哀愁のカーチ火山
「なんなんだよ、君は! まったくもってウザい!」
プラグ王子がいきなりキレる。それを諫めたのは、やっぱりチャラ男ことリストだった。
「まあまあ、リクだってなんか思うところがあるんでしょう」
「だってさあ、街出てからずっとこうだぞ? 僕だって忙しい公務の合間を縫って採取に付き合ってやっているというのに、うじうじウダウダ面倒くさい!」
「あー……悪い」
さすがに悪かったかも知れない。
今日は硫黄と溶岩石を採取しに、プラグ王子とリストを誘ってカーチ火山にきているわけだが、なんせ昨日の衝撃が尾を引いて俺はすっかりブルーになっていて……いかんせん気持ちが前を向かないんだよな。
「で? 何があったんだ? 溜息ばっかりついて」
リストが柔らかく頬笑んで促してくる。まったくリストは本当にいいヤツだなあ。見かけがチャラ男なのが勿体ない紳士ぶりだ。
「いや、なんつーかさぁ。ゆずのヤツ、昨日ハンバーグ作ってくれたんだよ」
「えーっ! いいなぁ、ゆずちゃんの手料理」
「良かったじゃないか、なんでそれで溜息なんか」
「あっ! まさか超絶に不味かったとか」
ちょっと青い顔をしたプラグは「いや、でもゆずちゃんが頑張って作ってくれたものならきっと大丈夫!」とかぶつぶつ言いながら、決意の拳を固めている。
いや、そんなんじゃねぇから。
「いや、それがさあ、美味かったんだ」
「アホらしい、ノロケか」
「そんな雰囲気じゃないでしょう」
心配気に俺を見るリスト。なんという性格イケメン。いや、まあ顔もイケメンだが。
リストの真摯な顔を見ていたら、なんだか少し素直に話したくなってしまって、俺はその複雑な心境を訥々とコトバにしていた。
「あいつさぁ、ここに来る前は全然あんな感じじゃなかったんだ」
「ああ……確かに最初会った時って、ゆずちゃんちょっとイメージ違ってたな。なんていうか凄い警戒してたし、結構ケンカ腰だったもんな」
思い出したようにクスリと笑うリスト。そう言えば最初に会ったのってリストだったな。ゆずが一番『譲』らしい時を見ていたのは、リストとミランダ姐さんくらいかも知れない。
「そうそう、ケンカっぱやくて乱暴で手のかかる、本当に弟みたいなヤツだったんだ」
「ケンカッぱやいって……ゆずちゃんが?」
「うん、確かにキャンキャン威嚇する小型犬みたいだったね」
いやまあ、実際はドーベルマン的な大型犬のイメージだったがな。そこはもうしょうがない、リストに分かれと言う方が無理な話だ。




