43.おねえちゃんといっしょ つー
本当に遅くなりました!
申し訳ありません!
「ふぅ〜ん、補習の指導役ねえ〜」
「うん。別に断る理由もないから引き受けちゃったんだけどさ、どうしたらいいかわかんないんだよね」
「そうだよね、いざ教えるとなるとわかんないよね。パパは感覚派だし、ママは才能頼みだし。それで私ってわけだね」
「うん。ジュリアお姉ちゃんなら今訓練を受けてるから何か参考に出来ないかなと思って」
夕日でオレンジ色に染まり出した部屋での姉弟の会話。
なんか初めて家庭教師のバイトをする大学生みたいだ。
指導役になったのはいいのだが、具体的に何をしろとは言われていない。
そこで誰かに相談しようと考えたわけだ。
ところがここで衝撃の事実が発覚。相談する相手として、母さん……は論外として、父さんはお姉ちゃんが言ったように感覚派だ。おかげで俺も昔は苦労したもんだ。一切描写はないが。文句なら作者に言ってくれ。
ミーナちゃんに相談しようものなら、「実際にやってみるのが一番です〜♪」とか言ってマジカル☆暴走ネコちゃん化するだろうし、イーナさんは遠慮しちゃって、アドバイスを貰うのにも一苦労だ。
ということで、唯一相談できるのがブラコンが落ち着いてきたジュリアお姉ちゃんでござった。
「うーん、そうだね…。感覚が掴めない原因を探るのが必要だと思うな」
「原因を?某、もっと詳しく聞きたいでござる」
「某⁉︎…と、とにかく、出来ない子には何か原因があるはずなの。それを取り除いていくのが、指導の基本だよ」
「なるほど。原因がわからぬ故に悩ましげなり、ということでござるな」
「今日、どうしちゃったの⁉︎」
ジュリアお姉ちゃんからありがたいアドバイスを貰い、それがs…俺はその場を去った。
忘れないうちにメモをとり、学校用の鞄に入れる。
これで補習はなんとかなりそうだ。–––––
–––––––––「私、すっごいアバウトなことしか言えなかったけど、あれで良いのかな?」
ルーシャス君が満足気に去って行ってしまったので、もっといろいろ言うつもりだったのに言えなかったよ…。って言うかあのよくわからない喋り方に意識全部持ってかれちゃったよ…。
グゥ〜! 突然私のお腹が大きな音を立てた。
最近、成長期なのか腹時計が結構進んじゃってるんだ。イーナちゃんに今日の晩ご飯聞きにいこーっと。
「イーナちゃん、今日のメn…あらら」
イーナちゃんは夢の中だった。あんまり気持ちよさそうに寝てたから、私は何も言わずにそっとドアを閉めた。
この頃ミーナちゃんが「魔術1級とるんだ〜」って言ってメイドさんの仕事あんまりやらないから、イーナちゃん疲れてるんだね。
ミーナちゃん、早く帰ってこーい!
あ、でもイーナちゃんの寝顔可愛いかったしそれはある意味良かったかも。
…こんなこと言ったらイーナちゃん顔真っ赤にして怒るんだろうなー。
あれこれ考えてるうちに、弟くんが戻ってきた。
「お姉ちゃん、よく考えたら全然具体的じゃないんだけど…」
「いやルーシャス君が勝手に満足しちゃうからでしょ⁉︎」
「あ、あははー…」
全く、こういうところは子供っぽいんだからー。
ま、それが可愛いんだけどねっ♪
「よーし、お姉ちゃんがみっちり仕込んだげるね?」
「お手柔らかに…」
「だーめ!私の話聞かなかったから、ちょっと本気だしちゃう!」
「お姉ちゃんのちょっとって洒落にならないレベルなんだけど」
「自業自得だよー」
実は私も体術で1級持ってるんだよね。描写はないけど。
だからルーシャス君とタメ張れる実力くらいはある…はず。
あれ、自信なくなってきちゃった…。
––––––ということで庭に出てきちゃいましたー♪
うちって比率で言うと庭小っちゃいんだけど、土地そのものが大っきいからそれなりに庭も広いんだ。
それこそ、目の前にいる男の子が身長に合ってない大きさの大剣振り回しても大丈夫なくらい、ね。
「よいしょっ、と」
「ねえ、大剣ってそんなに大っきかったっけ?」
「うん?そうだけど?」
うっそ〜、あんなんだっけ⁉︎
最近体術の訓練ばっかりで見てなかったからかな、すっごい大きく見える。ルーシャス君より余裕で大きいんだけど…。
どうしよう、本気とか言うんじゃなかった。
木剣でもあのサイズだとダメだよね。
リアル「鈍器のようなもの」だもん。
ようなものっていうのがポイント。鈍器よりタチが悪いって意味だよ。
大剣に怯えながら防具とグローブを着け終えた私は、その剣より小さな弟くんと向き合う。
戦闘スタイルが違うとかは気にしない。
元々対魔獣用の武術だから、相手がどんなスタイルだろうと関係ないんだ。
でも今回ばかりは気にしちゃうよ。めちゃくちゃだもん、大剣。
「よし、始めるよ?」
「いつでもどうぞ」
「うおりゃあッ!」
「えっ?きゃあ!」
ただの横振り。でも速い!避けるのがやっとだったよ⁉︎
「はっ!ほっ!やっ!」
「うっ、そ、速い…ッ!」
風魔法も使ってないのに凄いビュンビュン言ってるんだけど⁉︎ヤバイわ、この子…。
でも負けてられないよ!
「見切ったー!」
凶悪な大剣をすり抜けて、私は渾身のチョップを繰り出した。首のところで寸止めし、耳元で囁く。
「勝負あったね?」
「うっ…参りました」
「ふっふっふー、お姉ちゃんを甘く見るなよー?少年?」
とか言いつつ冷や汗ダラダラなんだけどね。
あんなの、当たったら死ぬよ⁉︎
「それでお姉ちゃん、僕の悪いところ、わかった?」
「ああ、えっとね、多分クセだと思うんだけど、攻撃のパターンが順番だね。だから速くても見切られやすい…かな?」
「おおー、なるほど!」
「あとは言うことないよ。っていうか正直魔獣相手だったらルーシャス君一撃で倒しちゃうし、あんまり攻撃パターンも関係ないよ」
「ええー…でもすっごい賢いヤツとかなら見切っちゃうかもしれないよ?」
「そのレベルの魔獣がいたら、もう世界は半分滅びてるよ」
「あ、そっか。それもそうだね」
我が弟ながら恐ろしいよ…。聞いたところ、バーチャル超大型魔獣一刀両断したらしいし。
私、あれ倒すのめっちゃ時間かかっちゃってギリギリ1級合格だったのに…。
もう、あんまり優秀過ぎるとお姉ちゃん落ち込んじゃうぞ?
「お姉ちゃん、ありがとう」
「いやいや…次からは本気とか言わないようにするよ」
「あははー、またまた〜」
いえ、本気です。
でもルーシャス君が満足ならそれでいっか。
ルーシャス「しかしこの話載るのめっちゃ遅かったな」
アリス「ネタ切れらしいですわ」
ルーシャス「それでも遅すぎるだろうよ。3週間だぜ?」
アリス「もう少しで『今後も更新されない可能性が高いです』って目次にかかれるところでしたの」
ルーシャス「更新も遅かったけど、お姉ちゃんの再登場もまた…」
アリス「前回出られたのは…20話ですわ」
ルーシャス「しかもすげえチョイ役」
ジュリア「ホントに久しぶりだったよー。全然出してくれないんだもん!」
ルーシャス「あ、お姉ちゃん」
アリス「お姉様、初めましてですわ」
ジュリア「そういえば絡んでなかったね。初めまして〜」
ルーシャス「作者…頑張ろうな?」
本当に申し訳ございません…。




