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【完結】からふるわーるど  作者: 仮面大将G
小学生編

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53/101

53.せんせーからのおしらせ

 タタタタタターン タタタタターン♪


 相変わらず間の抜けたチャイムが響き、2学期の初日が終わる。


 いつものようにアリスとの帰り道を歩みながら、俺は例の魔獣について話していた。



「人間の魔獣...そんなものが...」



「うん。ちなみに危険だからって言って俺と帰るのを止めるという選択肢は...」



「ないですわ」



 ですよねー。俺としてはアリスを危険には晒したくないんだけど。アリスは6歳にしては強いとはいえまだ弓術3級。上位の魔獣に太刀打ちできる実力ではない。アリスを守りながら戦うことは恐らくできるが、できればアリスには安全なところにいて欲しい。でも人間の魔獣は狡猾らしいから、アリスが1人でいるところを狙う可能性もあるのか。なら俺と一緒にいるのが1番安全かもしれない。


 うんうん、と頷きながら歩く俺を不思議そうに見つめるアリス。



「そういえばルーシャス様、宿題の擬似魔獣討伐1位でしたわね!やりましたわね!」



 そう、俺たちのパーティーは1年生の部で1位を獲得したのだ!危ないからって大型までしか魔獣が出てこない設定にされてたから数で勝負したけど、ちゃんと1位になれて良かったぜ。



「そうだな!アリスとジェームズの力があってこそだよ!」



「うーん、あれはほとんどルーシャス様の力だった気がするのですけれど...」



 貰った金色の勲章を複雑そうな顔で見るアリス。まあ確かにな。俺が1人で2/3を倒してたからアリス的には手応えはないのかもしれない。



「勲章は貰ったから俺たちは1年生の中では強い方だけど、とにかく特に俺といる時は気をつけてな。何かあったらすぐに安全な場所に避難するんだ」



「私としては肩を並べて戦いたいのですけれど...ルーシャス様がそう仰るならそうしますわ」



 納得いっていない様子のアリスだが、なんとか了承してくれた。人間の魔獣なんてのが出てきた以上、何をされるかわからないからな。母さんに言われた通りアリスだけは絶対に守る。そして、俺自身も生き残る。俺がいなくなったらアリスや家族たちがどれだけ悲しむか想像はできるからな。何があってもアリスと共に生き抜いてみせるぜ!


 俺の覚悟とは裏腹に、何事も無い日常が過ぎていった。そして2学期も終わりを迎えそうなある日、俺とアリスは先生に呼び出された。



「ルーシャス様だけならまだしも、私も...?なんでしょう?」



「俺が呼び出される常連みたいな言い方やめてくれよ。心にくるぞ?」



 まあ確かに授業で配られたプリントが早く終わったりテストが早く終わったりする度に魔法()で遊んでは呼び出されて怒られてたんだけどさ。だって暇なんだもん。前世ではこんなことなかったから課題が早く終わった時の暇つぶしの仕方がわからんのだ。しゃーない。



「「失礼します(の)!ファーノン先生いらっしゃいますか(の)?」」



「ルーシャスくん、アリスさん、今行きまーす」



 いつもと同じダルそうな先生がスリッパをパタパタさせながらこっちに向かってくる。



「2人ともー、ここに座ってもらえるー?」



 そう言われて俺たちは職員室の隅っこにある席に座らされる。なんだかいつもよりかしこまってるな。本当に何の話だ?



「今日はねー、2人に相談したいことがあってー...」



 そう言ってファーノン先生が取り出したのは『とびきゅーのしおり』と書かれた手作り感満載の資料。なんでこの世界の書物は全部ツッコミどころがあるんだ?



「2人はもう充分1年生の範囲はできてるしー、アリスさんは家庭教師さんから2年生の範囲も終わってるって聞いてるよー。ルーシャスくんは何故かもう全範囲できるんだよねー?」



 なんでそこまで知ってんすか先生...。あれか、小学校に入る前に父さんと母さんが俺を天才だと持て囃して勉強を教えようとしたらもう高校の範囲までできちゃってたってのを言われたのか。またいらんことしてるようちの両親。



「ということでー、2人は来年から3年生の中に入ってもらおうかなーと思ってまーす」



「私はルーシャス様と一緒なら構いませんが...どうですの?」



 飛び級か。俺は元々これを狙ってたし、最短コースで高校まで卒業するミーナちゃんルートを辿りたいと思ってたから都合がいいな。

 アリスが心配してるのは多分コーディと離れるのが寂しくないかってことだろう。まあ寂しいと言えば寂しいが、どうせ小学校、上手く行っても高校を卒業したら別々の道を歩むことになる。なら別に今から離れても友達でい続ければいいだけだ。それにコーディなら勝手に俺に着いてきそうだしな。



「俺も喜んで飛び級します。なんなら勉強に関しては高校まで行ってもいいかと」



「すごい自信だねー。でも学校の決まりで一気には飛び級できないからー、とりあえず3年生になろうねー?」



 ファーノン先生はそう言うと書類を取り出す。



「じゃあー、2人ともこの書類にサインしてねー。これで2人とも来年から3年生でーす」



 俺たちは先生が取り出した書類にサインする。てかなんかよく読むと『この書類にサインをするともう後には戻れません。セーブしますか?』とか書いてあるんだけど。セーブってなんだよ。この世界にもゲームの概念あんのかよ。書類がいちいち変なのはまじで何なの?



「はーいありがとー。じゃー、来年からも頑張ってねー」



 そうか、3年生になったら先生もファーノン先生じゃなくなるのか。毎日のように呼び出されてたからそれはそれで寂しいな。いや呼び出されてたのはいい思い出でもなんでもないんだけど。


 こうして一抹の寂しさを覚えながら、残された1年生の僅かな時間は過ぎていった。

アリス「これで私たちも晴れて3年生ですわね!」


ルーシャス「1人で飛び級じゃなくて良かった...にしても、話の落差がすごいな。作者的にはコメディで貫きたいんだろうか」


アリス「そうじゃないですの?真面目な話を書くのが苦手なんですのよこの作者」


ギクッ...ば、バレてる...

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