11.こうきしんのゆくすえ
前回のあらすじ
・皆が誕生日会を開いてくれた
・皆にプレゼントを貰った
・パンドラの箱から出てきた魔物に抱きつかれた
……あれ、どうしてこうなった?
出てきてからずっと俺に抱きついているのは、箱から飛び出して寸分違わず俺のところへ飛んでくるというエ◯パー伊藤もびっくりな登場をした女の子だ。
「ルーシャスくぅ〜ん」を連呼して一向に離れる気配がない。
早く離れてくんねえかな…。ずっと抱きしめられてると暑くて仕方ない。
ていうかそれ以前に誰だこの娘は?母さんとメイドさん達に順番に視線を送るも、皆微笑むばかりであえなく撃沈。他にどうしようもないのでとりあえず俺を抱きしめるこの娘を観察してみる。
長く伸ばした髪は母さんによく似たストレートヘアー。
胸は……えーっと、はい。見事な大平原が広がっております。本当にありがとうございました。
年齢は胸から推測いたしますと多分7〜8歳くらいでしょうか。
抱きつかれているので顔は分かりません。以上、大平原からルーシャスがお伝えしました。
しっかし誰なんだこの娘。やたら名前呼ぶのやめなさい。
「ルーシャスくぅ〜ん♪ねえルーシャスくんってば〜」
面倒くさいから適当に返事しとくか。
「はーい」
「はあ〜やっと返事してくれた…」
すると女の子はようやく俺を離した。
返事求めてたのかよ!普通の赤ん坊なら泣いてるところだぞ⁉︎
俺から離れたことで女の子の顔が見えた。
母さんによく似た顔立ちだ。だがその大きな目は母さんと違ってグレーで、母さんよりもかなり幼い印象を与える。
……これはもうほぼ確定か。
「はじめましてルーシャスくんっ!お姉ちゃんだよー♪」
やっぱりか…。はぁぁぁ、また騒がしい人だよ…。
絶望に浸っていた俺だが、ふとここである好奇心が芽生えた。
この人はあの父さんと母さんの娘なんだよな?ってことは、パニックになったら強烈な反応をするハズだ!…み、見てみたい…。
好奇心が一人歩きした俺は、敢えて地雷を踏みに行くことにした。
「はじめましてお姉様。ルーシャス・グレイステネスと申します。至らない弟ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします」
どーだ!前回皆にやった時より丁寧さアップ!さらに謙遜してみせるという高等テクニックまで使ってやったぜ?
さあ姉さん、どう出やすかい?
しばらくキョトンとしていた姉さんだったが、おもむろに立ち上がると「アハ、アハハハハハハハ」と笑いながらいつのまに履いたのか分からないタップシューズでタップダンスを始めた。
怖ええー!!
なんだこれ⁉︎笑い方が機械的なのが怖さを引き立てて余計不気味さが増してやがるッ!
そこで俺を支配するのは恐怖っ!恐怖っ!圧倒的恐怖っ!
母さんのフラメンコってマシな方だったんだな。