なにこの羞恥プレイ
なんで俺の方が椅子を勧められにゃならんのだ、と思っているのにリストの謎の迫力の前に何も言えない。
大人しく椅子に座って、俺は視線をコーヒーに落としたまま、リストの尋問を待った。
「で」
「はい」
大人しく背筋を伸ばして返事をした俺に、リストは小さくふき出した。
「そんなに緊張しないでくれよ、まあコーヒーでも飲みながら、ゆっくり話そう」
「そ、そうだな」
少し柔らかくなったリストの空気感に安心して、コーヒーを口に含む。ぶっちゃけ緊張でのどがカラカラだった、俺の渾身のブレンドコーヒー超うまい。
「それで、ゆずちゃんは誰が好きだって?」
「ブハッ!!!!!」
ゲホゴホ、ガハッっと盛大に咳き込みむせる俺の背中を優しく撫で、「大丈夫かい?」なんて気遣うようなそぶりを見せているが、絶対に今のタイミング、わざとだろう!!!
てめえリスト、お前意外に腹黒いな!?
「台拭きを借りるよ」
何とか酷い咳き込みは収まったものの、まだゼエハアと息を整えている俺に代わって、リストはかいがいしくコーヒーが飛び散ったテーブルを拭いたりしているが、もう騙されないからな。
腹黒リストめ。
「いや、ごめんごめん。思ったよりダメージ与えちゃったね」
今さら爽やかに笑って「でもその様子じゃ、ゆずちゃんから聞いたんだろ?」と畳みかけてきた。ちくしょう、意地でも俺に言わせたいらしい。
いいだろう、覚悟を決めようじゃないか。
「聞いたよ、その……俺、なんだろ」
なにこの羞恥プレイ。自分の口から言うの、超恥ずかしい。思ったより恥ずかしい。
それなのに、リストのヤツ。
「うん、みんな知ってる」
なんて言って笑いやがった!
「言っておくけど、今さらそんな事言ってるの多分、君だけだよ」
「は!?」
「皆ゆずちゃんの一途な思いを知ってたからね、ずっと応援してたんだ」
「え、ちょっと待って、みんなって……みん、な?」
え、どのレベルのみんな!?
混乱で思考能力が仕事しない。なんでそんなことになってるんだ???
「ディーノだろ、プラグ王子、ラツィオ、アデラール……ミランダさんやキャッシュちゃん、そうそうミリーちゃんも知ってたね。果ては八百屋のフランクさんや門番のシャルオさんまで、まあ、この町の人ほとんど?」
俺は、灰になる、という表現を初めて体感した。
どんだけ周り固めてんだよ、ゆず……!
「それで?」
「へ?」
テーブルに突っ伏して死にかけている俺に、リストの容赦ない追撃が始まった。
「へ、じゃないだろう。なんて答えたんだい?」
え、そこまで聞きますか。




