俺の天使が可愛過ぎる
すっかり女性陣しか連れ出さなくなったゆずの採取の合間を縫って、今日はついにキャッシュちゃんだけを誘って、やってきましたタージュ氷穴!
神様、鼻血が出そうです。
俺の天使、可愛過ぎる……!
ただ今一生懸命ツンを発動中で、これがとりあえず可愛いんだよもう!
タージュ氷穴にはその環境のせいか気持ち悪い系のモンスターが多い。
ゲジゲジっぽい脚がうじゃうじゃあるヤツや蜘蛛っぽいの、ヒルっぽいの、ナメクジっぽいの、カエルっぽいのと、なかなかのラインナップな上に全部デカい。
そしてどうやらキャッシュちゃんは、こういう気持ち悪い系のモンスターが苦手らしかった。
本人は隠しているつもりのようだが一瞬歪む表情と、ピクリと動く肩をキャッシュちゃん命の俺が見逃す筈がない。
ゲームでは気付かなかったから主戦力で戦ってもらったが、苦手なのが分かっていながらキャッシュちゃんに無理強いするのは俺の主義に反する。
出てくる度に一瞬息を飲むキャッシュちゃんを背中に庇いファイアを連発していたら、キャッシュちゃんをなぜか怒らせてしまったみたいだ。
「私だって闘える!」
と呟いたかと思うと、キッと睨まれた。
「こんなの、私がついてきた……護衛の意味がないじゃない…」
至極尤もなお言葉と共に、俺の前を猛然と歩き始めたキャッシュちゃんは、曲がり門の度にビクビクと肩を揺らしている癖に、先頭の座を頑として譲らない。
プロ意識の高い彼女は剣士という職業にプライドを持っているのだ。その腕を買って護衛に雇って貰っている以上、苦手だろうが何だろうが克服して戦果をあげるべきだと考えているんだろう。
そんな真面目なところもいい。
今はデカいゲジゲジを前に深呼吸している。この氷穴の気持ち悪い系モンスターご一行の中でも、キャッシュちゃんが一番苦手としているのがこいつだ。
手足には鳥肌が立ち僅かに震えているというのに、闘う意思は消えないらしい。手が白くなるくらい剣を握りしめ、ゲジゲジを睨みつけるその姿。
いやー可愛いなー。眼福だなー。
「毒があるから気をつけてなー」
「分かってる。黙ってて、気が散る」
「手伝おうかー?」
「貧弱なモヤシ男はそっちで石でも拾ってて」
うん、ツンしかない。
巨大ゲジゲジの長くて細くて大量にある脚がわらわらとウェーブを描くように蠢き、触覚も何かを探すように忙しない。俺だって背筋になんかこう…ゾワゾワっとしたもんが走るよ。
気持ちは分かる…でも、頑張れキャッシュちゃん!
心の中の熱い声援が聞こえたのか、キャッシュちゃんは大きく息を吸い込んだ。




