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【完結】からふるわーるど  作者: 仮面大将G
幼年編

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26/101

26.おじょうさまはやんでれきしつ

 コンコン、とノックの音が聞こえて、私はドアを開けました。



「お父様?どうかなされましたか?」



「こんな夜分にすまないな、アリス。ちょっと話があるんだ」



 あらなんでしょう…?

 お父様の様子から判断すると、決して悪い話ではなさそうですが……。



「アリス、お前ももう5歳だ。しっかり勉強もしているし、弓の実力も申し分ない。自慢の娘というやつだ」



「ありがとうございます」



「だがな、お前には1等貴族としてやらねばならぬことがあるだろう?」



「ええ、2等の殿方の挨拶を受けることですわ」



「そうだ。それを明日、やってもらおうと思っている」



「あ、明日⁉︎急すぎますわ…」



「すまない。だが先程グレイステネスとオルグレンと話し合い、早い方がいいだろうという結論になった」



「何故ですの…?」



「実は今、各地で魔獣との遭遇率が上がってきている。本当に少しずつだが、もしかしたら数年後にもお前達の力が必要になるやもしれん。その時に初めて顔を合わせたのでは、連携もできないし力を発揮しきれないだろう…。そこで、少しでも早く会っておこうという話になったのだ」



「……そうですの」



「安心しろ。グレイステネスもオルグレンも優秀な騎士だ。既に息子同士でなかなかのレベルの手合わせをすると聞く。特にグレイステネスの方は剣術と魔術に秀でた紫が出ていて、大人でも苦労する大剣を軽々と振り回し、風魔法を自在に操れるらしい。グレイステネスの息子は…お前の婿にもいいかもしれんと考えている」



「む、婿⁉︎私はまだ会ったこともないのにですの⁉︎」



「慌てるな。まだ候補の段階だ。もし気に入れば、ぐらいだから気にしないでいい。さあ、もう遅いから寝なさい」



 そう言うとお父様はすぐ部屋を出て行かれました。

 それにしても婿だなんて……。

 いきなりそんなこと決めるのはひどいですわ。

 まあいいですわ。明日会ってから断ればいいことですし。今日はもう寝ましょう。



































 翌日、私の思いは完全に吹き飛んでいました。

 セバスチャンがドアを開けた瞬間、私は彼に目を奪われました。



「初めまして、ルーシャス・グレイステネスです。アリス様、お会いできて光栄です」



 この方が…!この方がお父様が言われていた方…!ああ、なんて素敵なんでしょう!

 まるで私を迎えに来てくださった風の騎士!

 隣のジェームズさんの話は全く聞いていませんでしたが、もうルーシャス様に会えただけで幸せですの!



「アリス様?アリスお嬢様?」



「へ?あ、ああ」



 つい挨拶を返すのを忘れていましたわ。



「初めまして。アリス・マクロフリンですわ。気軽にアリスと呼んで欲しいですわ。ルーシャス様、是非私と結婚して欲しいですの」





「…………………………へ?」





「…………………………あ!」



 や、やってしまいましたわ!いきなり初対面の人相手にプロポーズなんて…!


 焦っている私を見て、ルーシャス様はフッとお笑いになりましたわ。ああ、笑顔も素敵!



「アリス、僕たちはまだ5歳です。結婚には早い年齢ですよね。でも、あなたのような可愛らしい方なら是非お受けしたい。十分大人になってから、ね?」



「はうううう〜」



 な、なんて格好いいのでしょう⁉︎

 私の失言をしっかり受け止めた上に、結婚を約束してくださいましたわ!



「アリス、お前言ってることが昨日と違うぞ……」



「お、お父様⁉︎」



「まあいい。せっかくだから2人の実力を見せてもらえ。2人もいいかな?」



「「ええ、もちろん」」



 2人が揃って返事をなさったので、訓練場に移動しましたの。



「まずジェームズ君。君の剣を存分にぶつけてくれ」



「はい」



 そう言ってジェームズさんは武器庫の中から短めの剣を2本手に取りましたわ。

 私の家では武術の級認定も行っていて、お父様が認定試験をなさりますの。

 魔法で作り出した擬似魔獣を相手に戦闘して、どの程度まで戦えるかを見るのですわ。



 ジェームズさんは双剣で次々と魔獣を倒しますが、中型が三体出てきてギブアップ。



「5歳にしては素晴らしい結果だ。ジェームズ君、君を剣術4級に認定しよう」



 4級ですの。私は弓術3級ですから、まだまだですわね。



「次はルーシャス君」



「はい」



 ルーシャス様が取り出したのは信じられないくらい大きな剣。あれで戦えるのでしょうか?



「はああーっ!!!」



 私の考えはすぐに正されましたわ。

 ルーシャス様はあっさりと大剣を持ち上げて、軽々と振り回して小型魔獣を一掃、中型も一撃で振り払うと、残っていた中型魔獣を巨大な竜巻で吹き飛ばし、大型魔獣ですら風魔法で作り出した鎌鼬で木っ端微塵にしたあげく、超大型魔獣も風を纏わせた大剣で切り裂いてしまわれましたわ。


「こ、これは……!」



「お父様、ルーシャス様は一体何級ですの⁉︎」



「超大型を倒したものは今まで数十人なのだが……。おめでとうルーシャス君。君は剣術、魔術両方とも1級だ」



「「「1級⁉︎」」」



 1級だなんて、もう立派な騎士ではないですか!なんてお強いお方…!



「え、ええーっと…1級ってそれより上なかったりします?」



「いや、一応0級があるが…。そこにいるのは私と君の両親、あとは王族くらいだぞ?」



「本気出しすぎた……」



 なぜか落ち込んでいらっしゃるルーシャス様ですが、本当に格好良かったですの…。


 この人が将来の私のお婿さん♪

 ああ、今から結婚式が楽しみですわ。

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