欲しい機能は
ゆずの装備については、おおまかなイメージが掴めた。後は帰って作るだけなわけだが。
「おい、ゆず。そういえばお前、なんかつけて欲しい機能とかあるか?」
毎日毎日、魔物と体張って戦ってるのはゆずなわけだから、もしかしたら困ってる事とかあるのかも知れない。そう思って聞いてみたら、ゆずは少しだけ考えてから「スピードが欲しい」と口にした。
「なんかさ、子供が履いてたみたいな、ローラーがついてる靴あるじゃん。あれみたいなの良くない?」
「ああ、あれな」
確かにあれなら平地でのスピードは格段に増すだろう。しかも速度を付与しなくていい分、なにか別な効果が付けられる。
でも待てよ?
舗装されてるわけでもない、発展途上のこんな場所でどれくらい役に立つのか……。
「難しい?」
「いや、出来るけどな。でもこの世界じゃ凸凹道だのや草原だの森だのが多いからな、ローラーじゃ意外に使い勝手悪いんじゃねえかと思って」
「……確かに」
むしろそれなら、バネとかはどうだろう。
小さくても反発力の強いバネなら走れば自動的に跳ねて勢いがつくだろうし、ジャンプの補助にもなる。
正直若干レトロ感が漂うが仕方ない。
水とか空気のジェット噴射とかで高速移動ってのもいいかなとは思うが、なんせ今の俺の技術じゃ難しい。
空気を圧縮して押し出す系の空気砲とかを応用すれば出来なくないのかもしれんが、部材の確保も難易度が高いし、思い通りの動きをさせるにはそれなりに研究が必要だろう。
その点バネならこの世界では劇的にお手軽だ。
なんてったって「バネの木」とかいう超お手軽アイテムが存在するのだ。
バネの木の生える森で1日採集すれば、でかいのからミクロなヤツ、強力なのからゆるゆるバネまで好きなだけ採れる。ミクロな強力バネを足裏のあちこちに仕込んでやれば、ゆずの体重のかけ方や勢いの付け方で、結構うまいこと使えるんじゃないかと思うんだが。
「ちょっともう! 聞いてんの!?」
「痛てえ!」
考え込んでたら、いきなり耳に激痛が走った。
「痛てえな! 何すんだ」
耳を思いっきり引っ張られたらしい。ちくしょう、若干涙目になっちまったじゃねえかよ。
「ご、ごめん、ちょっと勢いつき過ぎちゃった」
「くそう、素直に謝るくらいなら最初っからするなっつうの」
シュンとされたら怒れねえじゃねえかよ、この頃のゆずは怒るタイミングを上手く外してくるから厄介だ。
「もういい、行くぞ!」
「え、なに、どこに?」
慌ててゆずが小走りでついてくる。
「カシュアの森。バネが欲しい」
「バネ?……そっか、さすが陸!頭いいなあ」
今度は花が咲いたみたいな満面の笑み。ちぇ、調子いいよな。




