あああああ、俺はどうすればいいんだ……!
ちくしょうゆずのヤツ。
急にあんなカミングアウトされたら。「もっと頑張るね」なんて言われたら。
あああああ、俺はどうすればいいんだ……!
一人で苦悩していたら、控え目なノックの音が聞こえて、俺はしぶしぶ扉を開ける。
錬金の依頼だろうか。今はちょっと、ひとりになりたいんだけどな……さっさと対応して、速やかにおかえり願おう。
「はい、どちら様……」
「やあ、今いいかな」
扉の向こうには、輝く笑顔のリストが立っていた。
「あれからどうなったのかが心配でね、悪いけれど入らせてもらうよ」
「お、おい……」
「昨日は軽く死にかけたからね、俺には聞く権利があると思うよ?」
リストはいつになく強引に、ぐいぐい部屋に入って来たと思ったら、テーブルに座って俺ににっこりと笑いかける。
なんだろう、昨日に引き続き笑顔がめっちゃ怖い。
でもリストの言う通りだ、昨日の修羅場がなんとか収まったのはひとえにリストの献身あってのことだし、確かにリストには話さないとならないだろう。
でも、ゆずの事を好きかも知れないリストに、いったいどう話せばいいものか。
考えが纏まらなくて、俺はゆっくりとコーヒーを入れながら逡巡する。そしたら、リストのほうから口火を切られてしまった。
「さっきゆずちゃん達が採取に出かけていくのを見かけたよ。昨日とは打って変わって屈託のない笑顔だったからね、あの様子なら君とちゃんと話ができたんじゃないかと思うんだけど、どうかな」
さすが、顔だけじゃない性格イケメン……! そんなことまでお見通しか!
驚愕の表情を浮かべる俺に、リストは「どうやらあながち間違いではないようだね」と微笑んでいる。
だから、笑顔が怖いって!
「さあ、細大漏らさずぶちまけてもらおうか」
ちょっと待って、リストからの好感度、絶対ゆずよりも俺の方が高いよね!? 親友レベルだったよね!?
なんでそんなめっちゃ圧かけてくるの、リストさん!?
少しでもリスト様の圧が弱まるよう、俺は手早く茶請けを作る。
クラッカーにクリームチーズとトマトをのせて、オリーブオイルを数滴かけるだけ。リストは甘いものはあんまり好きじゃないから、これくらい軽めの茶請けがいいだろう。
びくびくしつつ、コーヒーと一緒にクラッカーを提供すれば、リストは柔らかな笑顔で「ありがとう、君はこんなところは本当に気が利くよね」と褒めてくれる。どこまでも紳士だ。
なんでコイツに惚れないんだよ、ゆず……。
「さ、君も座りなよ」




