おいおいおいおい、ちょっとどこまで知ってんの!?
リストが帰ってからはもう、何かを考えるのも億劫で、俺はとりあえず黙々と錬金することにした。
レベルを爆上げしてある俺は、錬金の速度も当然早い。高難度の錬金もお手の物だ。
だがしかし、今は脳みそが全然働いていない。なんせゆずとリストに与えられたダメージがデカすぎたからな。
集中力が必要な高レベルの錬金なんかやった日にゃ、失敗するのが目に見えている。仕方なく俺は、高次の錬金に必要になるであろう低レベルの錬金素材を黙々と、大量に生産していくことにした。
あー、めっちゃ作ったわ。
あれから何時間経ったんだろう。窓の外を眺めてみたら、だいぶ日が傾いていた。
やべぇ、もうそろそろ、ゆずが帰ってくる時間なんじゃないのか、これ。
そう思うともう、俺は落ち着いていられなくなってきた。いてもたってもいられないって、こういう状態の事言うんだろうな。
もう一度錬金に集中して心を落ち着けようかと思ったが、もはや初歩の初歩のそのまた初歩ってくらい簡単な「回復薬」の錬金ですら失敗する。
だめだ。材料の無駄だ。
そして、この部屋にいたら、確実にゆずに遭遇してしまう。
焦った俺は、とるものもとりあえず工房を飛び出した。
とはいえ、ゆずと顔を合わせる気まずさから逃げ出したいだけだったもんだから、行く当てがあろうはずもない。
市場に行ってはみたものの、店主たちから口々に「あらあら、ゆずちゃんによろしくね」なんて声をかけられて、それはそれで落ち着かない。
あいつホント人気あるんだよなぁ。
仕方なく市場での買い物をあきらめ、時間をつぶせる場所を求めて街をうろつく。
アデラールが営む雑貨屋にもいってみたが、なんでだか臨時休業の札が下がっていて中には入れなかった。今日はゆずの討伐依頼についていったわけでもない筈なのに、珍しい。
ブラブラと街中を歩いていたら、えらく酒場が賑やかなのに気が付いた。
ああ、酒場なら時間を気にせず呑んでいられるよな。
そう思って酒場の扉をあけた途端、なぜか急にその場が静まり返る。
「え? あれ?」
なんでみんなしてガン見してくるんだ!?
居心地が悪すぎて、速攻で踵を返し扉から外へ出ようとした瞬間、後ろからえらい勢いで引っ張られた。
「うおー! 野郎ども、本日の主役が来たぜえ!」
「逃がすな! 詳細をあまさず聞きだすんだ!」
「チクショー羨ましい奴め! ゆずちゃんになんてコクられたんだ!?」
「なんでコイツなんだよ、ゆずちゃーん!」
おいおいおいおい、ちょっとどこまで知ってんの!?




