30.はじめてのがっこう
「あれ、思ったよりも小さいな」
「貴族の学校ですからね〜」
俺はミーナちゃんに連れられて小学校に来ていた。
もっと大きいものだと勝手に思っていたが、結構小さい学校だった。とは言っても、俺が想像してたのが大き過ぎるだけで、小学校の大きさとしては一般的だ。
規模的には1学年に100人いるかいないかくらい。
ジェームズやアリスもここに通うことになってるんだけど……人が多くて分からん。
みんな貴族だからそれぞれメイドさんや執事を連れている。いや、連れられているの方が正しいか。
結果的にその場の人口は200人程度。
校舎の大きさに対して多すぎる人が押し寄せ、人口密度でほとんど身動きが取れないほどだ。
この混雑は毎年のことのようで、クラス分けは昨日の夜に配送されている。
俺は2組だ。
届いたのが夜だからジェームズとアリスのクラスは知らない。
俺は他に同年代の知り合いがいないから、できればどちらかが一緒であって欲しいのだが…。
「ルーシャス様、こっちですよ〜」
「あれ、ミーナちゃんってここの学校の卒業生じゃないよね?何で案内図も見ずに教室の場所が分かるの?」
「とっくにリサーチ済みです〜♪
さあ、行きますよ〜」
さ、さすがミーナちゃん…。
俺たちにできないことを平然とry)。
教室は外ほどごった返してはおらず、まだ生徒達は自分の席を探している状態だ。
「あらルーシャス様!同じクラスでしたの?」
「あ、アリス!良かった知ってる人がいて」
アリスも2組らしい。ジェームズは姿が見えないが…1組みたいだな。
「知ってる人だなんてそんな気のないことを言わないで欲しいですわ。私達は将来夫婦になる関係ではないですか」
なんだか周りから凄い目で見られているが気にしない。
アリスと知り合いになった時点で覚悟はできてる。
「ではルーシャス様、またお迎えに来ますね〜」
「うん、ありがとうミーナちゃん」
ミーナちゃんも帰っていって遂に知り合いがアリスしかいない状況に。
さて、と…どうしよう?
とりあえず自分の席についてみる。
女子の熱い視線と男子の冷たい視線が俺の心を貫き倒す。
アリスには逆の視線がいっているようだ。
俺も自分の顔がどんなかは自覚している。
前世では平凡だっただけに少し気持ちいいが、同時に気まずい。
顔が良いっていうのも大変だな…。
「なあなあ、お前めっちゃ見られてるぜ」
「ん?ああ、そうだな」
不意に前の席の男子が話しかけてきた。
「あれだけの嫉妬と憧れの眼差しを向けられて平然としてられるとは…只者じゃないな?是非名前を教えてくれ」
がっつり動揺してるんだが。
でも平然としてるように見えるなら都合がいい。友達に増やすチャンスだし、ここは素直に名乗っとくか。
「ルーシャス・グレイステネスだ」
「グレイステネス⁉︎あのルイスさんとフィエナさんの息子か⁉︎それにしてはえらく落ち着いてるな。確かに顔はルイスさんそっくりだが…」
親愛なるお父様、お母様へ。
あなた方の素晴らしい性格はどこまで知れ渡っていられるのでしょうか?
「ちなみに適正はどっちなんだ?剣術にしろ魔術にしろ濃い色が出てるんだろう?」
良かった。いい方も広まってた。
「俺の適正は剣術でも魔術でもない」
ちょっと勿体振ってこんなことを言ってみる。
「何⁉︎じゃあ何なんだ?」
俺は上着を少し捲り、手首では少しブカブカの腕輪を見せる。
「む、紫⁉︎ってことは…」
「ああ、両方だ」
「何イイイッ⁉︎」
何か気分いいなこれ。
この世界ではアクセサリーに適正がはっきり出るから嘘はつけない。
魔法で作ったアクセサリーは絶対に透明で、赤ん坊の時しか適正の色に染まらない。
魔法以外のアクセサリーで色をつけても、魔法の色は独特のムラがあるからすぐに分かる。
つまり、適正を偽ろうとしても、絶対に無理ってことだ
「す、すげえ…。本物の天才に出会っちまったかもしれないぜ…!
ルーシャス!俺はコーディ・ヒーズマンってんだ!是非俺の友達に…いや、アニキになってくれ!」
「アニキ⁉︎いやいや、普通に友達になろ?な?」
「アニキイイイッ」
「だから普通に友達に…」
「アニキイイイッ!!!」
なんとか友達が1人増えました。




