ゆずの成長
「いや、なんか久しぶりに会ったら、顔変わったか?」
「え、変?」
「いや、綺麗になった気する」
途端にゆずの顔が真っ赤に染まる。湯気が出そうってこんな感じか? ってくらい赤い。
「り、陸って……そんな恥ずかしい事、言うキャラだったっけ……?」
「へ!?」
言われて初めて自分の言葉を冷静に考えた。
たしかに恥ずかしい!
ちくしょう、ゆずだと思って油断した! 何も考えずに思ったまま言っちまったじゃねえかよ、この野郎!
「そっか、いっつも女の子にはそんな事言ってるんだね、陸は」
「ちげーよ! なんかお前、雰囲気変わった気がしたからつい! 他意はないって言うか」
慌てて言い訳しようとしたんだが。
「ストレートに言われると照れるけどさ、意外と嬉しいんだね」
恥ずかしそうに嬉しそうに笑うゆずを見たら、前言撤回する気も失せた。
まじで日に日に女子力上がってきてやがるぜ、こいつときたら。
「でも鋭い、実はお化粧して貰ったんだ」
えへへ、と笑ってゆずが言う。お化粧? してるってほどしてるようにも見えないんだけど。
「ちょっともう、あんま女の子の顔ジロジロ見るの止めた方がいいって! ほんと陸、そういうトコあるよね」
「いやだってさ、そんな化粧ってしてるか?」
「今はね、透明感のあるメイクが流行ってるんだって。ミランダさんとかも今はバッチリがっつりメイクじゃないんだよ? 陸このとこ全然外にでないからしらないと思うけど」
「透明感」
「そうなんかね、ちょっと青みの入ったピンクのチークを薄く入れて、下まぶただけ赤のシャドウを引くんだって。自然な感じでいいでしょう?」
顎が外れるかと思った。
誰このオシャンなギャル。なんか宇宙語しゃべってらっしゃるんですけど。
そう言えばいつもは無造作に伸ばしっぱなしだった髪も、複雑な編み込みがされて可愛らしく整えられている。
「陸この前、この可愛い軽鎧作ってくれたじゃない、あれかなり人気だよ。もともとそれでオシャレの話になったんだ、もう冒険中もオシャレを諦めなくていいねって」
「へえ、良かった」
やっと俺にも分かる話になってきた。
「あはは、死んだ目から半死くらいの目になった。この軽鎧なら今流行りのメイクも合うしって、ミリーがメイクと髪とやってくれて。キャッシュもね、欲しいって言ってた」
「えっ!キャッシュちゃんが!?」
俺の目と意識が、完全に復活した。
「うわ、引く……ほんとキャッシュの事になると目の色変わるよね、陸って。サイテー」




