魔法陣使えば俺でも他の属性魔法使えるな。

 めっちゃ便利じゃん。ちょっと今日着いてきたお駄賃として何枚か強請ってみようかな。


 オー〇リーばりに胸を張って大股で歩いて訓練場を出てくるエリック先輩。



「どうだったかなルーシャスくん、我が研究の成果は!」



「いやこれは本当に凄いと思います。もっと研究を重ねればさらに強い魔術が使えるようになりそうですね!」



「まさしく!これがあれば光魔法M字ハゲも使えるようになるだろうね!」



「もういいわハゲのくだり!引っ張りすぎだろ!」



 てかハゲ方の違いで魔法陣も違うのかよ!

 じゃあ多分さっき間違えて使ったやつは「光魔法カッパハゲ」じゃねえか!

 無駄なバリエーション増やさなくていいよ!



 先輩の謎のハゲへの執着に呆れ返りつつ、ふんぞり返って協会を出ていく背中を追うのだった。

ルーシャス「この話さ、俺以外にツッコミ役って出ないの?なんか新キャラ出る度にボケなんだけど」


アリス「私はツッコミじゃないですの!?」


ルーシャス「君はどっちでもないよ多分。これからどうなるかは知らんけども」


アリス「ルーシャス様の負担を減らせるよう私もツッコミを鍛えますわ!ツッコミの級認定はどこの協会でやってますの?」


ルーシャス「いやツッコミは武術じゃないのよ。協会とか無いから!てかまたツッコまされてるよ!」


苦労人ルーシャスくんでした。

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