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なんだココ、めっちゃ見覚えある

俺の腹くらいまで高さがありそうだ。あんなでかい壺、なかなかお目にかからないよな。



「なんだろうな、あの怪しい壺」



何が熱源なのかは不明だが、壺の中では不思議な色の液体がボコボコと煮立っている。


なんかゲームで錬金術師が使ってたよなぁ、こういう壺……と苦笑して、はた、と2度目の嫌な予感に襲われた。


どう見ても見覚えがある。


壺のまあるいフォルムも、幾何学的な模様も、無造作につっこまれた棒も。なんなら部屋のスッカラカンな感じまで、そっくり。


俺がやり倒していたあのゲームのゲームスタート時の部屋だコレ。


錬金術と恋愛シミュレーション、そして町の開拓もろもろを混ぜたようなやり込み要素満載のゲームで、主人公は男と女から選べた。


よくよく見れば、譲の今の姿は女主人公のそれだ。間違いない。


背中まであるふんわりウェーブの髪は淡い水色。この大きな紫の瞳にも見覚えがある。さすが錬金術師って感じで、色白で華奢な細腕は箸より重いものなんか持てないだろ? ってなくらいに弱々しい。


戦闘には不向きだろうひらひらのミニスカートはちょっと動くだけで裾がひらめいて正直目の毒だ。きょとんとした表情で俺を見上げるその仕草も表情も、文句なしに可愛い。


ゲームのパッケージ見た時にも可愛いとは思っていたが、まさか生で拝める日がこようとは。


中身が譲なのが本っっっ当~~~に! 悔まれる。


そこでふと気が付いた。


あれ? じゃあ、俺は?



「か、鏡! 鏡は!?」



仮説を確かめようと鏡を探しても、この殺風景な部屋にそんな高尚なものなどある筈もない。


順当に考えれば、俺のあのゲームの登場人物の一人に違いない。見下ろした自分の服装はローブっぽい感じだから、たぶん冒険者じゃないはずだ。


男主人公がこんな感じだった気もするが、ぶっちゃけ正直男の服なんざ大して記憶に残ってないんだよな。これはもう仕方ない。



「おい、譲。こうしてても埒があかない、ちょっと外に出てみようぜ」


「ばっ、バカ言うな」



途端、譲こと美少女は真っ赤になって必死に抗議してくる。


女の子の姿のまま屋外に出るのがどうしても恥ずかしいらしい。かと言って、ここで一人待っているのも嫌だと言う。


渋る譲を説き伏せて、結局は外に出る事にした。なんたってこのゲーム、まずは外に出ないと始まらないんだ。


隣国との中継地点としてこれから開拓しようっていう出来立ての村に、開拓者の一人として名乗り出た新米錬金術師が主人公のゲーム。


まずはギルドに行って情報を仕入れないと、初級錬金術の書も手に入らないし、探索場所すらも分からないんだから。

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